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フローリングの床を拭き終わり、立ち上がる。
大きく伸びをすると俺はロディの部屋にむかった。
中を覗くと、部屋の中央に立ち、古そうな木の椅子に触れるヒューイがいた。
その痛ましそうな表情に俺は何と声をかけていいのか分からず、しばしそこに立ちつくした。
俺の視線を感じたのか、ヒューイがこちらを振り返る。
「アレン」
手招きされて俺は部屋に入ると、ヒューイの隣に立った。
「これ、そうとう古くてあちこちガタがきてるんだ。もう捨てなきゃな」
そう言いながら、ヒューイは椅子をどこか愛おしそうに撫でた。
「親父は酔っぱらうとよくこの椅子で、いびきをかきながら寝ていた」
その光景を思い出したのか、ヒューイが口角を上げる。
「捨てなくてもいいんじゃない? 」
俺の言葉にヒューイが顔を上げる。
「まだ捨てなくてもいいんじゃないかな?そんなに急がなくても」
今にも壊れそうな椅子に俺もそっと触れる。
ヒューイは微笑むと、頷いた。
「そうだな。まだ……もう少しだけ、このまま」
俺達2人は言葉もなく立ちつくし、手を繋ぐと古い椅子を見つめ続けた。
ロディが亡くなって、ヒューイは家の大掃除を決心した。
本日、俺はそれを手伝いに来ていた。
元から掃除はあまり得意ではないというヒューイと、この機会に壊れたストーブや着ていない衣服など大量に捨てた。
俺がロディのクローゼットを整理していると、床に置かれたシルバーのボックスにつま先をぶつけた。
開けてみると、中から大量の写真がでてきた。
幼い頃のヒューイが笑顔で写っている。
可愛いと思って、他の写真も眺めていると声がかかった。
「懐かしいな」
俺の肩越しにヒューイが写真を見つめている。
どの写真にもヒューイの隣には必ずシュリが写っていた。
キャンプの日も、卒業式の日も。
いつも2人、仲良く並んで写真に納まっている。
大きく伸びをすると俺はロディの部屋にむかった。
中を覗くと、部屋の中央に立ち、古そうな木の椅子に触れるヒューイがいた。
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「アレン」
手招きされて俺は部屋に入ると、ヒューイの隣に立った。
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そう言いながら、ヒューイは椅子をどこか愛おしそうに撫でた。
「親父は酔っぱらうとよくこの椅子で、いびきをかきながら寝ていた」
その光景を思い出したのか、ヒューイが口角を上げる。
「捨てなくてもいいんじゃない? 」
俺の言葉にヒューイが顔を上げる。
「まだ捨てなくてもいいんじゃないかな?そんなに急がなくても」
今にも壊れそうな椅子に俺もそっと触れる。
ヒューイは微笑むと、頷いた。
「そうだな。まだ……もう少しだけ、このまま」
俺達2人は言葉もなく立ちつくし、手を繋ぐと古い椅子を見つめ続けた。
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本日、俺はそれを手伝いに来ていた。
元から掃除はあまり得意ではないというヒューイと、この機会に壊れたストーブや着ていない衣服など大量に捨てた。
俺がロディのクローゼットを整理していると、床に置かれたシルバーのボックスにつま先をぶつけた。
開けてみると、中から大量の写真がでてきた。
幼い頃のヒューイが笑顔で写っている。
可愛いと思って、他の写真も眺めていると声がかかった。
「懐かしいな」
俺の肩越しにヒューイが写真を見つめている。
どの写真にもヒューイの隣には必ずシュリが写っていた。
キャンプの日も、卒業式の日も。
いつも2人、仲良く並んで写真に納まっている。
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