vamps

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　妹がいるとはいえ、こんなに大勢の小さな子供たちと遊んだりした経験が俺にはなかった。

　６人いる子供たちのなかでオレンジと紫の髪をした2人の子供はヴァンプだろう。
　2人の容姿は子供であっても際立っていた。
　幼い頃のティアを思い出し、ほんの少し強ばっていた心が解ける。

　俺は子供たちに引っ張られて、室内に異動した。
　ルディが楽しそうにこちらにひらりと手を振る。

　外観は古びたビルのような建物だが、中は綺麗にリフォームされていた。
　子供たちが教室と呼ぶ部屋に足を踏み入れる。

　そこは本当にジュニアスクールのクラスのような造りだった。
　壁には画用紙にクレヨンで書いたらしき子供たちの絵が並び、椅子と机の組み合わせが色々な大きさで30セットほどあった。

「今日は授業はないの？　」
　試しに聞いてみると、オレンジ色の髪の毛をした子供が笑った。
「今日は日曜日で祝日だから学校はないよ。ところでお兄ちゃんの名前はなんていうの？　」
　車に乗りっぱなしで、曜日感覚が狂う。
　俺が名乗ると、1人1人自己紹介が始まった。

「ここは昔村だった場所だけど、過疎化が進んで誰もいなくなっちゃったんだ。最初はすごく荒れ果てていたけれど、ルディや他の大人が頑張ってくれたおかげで私たちが住めるようになったの」
　紫の髪の毛の女の子、マリアは、トランプを切りながらそう言った。

「でもここは不便だろ？　」
　周りは見たところ森ばかりで公園すらない。
子供たちは無理やりここに閉じこめられて、自由解放軍の思想を植え付けられているんじゃないか。
　そんなことを考えながら問うと、マリアは大きく首を振った。

「ここから車で30分も行けば、大きいショッピングモールがあるから、何でもそろうよ。去年はみんなで遊園地にも行ったし」
「でもきちんとした学校に通いたいんじゃないか？　そうしたら友達だって、もっとたくさんできる」
　広い教室に子供が６人だけという光景はどこか寂しい。

「友達なんて」
　そう言うと、マリアがキュっと己の唇を噛みしめた。