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29 アルフレッドの敗北
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「………このパンケーキが食べたいわ」
甘味が大好きで仕方がないマリンソフィアは、震える手でそのパンケーキの絵を指差し、煌々とした表情でアルフレッドにねだった。
恋人専門店というだけあって、恋人同士の距離がとても近くなるように設計されていて、1,5人がけソファーに2人で座ったマリンソフィアとアルフレッドの肩が常に触れ合ってしまう。アルフレッドは上目遣いときらきらした表情でねだってくるマリンソフィアに『OK』と言いかけて、必死になって思いとどまった。流石に、事故とはいえ恋人専門店に絶賛片思い中の幼馴染と来て、2人でお皿を分け合い、間接キスになってしまうハートストローで炭酸ジュースを飲むという地獄は避けたい。
「………………だめだ」
マリンソフィアの期待に応えなかったアルフレッドに、マリンソフィアは思わず頬を膨らませる。
「むうぅ、なんで」
「絶対食うのに時間かかるだろ、それ」
「うぐっ、」
マリンソフィアは泣きそうなうるうる顔で、じーっと大きなパンケーキの絵と付属品の桃色の炭酸水を見つめた。ハートのストローが可愛くて、マリンソフィアは飲んでみたくてたまらないのだ。
(さてはこいつ、間接キスにも、分け合ってパンケーキを食べるという事実にも、一切気づいていないな?………ここまで鈍感な馬鹿には、多少の意地悪も許される、………か?)
「………今日だけだぞ、ソフィア。すみませーん」
アルフレッドは大きく溜め息をついて、そのあとに店員さんを呼んだ。
「この、『ごちゃ混ぜ生クリームチョコフルーツスペシャルパンケーキ』というのをください」
「承知いたしました。ちなみに、このパンケーキは付属品ごと30分以内に完食すれば、料金がタダになります。是非、仲良しカップルで協力して食べさせ合いっこを楽しんでくださいね」
「あー、はい」
曖昧な返事をしたあと、アルフレッドはルンルンと目を輝かせているマリンソフィアに視線を向けた。本当に、彼女は人の気も知らないで伸び伸びとしている。恨めしい限りだ。
「いいの!?アルフレッド!!本当にいいの!?」
「あぁ、いいぞ。ただし、一応事故とはいえ恋人専門店に入ったんだ。ここにいる時間ぐらいは、恋人らしくいような」
「うん!」
「………ソフィア、本当に分かっているか?」
「分かってるよ。楽しみだなー、パンケーキ!!」
パンケーキをぶら下げられたマリンソフィアは、ルンルンと足を揺らしていた。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
甘味が大好きで仕方がないマリンソフィアは、震える手でそのパンケーキの絵を指差し、煌々とした表情でアルフレッドにねだった。
恋人専門店というだけあって、恋人同士の距離がとても近くなるように設計されていて、1,5人がけソファーに2人で座ったマリンソフィアとアルフレッドの肩が常に触れ合ってしまう。アルフレッドは上目遣いときらきらした表情でねだってくるマリンソフィアに『OK』と言いかけて、必死になって思いとどまった。流石に、事故とはいえ恋人専門店に絶賛片思い中の幼馴染と来て、2人でお皿を分け合い、間接キスになってしまうハートストローで炭酸ジュースを飲むという地獄は避けたい。
「………………だめだ」
マリンソフィアの期待に応えなかったアルフレッドに、マリンソフィアは思わず頬を膨らませる。
「むうぅ、なんで」
「絶対食うのに時間かかるだろ、それ」
「うぐっ、」
マリンソフィアは泣きそうなうるうる顔で、じーっと大きなパンケーキの絵と付属品の桃色の炭酸水を見つめた。ハートのストローが可愛くて、マリンソフィアは飲んでみたくてたまらないのだ。
(さてはこいつ、間接キスにも、分け合ってパンケーキを食べるという事実にも、一切気づいていないな?………ここまで鈍感な馬鹿には、多少の意地悪も許される、………か?)
「………今日だけだぞ、ソフィア。すみませーん」
アルフレッドは大きく溜め息をついて、そのあとに店員さんを呼んだ。
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「承知いたしました。ちなみに、このパンケーキは付属品ごと30分以内に完食すれば、料金がタダになります。是非、仲良しカップルで協力して食べさせ合いっこを楽しんでくださいね」
「あー、はい」
曖昧な返事をしたあと、アルフレッドはルンルンと目を輝かせているマリンソフィアに視線を向けた。本当に、彼女は人の気も知らないで伸び伸びとしている。恨めしい限りだ。
「いいの!?アルフレッド!!本当にいいの!?」
「あぁ、いいぞ。ただし、一応事故とはいえ恋人専門店に入ったんだ。ここにいる時間ぐらいは、恋人らしくいような」
「うん!」
「………ソフィア、本当に分かっているか?」
「分かってるよ。楽しみだなー、パンケーキ!!」
パンケーキをぶら下げられたマリンソフィアは、ルンルンと足を揺らしていた。
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