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ケイに教える
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真っ直ぐな汚れを知らぬ瞳に見つめられた私は、最終的に折れてしまいました。
執務室の魔法の扉をしっかりと閉めて、ケイを連れて城の奥深くにある蝶の間へと足を進めます。進むにれて発生する重苦しい空気は、呪いに敏感な者ほど気付きやすく、呪いに鈍感な者ほど侵されやすいという不可思議な性質を持っています。
「お勤めご苦労様です」
アインスお兄様が張った結界の入り口付近で控えている騎士に軽くお辞儀をして、私はケイを連れて結界の内側に入ります。
ーーーぶわぁっ!
入った途端視界に入ってきたのは紫の淡い霧とふわふわと宙を舞う宝石のような輝きを放つ紫の蝶でした。淡く美しい視界が本来は毒であると誰が信じるでしょうか。けれど、ケイはこれが“呪い”であると感じ取っているのか、ぐっと顔を顰めていました。
「………レムには双子の妹がいました。レムとそっくりの容姿に黒っぽい緑の髪と若葉色の瞳を持ったそれはそれは美しい少女でした。2人はとある公爵家からの推薦で奉公に来たメイドで、本当に仲が良かったです。常に一緒にいて、本当にそっくりで、メイドたちみんなから愛されていました」
「………レムに双子の妹がいたって初耳」
「えぇ。あなたには言ったことがありませんでしたから」
所々に見える鏡に映る私の顔は寸分も動かない無表情で、そんな私を客観的に見つめながら、私は歌うようにすらすらと言葉を紡ぎます。
「レムの双子の妹の名はレナ。ある日突然、紫の蝶の呪いによって倒れました」
「それって………、」
私は無表情のままケイをじっと見つめ、そして目の前に現れた精緻な作りの蝶が彫られている大きな扉をぎぃっと開きました。
*************************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
執務室の魔法の扉をしっかりと閉めて、ケイを連れて城の奥深くにある蝶の間へと足を進めます。進むにれて発生する重苦しい空気は、呪いに敏感な者ほど気付きやすく、呪いに鈍感な者ほど侵されやすいという不可思議な性質を持っています。
「お勤めご苦労様です」
アインスお兄様が張った結界の入り口付近で控えている騎士に軽くお辞儀をして、私はケイを連れて結界の内側に入ります。
ーーーぶわぁっ!
入った途端視界に入ってきたのは紫の淡い霧とふわふわと宙を舞う宝石のような輝きを放つ紫の蝶でした。淡く美しい視界が本来は毒であると誰が信じるでしょうか。けれど、ケイはこれが“呪い”であると感じ取っているのか、ぐっと顔を顰めていました。
「………レムには双子の妹がいました。レムとそっくりの容姿に黒っぽい緑の髪と若葉色の瞳を持ったそれはそれは美しい少女でした。2人はとある公爵家からの推薦で奉公に来たメイドで、本当に仲が良かったです。常に一緒にいて、本当にそっくりで、メイドたちみんなから愛されていました」
「………レムに双子の妹がいたって初耳」
「えぇ。あなたには言ったことがありませんでしたから」
所々に見える鏡に映る私の顔は寸分も動かない無表情で、そんな私を客観的に見つめながら、私は歌うようにすらすらと言葉を紡ぎます。
「レムの双子の妹の名はレナ。ある日突然、紫の蝶の呪いによって倒れました」
「それって………、」
私は無表情のままケイをじっと見つめ、そして目の前に現れた精緻な作りの蝶が彫られている大きな扉をぎぃっと開きました。
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