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2章 邪月の都ルナ
60.手打ち
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奥様を救出してから二週間が経つ。俺は奥様の護衛として本家と会合に参加している。会合を行っている場所は屋敷にある訓練場だ。
見晴らしもよく、ここに暗殺者をいさせても純吸血鬼や吸血鬼の視力の前だと容易くバレる。そのためそっちが襲い掛かれないように、両方護衛を着けている。
そしてレヴァンの方には傭兵二人とウォーロックさんが護衛として会合に参加している。俺としてはこの場で奥様を裏切った理由を問い詰めたかったが、今この場で聞いたら失礼だから今は耐え、会合が始まる。
一応平等にするため、この世界の裁判でよく使われる魔法具裁定の秤を使って嘘を探知する。それだけでは「自分たちが有利になるように細工を施した!」と糾弾されるため、細工を無い事を相手に見せた上に、他の貴族の吸血鬼や純吸血鬼を立会人として参加している。
会合の内容はこの間の戦争と奥様救出の件、そしてその騒動に出た負傷者や死者についてだ。
レヴァンは奥様救出で犠牲になった隼人もといアイヴァンを殺したことを赦す、だがその代り奥様とお嬢様の身柄をこちらに連行するように要求する。
しかし奥様はレヴァンの言葉に反論する。
「確かにあなたの息子を殺したことは許せる事じゃない。だけど彼は娘をいたぶろうと画策していたでしょ? それに他にも余罪があるのは隠すつもり?」
奥様は目を鋭くにらみながらレヴァンに質問する。しかし当の本人はもちろん、レヴィンは奥様の質問を子バカにするように嘲笑う。
「ハッハッハ! 今更あの小娘に無駄な期待を掲げるなんて、とんだ笑い草だな!」
「エエ、まったくだ! 魔力が少ない奴隷級に期待するなんて馬鹿以外でもない!」
コイツ等……! 俺は奥様や旦那様をバカにしたどころか、お嬢様の事を侮辱されて腹の底から怒りがわき出す。しかしここで襲い掛かったら、この会合が台無しになるどころか、奥様とお嬢様の身柄は渡すのが決定的になってしまう。
そんな最悪の事態にならない様に、俺は歯を食いしばって怒りを抑え込む。
その様子を見てレヴァンは自分の価値が確定したように饒舌に話す。
「フッ! まさかお前の執事はたかがそんなことで怒り狂うなんて言わないだろうな? 仮にこの場で暴れたら私達の価値は確定だからなぁ、アッハッハッハ!」
コイツの言う通り、俺がこの場で暴れてしまったら俺達の負けだ。あいつ等の目的は俺を怒らせて会合を滅茶苦茶にさせると画策しているだろう。
しかし奥様は冷静にレヴァン達を見てあまりの露骨さに呆れてため息を吐く。そして奥様はレヴァンに向けて言い放つ。
「でしたら夫はあなた達に当主を譲る気はありませんよ?」
「そうかそうかって……ハッ?」
奥様の言葉を聞いたレヴァンはその言葉を聞いて素っ頓狂な声を出す。
レヴィンも鳩に豆鉄砲を食らったような顔をして驚いている。マァ、ウォーロックさんは呆れていて「だろうな……」と思っているだろう。
奥様は二人にさらに追い込みをかける。
「もしこの場に夫がいたら『仮に我が輩が何者かに殺されたとしても、当主はレノンに譲る』と言っていそうですし、私も娘に当主を与えても快く受け入れるわ」
「「ハァ!?」」
奥様の言葉を聞いたレヴァンとレヴィンは驚きのあまり大声で叫ぶ。あいつ等にとって武術や魔力が優れているカイン様ならともかく、魔力が少ない上にまだ子供のお嬢様に当主を譲るなてもっての外だろう。
俺の思いは当たって二人は認めずに糾弾する。
「ふざけるな! 貴様の息子ならともかく、あんな出来損ないを当主にするなんて何を考えているんだ!?」
「貴様……気が狂ったとでもいうつもりか!」
奥様は二人の糾弾を軽く流して淡々と理由を説明する。
「娘は確かに弱いかもしれないわ、でもそれはまだ才能が開花していなかった。それにカインは当主なんて興味が無くて、娘を守ろうとこの屋敷にいるだけよ?」
「な、何ィィィィ!?」
カイン様が当主に興味が無い事を知ったレヴァンは裏返った声で叫ぶ。それに付いてはカイン様に質問して聞いた。
『カイン様って当主にご興味ございますか?』
『当主か……いや、俺はそう言うのは興味ない。それに事務作業はできるが戦闘の方が合うんだ』
その時は「へぇー」とカイン様の権力の興味が無い事に頷いていたが、俺が昔読んだラノベだと異世界にいる貴族は碌な連中かそれ以外に別れいる事を思い出して「やっぱり権力より戦闘を楽しむ旦那様に似ているなぁ」と思った。
レヴィンは慌てふためき、レヴァンは反論を考えている所に一人の傭兵が手を挙げる。
「なぁ、少し聞いてもよろしいか?」
「アア、良いぞ」
女性の吸血鬼が発現の許可を出し、傭兵が奥様に質問する。
「そっち側にいるお嬢様は才能があるなていうが、それっていったいどんな才能なんだ?」
二人は傭兵の言葉を聞いて一気に反論を与えないように質問する。
「そ、そうだ! あんなガキにどんな才能が有るんだ!」
「それに仮に持っていたとしても使いこなせるわけ無いだろう!」
コイツ等は戦場に出てないためお嬢様の才能は知らない、だからここは俺が前に出る。
俺は男の純吸血鬼にお辞儀をして、この場似る全員に聞こえる様に大声で自己紹介をする。一応お偉いさんがいるため、サラリーマン口調で会話をする。
「皆様、僕の名前はアレスと申します。さっそくお嬢様の才能を見せるためにこちら人形を使わせていただきます」
俺は保持容量《ホースキャパシティー》から鎧を着させた人形を、会合をしている場所から少し離れておく。二人はどうしてこんなことをしている分からずに首を傾げる。マァ、あとでその表情は恐怖に変わるけどな。
そう思いながら人形の設置を終えて元の場所に戻る。すると乾いた音が響き、一筋の弾丸が人形の肩に容易く貫く。もちろん鎧を着させても貫通した。
見晴らしもよく、ここに暗殺者をいさせても純吸血鬼や吸血鬼の視力の前だと容易くバレる。そのためそっちが襲い掛かれないように、両方護衛を着けている。
そしてレヴァンの方には傭兵二人とウォーロックさんが護衛として会合に参加している。俺としてはこの場で奥様を裏切った理由を問い詰めたかったが、今この場で聞いたら失礼だから今は耐え、会合が始まる。
一応平等にするため、この世界の裁判でよく使われる魔法具裁定の秤を使って嘘を探知する。それだけでは「自分たちが有利になるように細工を施した!」と糾弾されるため、細工を無い事を相手に見せた上に、他の貴族の吸血鬼や純吸血鬼を立会人として参加している。
会合の内容はこの間の戦争と奥様救出の件、そしてその騒動に出た負傷者や死者についてだ。
レヴァンは奥様救出で犠牲になった隼人もといアイヴァンを殺したことを赦す、だがその代り奥様とお嬢様の身柄をこちらに連行するように要求する。
しかし奥様はレヴァンの言葉に反論する。
「確かにあなたの息子を殺したことは許せる事じゃない。だけど彼は娘をいたぶろうと画策していたでしょ? それに他にも余罪があるのは隠すつもり?」
奥様は目を鋭くにらみながらレヴァンに質問する。しかし当の本人はもちろん、レヴィンは奥様の質問を子バカにするように嘲笑う。
「ハッハッハ! 今更あの小娘に無駄な期待を掲げるなんて、とんだ笑い草だな!」
「エエ、まったくだ! 魔力が少ない奴隷級に期待するなんて馬鹿以外でもない!」
コイツ等……! 俺は奥様や旦那様をバカにしたどころか、お嬢様の事を侮辱されて腹の底から怒りがわき出す。しかしここで襲い掛かったら、この会合が台無しになるどころか、奥様とお嬢様の身柄は渡すのが決定的になってしまう。
そんな最悪の事態にならない様に、俺は歯を食いしばって怒りを抑え込む。
その様子を見てレヴァンは自分の価値が確定したように饒舌に話す。
「フッ! まさかお前の執事はたかがそんなことで怒り狂うなんて言わないだろうな? 仮にこの場で暴れたら私達の価値は確定だからなぁ、アッハッハッハ!」
コイツの言う通り、俺がこの場で暴れてしまったら俺達の負けだ。あいつ等の目的は俺を怒らせて会合を滅茶苦茶にさせると画策しているだろう。
しかし奥様は冷静にレヴァン達を見てあまりの露骨さに呆れてため息を吐く。そして奥様はレヴァンに向けて言い放つ。
「でしたら夫はあなた達に当主を譲る気はありませんよ?」
「そうかそうかって……ハッ?」
奥様の言葉を聞いたレヴァンはその言葉を聞いて素っ頓狂な声を出す。
レヴィンも鳩に豆鉄砲を食らったような顔をして驚いている。マァ、ウォーロックさんは呆れていて「だろうな……」と思っているだろう。
奥様は二人にさらに追い込みをかける。
「もしこの場に夫がいたら『仮に我が輩が何者かに殺されたとしても、当主はレノンに譲る』と言っていそうですし、私も娘に当主を与えても快く受け入れるわ」
「「ハァ!?」」
奥様の言葉を聞いたレヴァンとレヴィンは驚きのあまり大声で叫ぶ。あいつ等にとって武術や魔力が優れているカイン様ならともかく、魔力が少ない上にまだ子供のお嬢様に当主を譲るなてもっての外だろう。
俺の思いは当たって二人は認めずに糾弾する。
「ふざけるな! 貴様の息子ならともかく、あんな出来損ないを当主にするなんて何を考えているんだ!?」
「貴様……気が狂ったとでもいうつもりか!」
奥様は二人の糾弾を軽く流して淡々と理由を説明する。
「娘は確かに弱いかもしれないわ、でもそれはまだ才能が開花していなかった。それにカインは当主なんて興味が無くて、娘を守ろうとこの屋敷にいるだけよ?」
「な、何ィィィィ!?」
カイン様が当主に興味が無い事を知ったレヴァンは裏返った声で叫ぶ。それに付いてはカイン様に質問して聞いた。
『カイン様って当主にご興味ございますか?』
『当主か……いや、俺はそう言うのは興味ない。それに事務作業はできるが戦闘の方が合うんだ』
その時は「へぇー」とカイン様の権力の興味が無い事に頷いていたが、俺が昔読んだラノベだと異世界にいる貴族は碌な連中かそれ以外に別れいる事を思い出して「やっぱり権力より戦闘を楽しむ旦那様に似ているなぁ」と思った。
レヴィンは慌てふためき、レヴァンは反論を考えている所に一人の傭兵が手を挙げる。
「なぁ、少し聞いてもよろしいか?」
「アア、良いぞ」
女性の吸血鬼が発現の許可を出し、傭兵が奥様に質問する。
「そっち側にいるお嬢様は才能があるなていうが、それっていったいどんな才能なんだ?」
二人は傭兵の言葉を聞いて一気に反論を与えないように質問する。
「そ、そうだ! あんなガキにどんな才能が有るんだ!」
「それに仮に持っていたとしても使いこなせるわけ無いだろう!」
コイツ等は戦場に出てないためお嬢様の才能は知らない、だからここは俺が前に出る。
俺は男の純吸血鬼にお辞儀をして、この場似る全員に聞こえる様に大声で自己紹介をする。一応お偉いさんがいるため、サラリーマン口調で会話をする。
「皆様、僕の名前はアレスと申します。さっそくお嬢様の才能を見せるためにこちら人形を使わせていただきます」
俺は保持容量《ホースキャパシティー》から鎧を着させた人形を、会合をしている場所から少し離れておく。二人はどうしてこんなことをしている分からずに首を傾げる。マァ、あとでその表情は恐怖に変わるけどな。
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