クロスオーバー・ラブ

黒崎由希

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気がついたら、上司と…13

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「…はっ…」


(マジかよ…)


 さっきから何度も繰り返し、そんな思いが快斗の胸を過る。


 …今日は本当に、仕事の延長で斎藤のマンションへ来たはずだった。


 それがまさか、斎藤の謎に包まれた私生活を垣間見たばかりか、こんなことになるなんて…思いもしなかった。

「…」

 黙ったまま姿を消した斎藤の背中を見送っていた快斗は、一度出して治まったはずの下肢に鈍い痺れを感じて…思わず苦笑いを零した。

「おいおい」


 する気満々なのは、課長だけだったんじゃないのか?


 そう前置きせずにいられない理由が、快斗にはあった。


 …斎藤には『男とセックスしたことがある』とは言ったが、それは興味本位でしたという過去であって、何も男とセックスするのが好きという訳ではない。


 大体にして、バックバージンを失った場所も学校の教室という色気のなさだったし、何の下準備もしないまま強引に体を繋げたせいで、その初体験は最悪な思い出として快斗の海馬に刻み込まれていた。


 ――お互い痛いだけで、何の良さも感じられなかった、セックス。


 それなのに、男とのセックスに興味を持ち、コンドームを取りに行った斎藤を受け入れる気になったのは、何もこの場の雰囲気に流されたからばかりではなかった。


(サラダ油より、オリーブオイルの方がいくらかましかな)


 姿を消した斎藤から視線を逸らし、人の家のキッチンを勝手に物色し出した快斗は、容量のある瓶に入っていたオイルを見ながら独りごちる。


 …最悪な初体験だったことを覆すように、一時ハマって通ったソープ嬢に唆された快斗は、アナルを刺激してイク快感を覚えていた。


『男の人の方が、ソッチの良さに目覚めちゃって、オナニーの時は弄らなきゃイけなくなるらしいんだけど』


 ――遊びの延長で、男としたことがある、なんて、ついうっかり言ってしまったのが運のツキ。


 大学のサークルで、罰ゲームとして行かされたお店の女の子が、顔に似合わずエッチなことに詳しかったせいで、快斗を更なる性戯に目覚めさせる原因となっていたのだった。



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