スパダリかそれとも悪魔か

まめ太郎

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 真昼ちゃんを隣に連れて歩くと、道行く男子大学生が何人も振り返った。

 怜雄と一緒に居るせいでこういう周りの反応にも慣れたけど、真昼ちゃんは誰が見てもやはり飛びぬけて可愛いんだろう。
 怜雄のお母さんも彼女に似ているってことは美人だったんだろうな。
 俺がつらつらそんなことを考えていると、真昼ちゃんが言った。

「神崎君って怜雄と仲いいよね。」
 怜雄がどこまで俺たちのことを話しているのか分からなかったから俺は「まあ。それなりに。」と当たり障りなく答えた。

「じゃあ怜雄の好きなタイプってどんな子か知ってる?彼女がいないって言うのは本人から聞けたんだけど、好きなタイプとかまではさすがに恥ずかしくって聞けなくて。」
 真昼ちゃんが「いきなりごめんね。」と言いながら顔を赤らめた。

 怜雄は彼女はいないって真昼ちゃんに言ったのか。
 そのことが少しショックだったが、確かに俺は彼女じゃねえしと、気を取り直し言った。
「好きなタイプとかあんまり話さないから良く分かんないや。ごめんね。」
 俺の言葉に真昼ちゃんは両手を振った。
「ううん、全然気にしないで。怜雄女子には冷たいって聞くのに、私には優しいから実はちょっと期待しちゃったりしてて…ってごめん。私何言ってるんだろ。」
 真昼ちゃんは赤い顔を隠すように自分の顔を両手で包んだ。

「真昼ちゃんは怜雄のことが好きなの?」
 俺は静かな声でそう聞いた。
「うん。身の程知らずだって分かってるんだけど。あっ、怜雄には内緒にしてね。自分でちゃんと告りたいから。」
 そう言って怜雄とよく似た瞳で、真昼ちゃんが俺を見つめた。
 俺は微笑むと、頷いた。

 授業の教室に着き、真昼ちゃんは友達と受けるからと俺に手を振り、前の方の席に走って行った。
 俺は一番端の、人の少ない席に座ると、リュックを降ろし、教科書を取り出した。
 シャーペンをくるくる回しながら考える。

 身の程知らずというなら俺の方がずっとそうだ。
 真昼ちゃんは可愛いし、第一女性だ。結婚して、子供だって産める…。
 俺はそこまで考えて、まわしていたペンを握り締めると、下唇を噛みしめた。

 違う。そうじゃない。一番大切なのは俺たちの気持ちだ。
 俺が怜雄を好きで、怜雄も俺が好きで。

 今まではそうだった。
 でも今、怜雄の本当の気持ちが俺はよく分からなかった。
 嫌われてはいないと思う。
 ただ怜雄が一番大切なのが自分だという確信が、もう俺はもてなかった。
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