vamps

155

　揺り起こされ、飛び起きた。
　辺りを見回すと、どうやらヒューイたちと別れた森の中らしい。

「外に出たら？　」
　ルディにそう言われ、俺は慌てて車のドアを開けた。
　車外の清涼な空気を吸い、ようやく肩の力を抜いた。
「これ」
　助手席に座ったルディから自分のスマホを渡される。
「迎えに来てもらいなよ」
　ルディの言葉に頷く。

「まあ、これからアレンも大変だろうけどね。俺達のこと警察からしつこく聞かれると思うよ」
　どこか面白そうにルディが言う。
　俺が警察にアジトやあそこに住んでいる仲間についてペラペラ話しても構わないのだろうか。
　でもそれで、あそこに住んでいる人達が逮捕されたら……。
　それを俺は望んでいるのだろうか。
　俺は子供たちやモルガンの顔を思い浮かべた。

「大丈夫だよ」
　ルディはこちらをまっすぐに見つめていた。
「今までもなんとかやってきたんだ。これからだってそうするさ」
　ルディの言葉はリーダとしての自信に満ちあふれていた。

「なんでそんなにヴァンプのために頑張れるんだ。あんたは人間なんだろ」
　思わず聞いてしまった俺の問いにルディが目を見開いて固まった後、急に吹きだした。

「仲間にならない奴には教えてやらない」
　ルディがウインクすると、車のエンジンがかかる音がする。

「さよなら」
　またねではないことにほっとし、俺はその場に崩れ落ちる様に膝をついた。
　返却されたスマホでヒューイに電話をすると、すぐに迎えに行くと言われた。
　ほっとし、近くの岩に腰を降ろす。

　思っていたよりずっと早く、エンジンの音が聞こえた。
　見慣れた軽トラが猛スピードで近づいてくる。
　急ブレーキの音が辺りに響き、ヒューイが運転席から転げ落ちるようにおり、こちらに走ってくる。
　疲れて立ち上がることすらできない俺の前でヒューイは膝をついた。
「アレン、本当にお前なんだな」
　ヒューイが俺の頬を包み込むようにそっと触れる。