スパダリかそれとも悪魔か

まめ太郎

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1番大切なものは絶対に手に入らないので。4

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「諒一。もう俺と登下校するのやめて、横山さんとしろよ。」
「なんでだよ。彼女の家、けっこう離れてるぜ。」
「そういう問題じゃない。諒一だって、俺といるより横山さんと一緒にいたいだろ。」
「そんなことないよ。俺、楓と居る方が楽しいぜ。」
 そう言って、諒一は俺のベットに寝転がった。
 それはやめてほしい。
 諒一の匂いが俺のベットに移って、寝るときに切なくなってしまうから。

「なんか最近楓、付き合い悪いよな。まさか彼女でもできた?」
 からかうように言う諒一に、本気で腹が立った。
「彼女なんていないよ。俺、英語の勉強したいから帰ってくれない?あと、明日から学校には俺一人で行くから。」

 諒一はいつも笑顔なのに、急に無表情になるときがある。 
 それがいまだった。
 諒一はため息をつくと、自分の短髪の黒髪をかきあげた。

 立ち上がって、椅子に座っている俺の傍まで来ると、両手で俺の椅子の背もたれを掴んだ。
 俺は諒一の腕の間に挟まれて、身動きが取れなくなってしまう。
 身長167cmの俺より10cmは高い諒一にこうされると、妙に圧迫感があり、俺は知らぬ間に息を止めていた。

「楓。何でそんなに聞き分けが悪いんだよ。もしかして誰かに何か言われた?」
 諒一の口は笑みを作っているのに、黒曜石のような瞳は笑っていなかった。
 横山さんとの会話を言い当てるような諒一の言葉に、俺は目をそらせた。
 諒一がふっと笑って、俺から離れる。
「まあ、いいや。とにかく今度楓一人で登下校したら、俺横山と別れるから。」
「なんでそんな話になるんだよ。」
 俺は立ち上がって言った。

「だって俺が横山と付き合ってるから、一緒に帰れとか言うんだろ?俺、誰と付き合ったとしても、楓と居る時間は削る気ないから。」

 諒一はいつもの穏やかな笑みを浮かべ、俺の部屋の扉に向かった。
「勉強がんばって。」
 それだけ言うと部屋から出て行ってしまう。

 俺はなんだか異様に疲れて、椅子に座りなおした。
 諒一は何であんなことを簡単に言えるんだろう。
 俺の気持ちを受け入れてくれる可能性は、全くないのに。
 俺はため息をつくと頭を振り、英語の予習に取り掛かった。
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