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77 皇女が手に入れた書類
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「書類はこれで全てか?」
セレスティアは受け取った書類をパラパラパラとめくって、ざっくりと1周目を通した。
「はい、シャトイン子爵夫人に関する書類はそれで全てにございます」
黒曜は頭を垂れたまま抑揚のない声で返した。ミシェルは感情を読めないことに恐怖を覚えたのか、セレスティアの軍服の裾をきゅっと握った。
「そう、………他のものに関する情報で使えそうなものは?」
「こちらにございます」
「ありがとう」
セレスティアは2冊目の書類も1冊目と同じように目を通した。時間がなかったはずなのにも関わらず、いつもながら黒曜の仕事はスピーディーで美しかった。お手本のように流麗な文字に文体、分かりやすい言葉遣い、どこをとっても完璧だ。だが、ここからとっても黒曜の性別は測れなかった。
「相変わらず、君の仕事は美しい。これからもよろしく頼む」
「ありがたきお言葉にございます」
黒曜は少し感激したような声を上げた後、元からそこにいなかったかのように煙のように消えていった。ミシェルはまた身体をビクッと揺らした。そんなミシェルを見て、セレスティアは今後ミシェルに『影』を関わらせまいと心に決めた。
「戻ろうか、ミシェル。最後の大仕事だ」
「うん、頑張ってね」
「あぁ、当然だ。………帝国に蔓延る膿は出し切る」
「うん、そうだね」
会場のある方角を睨みつけるように剣呑で鋭い表情を浮かべたセレスティアに、ミシェルは出来るだけ優しく頷いた。セレスティアは心の内で暴れている激情を表すかのように、黒曜が集めた書類をぎゅっと握っていた。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
セレスティアは受け取った書類をパラパラパラとめくって、ざっくりと1周目を通した。
「はい、シャトイン子爵夫人に関する書類はそれで全てにございます」
黒曜は頭を垂れたまま抑揚のない声で返した。ミシェルは感情を読めないことに恐怖を覚えたのか、セレスティアの軍服の裾をきゅっと握った。
「そう、………他のものに関する情報で使えそうなものは?」
「こちらにございます」
「ありがとう」
セレスティアは2冊目の書類も1冊目と同じように目を通した。時間がなかったはずなのにも関わらず、いつもながら黒曜の仕事はスピーディーで美しかった。お手本のように流麗な文字に文体、分かりやすい言葉遣い、どこをとっても完璧だ。だが、ここからとっても黒曜の性別は測れなかった。
「相変わらず、君の仕事は美しい。これからもよろしく頼む」
「ありがたきお言葉にございます」
黒曜は少し感激したような声を上げた後、元からそこにいなかったかのように煙のように消えていった。ミシェルはまた身体をビクッと揺らした。そんなミシェルを見て、セレスティアは今後ミシェルに『影』を関わらせまいと心に決めた。
「戻ろうか、ミシェル。最後の大仕事だ」
「うん、頑張ってね」
「あぁ、当然だ。………帝国に蔓延る膿は出し切る」
「うん、そうだね」
会場のある方角を睨みつけるように剣呑で鋭い表情を浮かべたセレスティアに、ミシェルは出来るだけ優しく頷いた。セレスティアは心の内で暴れている激情を表すかのように、黒曜が集めた書類をぎゅっと握っていた。
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