哀しい愛

まめ太郎

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「あっ、正臣。俺、プレゼント用意しているんだ」
 俺は机の中からラッピングされた小さな包みを取り出した。
「要らないって言ったのに」
 正臣が渋い顔をする。
「とりあえず開けてみてよ」
 渋々正臣がラッピングを解き始める。
 中から現れた緑色の輝く石の付いたネクタイピンを見て、正臣の顔が強ばる。
「高価なものはいらねえって言ったよな」
 突っ返そうとする正臣に俺は慌てて手を振った。
「買ったんじゃないよ。これ、母さんの形見なんだ」
「そんな大切な物、余計貰えない」
 きっぱりとそう言う正臣に俺はため息をついた。
「重いって、引かれるのは分かってた」
「引くとかじゃなく、貴雄にとってこれはとても大切な物なんだろう?」
「そうだよ。だから正臣に持っていて欲しい」 
 俺は机の同じ引き出しから小指にも嵌らない小ぶりのリングを取り出した。
「それとこのベビーリングを俺が生まれた時、母さんが選んで贈ってくれたんだ。どっちにもペリドットっていう8月の誕生石が埋まってる」
「綺麗な石だな」
 正臣の言葉に俺は頷いた。
「俺の誕生石なんだ。ペリドットって魔除けの石なんだって。それを持っていたら正臣も悪夢を見なくなるかもしれない」
「俺が悪夢を見ているってどうしてわかるんだ?」
 正臣が険しい顔で問う。
 どうやら悪夢を見ていることを、俺には知られたくなかったようだ。
「前にさ、倉庫で正臣が寝ちゃったことあったろ?あの時酷くうなされてたから」
「うなされた俺は何か言っていたか?」
「ううん。ただすごく苦しそうだった」
 俺は正臣のシャツにそのネクタイピンをつけた。
「だからきっとさ。この石が正臣を守ってくれるよ」
 そう言って俺が微笑みかけると、正臣が複雑そうな表情を見せた。
「なんて本当は俺が正臣とお揃いの物を持っていたいだけなんだ。母さんの形見ってのがちょっとヘビィすぎる話だけどさ」
「分かった」
「えっ?」
「これは貰うよ。大切にする。だけど返して欲しくなったら言うんだぞ」
「うん、正臣ありがとう」
 正臣は俺の言葉に苦笑した。
「なんでお前が礼を言うんだよ。こんなすごいプレゼント貰った、俺の方が言うべきだろ?」
「えへへ」
 笑う俺の頭をくしゃりと正臣が撫でる。
「ありがとうな。貴雄」
「正臣」
 俺達の唇が重なるその瞬間、玄関から何かがぶつかる音がした。
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