スパダリかそれとも悪魔か

まめ太郎

文字の大きさ
227 / 307

160

しおりを挟む
 エレベーターに乗り込むと、乗客は俺たち二人きりだった。

 怜雄が最上階のボタンを押すと、俺たちの乗ったガラス張りの箱が音もなく上昇し始め、先ほどまで居たロビーの椅子や花がどんどん小さくなっていく。

「怜雄、そのスーツ初めて見たけど買ったの?」
 濃いグレーのスーツに、銀の刺繍の施された黒いネクタイを締めた怜雄を見上げながら聞く。
「ああ、今日のために新調した。」
 こともなげに言うが、安くはないスーツだろう。
「なんだ?」
 俺がじっと怜雄を見つめているのに気付いて問う。
「何でもない。」
 俺は怜雄ってそういうところ女子っぽいよなと思ったが黙っていることにした。

 エレベーターがポンっと軽快な音を立てて止まる。

 扉が開くと、そこはレストランの入口だった。
 入口の前で、オールバックに黒いスーツを着た二人の従業員が「いらっしゃいませ。」と声を合わせる。

 俺が雰囲気に圧倒され、びくりと肩を震わせるのも気にせず、怜雄がすたすたと歩いていき、「予約した御剣ですが。」と声をかけた。

「御剣様ですね。お待ちしていました。どうぞ。」
 黒い服のボーイさんに案内されたのは、綺麗な夜景が見える窓際の席だった。

 俺は夜景に目を奪われながら、引かれた椅子に腰をかける。
「お飲み物はどうなさいますか?」
「祝いの席なので、乾杯のシャンパンを一杯ください。あとは水で結構です。」
 怜雄は渡されたワインリストを見もせずにそう言った。

「怜雄、酒飲まないの?」
 ボーイが一礼をして去って行き、俺は怜雄に聞いた。
「今日は大切な日だから、酔っぱらったりしたくない。」

 そう言う怜雄に、俺は顔がにやけてしまわないよう変な表情になってしまう。それと同時に去年の誕生日、アルバイトを入れてしまったことが改めて申し訳なくなった。
しおりを挟む
感想 242

あなたにおすすめの小説

【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?! ■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。 挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ
BL
☆完結済みです☆ 番外編として短い話を追加しました。 男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ) 中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。 一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ) ……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。 て、お前何考えてんの? 何しようとしてんの? ……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。 美形策士×純情平凡♪

処理中です...