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36 クラスマッチ

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 時は流れ、今日は第1回のクラスマッチの日だ。
 心菜は朝から憂鬱で仕方がなかった。何故なら、今回のクラスマッチの内容がドッジボールだったからだ。心菜の苦手なドッジボールは、毎年第1回のクラスマッチの種目でもある。そして、心菜がこの競技を苦手としている理由は、心菜が異常なまでにボールを避けるのが上手いからだ。と同時に、ボールが取れず、投げられないからだ。
 今もまさに、心菜はドッジボールのグラウンドで1人ぽつんと生き残ってしまっている。先程心菜と一緒に生き残っていたクラスメイトまでボールに当たってしまい、もう心菜はひとりぼっちだ。

「頑張れー!!」
「久遠さんお願ーい!!」
「ここなー!!」
「心菜ちゃーん!!」
「ボールちょーだい!!」
「勝ち残れー!!」

 心菜は声援に笑顔で手を振っていたが、内心は荒れに荒れ果てていた。

(頑張れじゃないよ!!誰か戻ってきてよ!!というか、私にボールが取れるとでも!?)

 相手の女の子が恐ろしいスピードで投げるボールをひょいひょいと避けながら、心菜はもう泣きたい気持ちでいっぱいだった。

(あぁ、誰かがミスって味方の方にボールが転がって行かないかな………)

 心菜は一種の現実逃避をしている間も、風を着る音と共に恐ろしいスピードのボールを避け続ける。なんとなくで避け続けているが、これがいつまで続くか分からない。心菜は適当なところで、遅いボールに当たりに行こうと決意したが、本気で投げてくるボールはどれもこれもえげつない。

(え、これ当たったら痛くない?え、え、マジでこれ後何分避けないといけないの?)

 ちょっと絶望的な想像が頭によぎって、心菜の肌に鳥肌がたった。何故向こうのコートはバスケ部とバレー部、あとあと、野球部の子しか残っていないのだろうか。最初の方は普通の子もいたよね?

「当てろー!!」
「ちょこまか逃げる馬鹿なんて当てちまえー!!」
「そーだそーだー!!」

 うざったいブーイングに、心菜はもうげんなりしてしまう。当てられても文句を言われ、当てられなくとも文句を言われる。自分はどうしたらよいうのだろうかという、疑問が頭をよぎる。

 ーーーブォン!!

 目の前をボールが掠めて行き、心菜はそっと息を詰めた。

(あ、危なかった………!!)

 危機的状況によって、背中に嫌な汗が浮かぶ。


*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

明日から新作、
『婚約破棄されたのでお針子になりました。~私が元婚約だと気づかず求婚してくるクズ男は、裸の王子さまで十分ですわよね?~』
を始めます。
是非読んでみてください!!
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