銃器が弱すぎる世界に転生したけど銃知識と現代戦術知識で成り上がる

1.5章 旅団集落キャラバン

閑話 フルイキオク

　レレイア村と呼ばれる村にある孤児院には、三人の子どもがいた。
　三人の内である赤髪で狼人ウルズの少年は、正義感が強く弱きものを守るために、剣を振るい続けた。
　三人の内である桃髪で兎人ラピッドの少女は、慈愛の子事があり傷つく人を見たくないために、魔術を研鑽し続けた。
　三人の内である金髪の人間ヒュ―マンスの少年は、飢えや苦しみを無くすために、商売するための方法やアクセサリー製作に精を出す。
　三人の子どもは孤児院で元に過ごし切磋琢磨してそれぞれの道に行く。
　赤髪の狼人ウルズの少年は青年になって一騎当千の冒険者になり、桃髪の兎人ラピッドの少女は回復に特化した魔術師になり、金髪の人間ヒューマンスの少年はだれもが認める商人になった。
　狼人ウルズの青年は様々な国を飛び回って内にとある話を聞く、それは異世界からやって来る者……転生者を迫害し続けた事だ。
　狼人ウルズの青年……バロックはなぜこんなことをするか問い詰めた、国の兵士の答えはこれだ。

「転生者は異次元の技術を持ってきて、世界を混沌に変えた事がある。被害を考えない奴らの事なんて極刑の方が優しいくらいだ」

　そういわれたバロックは二つの目標を掲げる、それは転生者の名誉を回復させること。
　異世界と呼ばれる存在は初めて聞いたが、しかし彼は昔の価値観を押し付けて迫害させるのはおかしい。
　そう思った彼はさっそく、世界を回っている時に仲良くなった冒険者と共に、王都に直談判を計画する。
　その途中で兎人ラピッドの少女と人間ヒューマンスの青年……リーベットとルイであった、バロックは懐かしそうに二人に使づく。

「おーい、リーベットとルイ！」

　二人は声がした方に振り向くと、懐かしそうに叫ぶ。

「貴方は――！」
「バロック！？　久しぶりだね」
「まぁな」

　バロックたちは久々に話そうと近くの酒場によって話し合う。
　それは学生の時に起きた事件、商業で見た希少不浄人形ドールズの発見、世界を回っている時に見た文化など話し合った。
　各々が起きた事を話し合っていると、ルイが用事を思い出して酒場から出る。
　バロックもそろそろ戻らなくちゃいけないと思い、酒場から出ようとするとリーベットがバロックの片手を掴んで止まらせる。
　バロックは一体どうしたんだと思いながら、後ろを振り向くとリーベットは顔を赤く染めながら耳元に囁く。

「（申し訳ありませんが、ちょっとだけ付き合ってくれませんか？）」

　リーベットの囁きにバロックは少しだけ頬を赤く染まり、少しだけと付いて行くことにした。
　しばらくして着いた場所は月夜が良く見える高台だった、一体何をするのだろうかと首を傾げるバロックはリーベットの方を見るといきなり抱いてきた。
　バロックは驚いて落ち着かせようとすると、リーベットは大粒の涙を流してかすかに言う。

「あなたは……バロックさんは王都に向かおうとしてますよね？　転生者のために……」
「ッ――！？」

　バロックはなぜ明日行う作戦をリーベットが知っているのかと知りたかったが、どうせあの金髪商人が教えたのだろうと思い頭を掻く。
　そしてリーベットに本当の事を言う。

「アア、そうだ。俺は明日王都に向かう」

　バロックはそう言うとリーベットは少し呆れ名が言う。

「貴方なら言うと思いましたよ……絶対帰ってきてくださいよ？」
「分かったぜ」

　バロックはそう言うとこの場から去る、しかしリーベットは知らなかった、これでさいごの会話になるとは思わずに。



　久々に会えて数週間が経つ、リーベットはレレイア村の孤児院の近くにある小屋で、山積みの魔導書を鑑定しているとルイが慌てて小屋に入る。
　リーベットは鑑定用の眼鏡をはずしてルイに近づく。

「どうしたのですか？　そんなに息を荒くして？」

　リーベットは首を傾げながら質問する、ルイは少し息を整えて言う。

「バロックが……王都に突撃している時に謎の男【Ｍｒジャスティス】に殺された。しかもあいつの信念をバカにしながらだ」
「へッ……？」

　リーベットはルイが言っている事がわかなかったが、徐々にこれが現実だと知ると頭を強く抱えて叫ぶ。

「イヤァァァァ！」

　信じたくない、これは嘘で本当は生きているんだ、認めたくないと様々な感情が溢れ出すが、いくら泣き叫んでも二度とバロックと話す事ができずに悲しみと怒りが込み上がってくる。
　ルイはリーベットの背中をさすりながら言う。

「落ち着け！　それにあいつから遺言を聞いているんだ！」

　ルイの言葉を聞いたリーベットは顔を上げる、ルイはその遺言を彼女に伝える。

「『もし俺が死んだらあいつに伝えてくれ、復讐をしないで欲しい。俺はお前が人を築けるのは見たくない、だから子供たちを育てて立派にしてくれ』ってな。本当にアイツはいろいろ凄いな」

　ルイは遺言を言い終えると呆れながら頭を掻く、しかし彼の目じりには何か乾いた跡があった。
　リーベットは大きくため息を吐くと、笑みを浮かべながら言う。

「フフ……あの人らしいですね」

　リーベットはその後王宮魔術師を止めて孤児院を形成する事にした、愛する人の約束を守るために。


　そうして数年時が経ちリーベットは不意に空を見上げる、ちょうど月夜が輝く夜だ。

（そう言えばバロックさんとの最後の会話もこの月夜ですね……）

　リーベットは感慨深そうに思うといきなり大人達が何かを抱えてやってくる、大人達の方に向くと抱えていたのは赤ん坊二人だった。
　リーベットは赤ん坊二人を預けると魔力量の探知する、金髪女の子の方は大量の魔力量があって高くても王族級キングだろう。
　そして黒髪男の子の方はなんと、魔力量が異常に少なく高くても奴隷級スレイブであった。
　彼女は悲しそうに見つめるが、しかし愛する人も同じ魔力が少なかった、彼女はこの子を危険にはさせないと心の奥底に決める。
　それから数年後が経って不意に空を見上げる、その日は月夜が輝いていた。
　彼女は少しだけ思い過ぎる。

（そう言えばアレス君とアリスちゃんに出会った日も月が輝いていましたね……）

　彼女は椅子から立ち上がって、窓を開けるとそこには愛する人……バロックがいた。そのことに驚きながらも手を伸ばしたと同時に、突風が吹いてきて目を閉じる。
　リーベットが目を開けるとそこには平然とした広場になった、しかし彼女は少しだけほおを緩めながら呟く。

「バロックさん……あなたがいなくても私は歩みます。たとえ現実が酷くて諦めずに進みます」

　リーベットはそう言うと窓を閉めて、カーテンを閉じる。愛する人が心配しないために進み続ける。