ソーシャルネットソルジャー

波多野旭

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ロボットに支配される者

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青天の霹靂――現状況を表すにはこの言葉が妥当だろう。
雲一つない昼時の街に突如、空から銀色の巨大ロボットが姿を現した。
ロボットは現れるも動くことも攻撃することもなく、ただその場に立ち尽くすばかりだ。
そのロボットをランチタイム中のOLや犬を連れて散歩する老人、学校をサボりスマホ片手に持ちベンチに座る学生等ロボット周辺に居合わせた老若男女の視線が一斉にロボットに集中した。
その場には取引先に文句を言い、そのことで上司に注意され椅子を蹴り次の取引先に向かう道中に上司にパワハラされたとSNSにツイート最中の左沢左右(あてらざわあてら)の姿もあり、彼もロボットに視線を合わせる。
だが、大勢の視線を浴びてもロボットは動こうとはせず直立不動のままである。
ロボットは依然直立不動のまま、街の真ん中に佇んでいた。
しかし、その周辺は直立不動とはいかなかった。
ロボットの半径1キロメートルでは報道機関の車両やカメラマン、ロボットを象ったクッキーや饅頭等を便乗商売する屋台、さらにはそれやロボットめやてで集まった観光客と野次馬などで辺りが門前成市になっていた。
そして、ロボット騒ぎでテンションが上がっている観光客や野次馬達がロボットに近づいていかないように、黄色の立入禁止テープの前には警察官が野次馬等をものともせずに立ちはだかる。
そんな状態が1週間続く。
その光景を近くの10階建てマンションの8階ベランダで若干の高みの見物感をだしながら左右はスマホ片手に門前成市な光景を見つめていた。
少し窓を開け、隙間風が入ってくるリビングではテレビのスイッチがつけっぱなしになっており音量はベランダまで聞きえるように調整してある。
そのテレビの画面には時計の長短針が12の1つ前の数字に示すと同時に始まるお昼のワイドショーに合わせており、番組が始まる早々男女一組ペアの司会者が視聴者に向けて一礼し女性のアナウンサーが神妙な顔で口を開いた。
空から謎のロボットが出現し、依然直立不動のまま1週間以上が経過しました。今日は連日お伝えしていますロボットの特集と共にロボットが与えた社会的影響等を交えながら送りいたします。まずはこちらをご覧下さい。

カメラに視線を合わせながら女性司会者は、後ろに縮小させたロボットの画像を中心にいくつかの吹き出しコメントが部分部分に貼ってある説明ボードに移動し指を揃えた手で吹き出しコメントの文章を指しながら透き通った声で説明文を読み上げた。
説明文を読み上げると同時に男性司会者がすかさず口を開いた。

これね、まぁ4つ吹き出しがあるんですけどね、この番組独自でなく国が直接調べて発表しているのをボードに貼ってあるんですが、1つの吹き出しに4行しかないのはちょっと少ないと思うのですがどうですか?

お得意のコメント力を発揮しながら、男性司会者は斜め向かい側の少し強面の政治ジャーナリストに振った。

ちょっと少ないですね。ロボットが出現してから1日も経過せずに規制線を張り、約4日間調査チームを派遣したのはよかったのですが、4日間かけたにしては少なすぎると国民からの批判的意見が多数受けているのが現状ですね。しかも調査チームが撤退した同時刻に発表されたので、さらに火に油を注ぐ感じになっちゃいましたね。

「なっちゃいましたねじゃねぇだろ」
ベランダでツッコミを入れた左右はリビングに戻り、ソファに座りつけっぱなしのテレビを見つめる。
「毎回同じ事やってんなぁ。視聴者はもう飽き飽きしてんじゃぁねぇか」
少し呆れ顔の左右は片手にスマホを持ちながらテレビを見続ける。
しばらくして見ていると少しウトウトし始める左右。これはいかんと思い片手に持っていたスマホを見始める。
だが、ウトウトが止まらずそのまま寝落ちしてしまった。

どのくらい経過しただろうか。目を覚ますとすぐさまスマホを見た左右は少し違和感を覚えた。
「なんだ?このアプリ・・・」
見覚えのないアプリが勝手にインストールされており少し気になった左右はアプリをタップした。
「ソーシャルネットソルジャー?なんじゃこりゃ」
タップするとアプリ名がでており、名前の下にはこう書いてあった。

このアプリは突如出現したロボットによる意見交換ツールであります。ですのでいろんな意見を書き、どしどし投稿してくださいね。

そう書いてあったので、左右はすかさず“そのまま動かずにいろ”と書き投稿した。
投稿するとアプリを閉じ再び目を閉じ眠りに入る。
しばらくして目が覚めると同時にテレビを見る。
画面には夕方のワイドショーが映っていた。話題はもちろんロボットのことだ。
連日お伝えしていますロボットでありますが、少し進展があったようですね。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、今ソーシャルネットソルジャーというアプリがいつの間にかインストールされている現象が
「マジでか。コメント投稿しちゃったよ」
再びスマホを片手にソーシャルネットソルジャーのアプリをタップし起動すると前回見たときより投稿量がはるかに上回り左右は驚愕した。
「こんなにみんな投稿しているのか」
“動け。そして全部破壊しちまえ”
“動いて邪魔なビルなどを壊しちまえ”のような過激な投稿から
“そのままじっとしてて。動かずに平和に平和に”
等の投稿がされているが比較的多いのは“動け”関係の投稿がパッとみ多かった。
話題はやはりロボットとアプリの事であった。
「だからいつも同じ事すんなって。他にもっと大事なことがあるだろうに」
少し怒り気味の左右はリモコンをとり電源を消した。
スマホの電源を入れ、アプリをタップし起動させる。
するとまた投稿量が増えたらしく、画面上にはこう表示されていた。
投稿量がかなり増えましたね。それを記念して残り1時間で皆さんにロボットは動くべきか動かざるべきかを投票します。それではスタート!!
スタートした途端
“動け。そして腐った社会をぶっ壊せ!”関連の投稿から始まり
“展示品として扱ってよいのでは” 等の投稿もあった。
今まで投稿量を見た限りはるかに上回っており左右は少し驚いた。
「おいおい、みんなどんだけ動いてほしいねん」
左右は驚きのあまり地元の関西弁が出てしまった。
それはさておき、みんながあのロボットを動かしたいと思っているんだなぁと灯りをともされてるロボットを見ながら思った左右。
「よし!寝ますか」
寝室に行き、ベットにダイブし寝っ転がり目を閉じた。
目を覚まし、リビングへ行きテレビのスイッチを入れると朝のワイドショーが始まっていた。
えーとですね、例のソーシャルネットソルジャーというアプリ内でで投票したらしいんですけどね。
ソーシャルネットソルジャーと聞き、左右はアプリをお得意げにタップした。
すると画面上には投票結果発表と表示されており、下には円形のグラフが添付されていた。
動け関連投稿58%、動くな関連投稿42%。
グラフにはこう表示されその下にはこう表示されていた。
ー結果が出ましたね。皆さんロボットが動いてほしいのですね。なので、明日動くようになるので期待してください。
この表示に“よっしゃ、ぶっ壊せ!”のような過激の投稿や
“やめて、明日仕事だから動くんなら休日にして”等の投稿が相次いだ。
左右は“動くな!”と投稿した一人である。
「昨日結果が出たからロボットが動くのは今日ってことか!」
ベランダからロボットを見る左右。だが依然直立不動のままであるロボットは動くそぶりも見せず、周りは動くと知ってのことかいつも以上に野次馬や観光客が騒いでいる。
「もし動いたらあの人たち危ねぇぞ」
ベランダで観光客や野次馬等を見ている左右は少し心配をした。
リビングに戻りソファーにドシッと座り、再びテレビを見つめる。
しばらくするとピコンと通知音がなり何事かと思いスマホをみ、アプリをタップした。
起動開始と表示したと同時に今まで直立不動のままであったロボットの目が光だし動き出した。
キャー等の悲鳴が響き渡り周囲の観光客や野次馬が逃げ出した。
左右もこれは非常にヤバイと感じマンションから出て間近でロボットを見つめる。
「おいおい嘘だろ」
ロボットは数歩進みそして止まる。
そして右腕を突き出し手の平から丸い筒状のものが出てきた。
そこからレーザーらしきものが出てき、向かい側のビルを破壊した。
「やりやがった!」
目の前の光景に唖然した左右はすぐさまアプリをタップし“今すぐロボットを止めろ!”と投稿した。
だが“もっと壊せ破壊せよ” 等の投稿が多く、左右の投稿は過激な投稿に邪魔され埋もれていく。
「クソッみんなどんだけこの世界が憎いんだ」
アプリを閉じ左右は逃げ惑う野次馬や観光客をかき分けビルや街を破壊し続けるロボット方へ走る。
「おいロボット!動くな壊すな!」
だがそれは無駄であった。
ロボットは聞く耳を持たず破壊行動を続ける。
すると突然スマホから通知音がピロリと鳴る。
ーさぁ、ロボットが動き始めましたね。ロボットが停止するまで1時間。ロボットはどうなるのでしょうかー
「どうなるのでしょうかじゃぁねぇだろ!」
アプリに対して怒った左右は、ロボットを見つめ、睨む。
するとその視線に気づいたのかロボットは左右の方に振り向く。
振り向くと同時にロボットは左右が今さっきいたマンションに右手をかざしレーザービームを放とうとしていた。
「おい、やめろ!やめてくれ!!」
左右は阻止しようとするが虚しくも届かずレーザービームを発射したロボット。
ドカーンと爆音を立てながら左右が住んでいたマンションは崩れていった。
「マジか・・・・・・」
唖然とする左右をよそにロボットは破壊行動を行う。
「何の恨みがあって、俺はやめろと投稿したんだぞ!」
怒りを込めてそこに転がっていた石ころを拾いロボットめがけて投げた。
するとそれは足に当たりロボットは動きを止めた。
そして左右の方に振り向き右手を突き出す。
「おいおい嘘だろおい!」
逃げ出す左右にターゲットとして認識したロボットは追いかけレーザービームを発射する。
左右は追いかけてくるロボットを見ずに前だけを一心不乱に見つめ走る。
ハァハァと息を荒げながらも爆発に巻き込まれないように前に進む左右は、ロボットから逃げていた野次馬や観光客等に追いつく。
「マズイぞ。おい、そこをどいてくれ。危ないぞ!」
人混みをかき分けながら振り向くとロボットはレーザービーム出すのをやめていた。
「今の内だ。みんな逃げろ」
念のためみんなをロボットから遠ざけさせ、左右は少しロボットに近いた。
「止まった・・・のか」
一歩また一歩近づき止まったかどうか確認する左右。
すると止まったかに見えたロボットは左右に背を向け破壊活動を再開した。
「なんやねん、止まってへんねんのかい!」
驚きのあまり地元の関西弁が出てしまった左右はピコンと通知音がなったスマホを見た。
ロボットが停止するまで後2時間です
「あと2時間も破壊活動するのか!」
「おいそこのキミ、危ないぞ!こっちへ避難しなさい」
警察官が左右のところに近づいてき避難するように促す。
「で、でも俺のマンションが・・・」
「気持ちは分かるが・・・今は避難するんだ」
避難を促された左右は渋々避難した。
避難所に避難してきた人々は野次馬や観光客等が多くその中でもケガ人が多く見られた。
左右は避難所にされている学校の体育館の奥の隅っこに座る。
しばらくするとピコンとスマホの通知音が鳴りアプリをタップするとこう表示されていた。
ロボットが停止するまであと1時間です
“壊せ!”等の投稿が相次いでおり、左右は“まだ1時間も破壊活動をするのか!もうやめてくれ!!”と投稿したがまたもや過激な投稿に埋もれていった。
「クソッ!」
周りに聞こえないほどの小声で言う左右はスマホを強く握る。そうマンションを破壊したロボットに怒りを込めて・・・。
怒りを込めて握ったスマホを懐に戻しロボットが停止する1時間を待つ。
頼むから早く1時間経ってくれとスマホではなく心の中で呟く。
時が流れ1時間が経過し再びピコンとスマホの通知音が鳴る。
ロボット停止します
アプリをタップした途端こう表示されていた。
左右は立ち上がり本当にロボットが止まったのか確認するため避難所を出る。
少し早歩きでロボットによって破壊されたマンションに辿り着き、そこからロボットが見えるところに歩いた。
周りを見渡すと辺り一面ロボットが破壊したと思われる民家やビルが無惨な姿に遂げていた。
「なんやねんこれ!」
驚きのあまり関西弁がかなりの大声ででており、ふと周りに人がいるかどうか確認し人がいなかったので安心した左右。
「安心してる場合じゃないぞ」
両手で頬を叩きロボットがいる方向に走り出す。
しばらく走っているとロボットに辿り着く。
確かにロボットは停止している。
しかも同じ大きさのビルにすがりながら止まっていた。
「本当に止まっているなぁ」
ロボットが停止したのを確認した左右はスマホでロボットをパシャリと撮り終えた途端後ろから避難所にいた野次馬や観光客がロボットに近づきロボットを写真に収める。
左右の周りはいつの間にか避難所にいた野次馬や観光客が集まっており、門前成市寸前になりかけていた。
「おいおい!」
集まった野次馬や観光客に対して少し呆れ顔の左右はロボットに冷たい視線を送りながら避難所に戻っていった。
避難所に戻ると避難所に指定している体育館には野次馬や観光客がいなくなり本当に左右と同じく家を壊され避難してきた人やケガを負っている人々だけになっていた。
「余計なのがいなくなって本当に必要な人々が使えるようになったな。うん、よし」
小声で自分で納得した左右は体育館の隅っこに置いてあった簡易椅子に腰掛けた。
腰掛けた途端ピコンと通知音が鳴りスマホを手に取りアプリをタップする。
明日の早朝破壊活動を再開します
タップするとこう表示されており左右は怒った。
“何のために破壊活動をするんだ。何の目的があるんだ” と投稿した。
「また埋もれるんだろうなぁ」
小声で言った左右はアプリを閉じようとしたその時、ふと見ると“確かに。何のためにロボットは動くんだろうか”や
“目的が聞きたいよ”等の投稿が相次ぐ。
「俺だけじゃなかったんだ」
左右は自分一人の意見ではなかったことに一安心する。
しばらくいろんな人の投稿を見ているとピコンと通知音が鳴り文字が浮かび上がってきた。
ー質問の投稿が増えてきましたね。分かりました。ソーシャルネットソルジャー答えます。破壊活動に目的や理由などは一切ございませんー
「なんだって!理由がないだって」
つい体育館に響き渡るぐらいの大声を出しハッと周りの視線に気づく左右。
「すいません」
軽く会釈をしスマホに視線を戻した。
“理由もなく罪のない人たちの家やビルなどを壊したのか!それはあんまりにも残酷だぞ”
今まで以上に長い文章を投稿した左右はロボットに怒った。
入り乱れている中左右は“皆喧嘩してる場合じゃないぞ。とにかく理由もなく破壊活動をしてるのが問題じゃないのか?いや理由があっても破壊してはいけない”と投稿した。
どうせ埋もれると思いながらも少し気になりながら皆がどう反応するか見ていた。
するとこの避難所に3人の20代後半だろうか?若者が入ってきた。
「おぉここが避難所か。俺避難するの初めてなんだけど」
「マジでか。てか俺もなんだけど。」
「お前ら声でかいよ。という俺もでけぇーよ」
かなりの大声で話す3人の若者は左右が座っている椅子がある体育館の隅っこへ移動した。
若者3人は簡易椅子に腰掛けスマホを見、そしてぺちゃくちゃ周りの目も気にせずに話続ける。
「このアプリさぁコメントしてもさぁ大勢の人がさぁ投稿してるからさぁ埋もれていくからさぁ投稿しても注目されないからさぁやだなのよ」
さぁさぁうるせなぁと思い隣で聞きながらこのアプリというのはソーシャルネットソルジャーのことだろうと頭の中で推理した。
誰も大声で話す3人の若者に注意しないので左右は仕方なく注意することにした。
「おい若者達よ」
「なんすか?」
「もうすこしこえの大きさ落としてくれないか?周りの人に迷惑だからな」
「すいません」
左右に謝罪した若者は分が悪い顔をし、かなりの声のトーンを落としながら話をした。
話したりないのかと心の中でつぶやきながら立ち上がり体育館外の外に出る。
「うるさかったなぁ」
小声でボソッと言った左右はスマホを片手にアプリをタップして起動する。
するとアプリにはこう表示されていた。
さぁ明日の朝方にもう一度ロボットを起動しますよ
「破壊活動を楽しんでやがる」
片手に持っているスマホを強く握りしめる左右。
避難所に戻ろうとしたその時、3人の若者左右の目の前に立っていた。
「これあんたですよね」
3人の内1人の若者はスマホを左右に突き出す。そこにはなんと左右の顔写真が表示されていた。
「な、なんだって!」
なんで自分の顔写真がと心でつぶやく。よく見るとロボットを操縦した犯人として写真が載っているらしい。
「いや待てよ。俺は無実だ。でっち上げだ」
「でも現にここに写真載っているじゃないですか」
「いや、俺は被害者だぞ。マンションだって壊されているんだからよ」
若者3人はお互いの顔を見渡し、中央にいる若者はスマホを懐に戻した。
「それこそ自作自演じゃないですか?」
「そんなぁ」
少し戸惑い顔をした左右はその場を立ち去ろうとしたが立ち去るとロボットを操縦したと思われるので立ち去るのをやめた。
「ほんとに俺じゃないんだよ」
「ほんとですか?」
疑う若者3人は睨み続ける。
すると4人のスマホにピコンと通知音が鳴り、4人はそれぞれのスマホを手にしアプリをタップする。
タップするとアプリ内ではこう表示されていた。
ー別のSNSで話題になっているようですが、ロボットを操縦したのはこの人ですー
文章と共に写真が添付されていたので左右はタップする。
するとどうだろう。なぜか先ほど見た写真が表示されているではないか。
「ほらぁ」
「そんなぁ、あり得ない。マジか!!ふざけてるやろ」
「あんたがやったんでしょ」
「ほんとに俺じゃないんだ。」
必死に無実を訴える左右だが若者達の目は犯人だと言ってるようなものだ。
若者達は左右に詰め寄る。左右はここまではマズイと思いながらも何を言ってよいか
分からなくなっていた。
ここまではマズイと心の中で呟き左右はその場から立ち去った。
「逃げやがった。待て」
「ほんとに俺は無実なんだ」
ロボットを操縦した犯人と疑われ逃げ出した左右はしばらくして公園の木々に隠れた。
「俺じゃないのになぁ」
少し疲れ気味の左右は木にすがりながらスマホを片手にアプリをタップする。
「おいおい嘘だろ!」
アプリを見ると左右に関する投稿が多くあり、左右の顔写真や学歴などが晒されていた。
“こいつが犯人か!今すぐしょっぴけい”や“本当ならすごい重たい罪になるのでは?”等の投稿が相次いでいた。
“だから俺は無実だ。俺はやってないんだ。ほんとなんだよ。信じてくれよ”
左右は無実であることをソーシャルネットソルジャーに投稿した。皆分かってくれるだろうと信じていた左右。
“これ本人?偽物じゃないの?”や“これ本人だったらマジで勘弁してほしい。家を返せ”等の投稿が相次いでいた。
「皆、本当に俺がロボットを操縦したと思っていやがる。ちくしょう、誰がこんなデマ情報流したんだ。まさか・・・」
左右は立ち上がり先ほどの若者達がいないかどうか確認し、ロボットがいる方へと走る。
「まさかロボットが流したんじゃ・・・」
走るのをやめ立ち止まり、言葉を発しスマホに強く叩きながら文字を打ち投稿した。
するときっと埋もれるんだろうなぁと思っていた左右の投稿は予想通り埋もれていき何も反応がなく”もっとやれやれ左沢左右。街をぶっ壊せ”等の過激な投稿が流れていくだけだ。
「だからさぁ」
息を大きく吸い大きな声を空に向かって発する左右。
「俺はやってないんだぁ」
叫びながらロボットの方へ走る。
するといつの間にか野次馬や観光客がいる所に辿り着いた左右は野次馬等に見つかると厄介なので木の陰に隠れた。
野次馬がいるってことはと心の中で呟き視線を野次馬等から上の方へと向ける。
するとそこにはビルにすがるロボットの姿があった。
ロボットに視線を合わせると同時にスマホにピコンと通知音がなった。
またソーシャルネットソルジャーか!と心の中で呟きアプリをタップする。
だが何も表示が来ておらずアプリを閉じた左右。
その瞬間メールアプリに1通の通知が来ていたではないか。
それをタップするとこう表示されていた。
真実が知りたければロボットの中まで来い
「なんだこれ?ロボットの中まで来い?誰が発信してるんだ?だが何かありそうだな。行ってみるか!」
ロボットの中へ行く決心をした左右は野次馬や観光客が群がっているところを避けながらロボットがすがっているビルへと目指す。
しばらくしてようやくビルへ辿り着く。
ちゃんとロボットがいることを確認した左右はスマホを手にしビル内へ。
ビルへ入ると中はガランとしており受付に向かうが案の定受付嬢はいない。
「誰もいないんだな」
誰もいないことに感心していた左右のスマホにピコンとメールアプリの方に通知が来た。
屋上へ来い
たった5文字の通知が左右を震え上がらせる。
「なんで俺がビルに入ったタイミングで?どこか見てるのか!」
辺りを見回せどもカメラなどは見つからずどこで見ているんだと疑問に思う左右。
「まぁしょうがねぇ屋上に行くしかないか!」
近くにエレベーターがありそれで行こうと考えボタンを押すも反応せずそういえば電気もついていないと気づく左右であった。
「よし、階段で行くか」
階段で行くのを決心した左右は1段1段進め続けた。
しばらくしてようやくビルの屋上の扉の前に立ちドアノブを握り開ける左右。
ドアを開き屋上へ踏み入れると目の前にはロボットの後頭部があった。
「間近で見たがでけぇなぁ」
感心していた左右をよそにロボットの後頭部の扉が煙を立てながら開いた。
恐る恐る中に入る左右。
「こんにちは、誰かいますか?」
返事もなく少し怯えながらも先に進む。
中は赤いランプで灯しており黒い大きめの扉が左右の前にそびえ立つ。
どう開けるのだろうかと考えながら扉全体を触る。
するとカチと音が鳴り鳴ると同時にそびえ立つ扉が開いたではないか。
少し驚きの左右はまた恐る恐る中に入る。
「お邪魔してますよぉ」
そう言いながら中に入った左右の視線には1台の机と椅子、机の上には1台の黒いパソコンが置いてあった。
「これは・・・・・・」
PCに近づく左右。
パソコンに近づきジッと見ていた左右は驚いた。なぜか。それは何も触らずにパソコンが勝手に起動したからである。
するとそこには自分とソックリの顔をした人物が映っているではないか。
「よう、はじめまして別世界の自分。俺の名はそうだなぁ、ワタリヤとしておこう」
ワタリヤと名乗る男は画面の向こうで微笑んでいた。
「いろいろ聞きたいことがあるだろうが聞くことができない。なんせこれは私が一方的に撮影してるのだからな」
「録画ってわけか!」
撮影場所は今左右がいる所でしていたらしく男の後ろには扉があることからそう推理した。
「いろいろ話したいことがあるんだ。いいか?話すぞ」
話すのを決心したワタリヤはいろいろと話す。
いろんな話を聞いた左右は少し唖然した。
「な、何の話をしているんだ?」
唖然としている左右をよそに話を続けるワタリヤ。
「まぁそんなところだ。で、本題に入ろうか」
「やっと本題に入るのか」
左右はこのワタリヤがおそらく座ったであろう椅子に腰掛けた。
「まずはなぜ君の顔写真が出回ったのか。それはこのロボットに付いている最新のAIが君を選んだんだ。じゃなぜ君なのか。それは・・・・・・」
するとドンドンと画面上から音がした。
「おっと客人が来たようだ、じゃここまでだな。じゃぁな、別世界の自分よ」
立ち上がったワタリヤは電源を切りパソコンの画面上が真っ暗になった。
「おい何なんだ。なんで俺を選んだんだ」
少し怒りを混じりながら叫んだ左右は机を叩いた。
するとPCが再び起動した。
起動するや否やソーシャルネットソルジャーの画面になった。
するとすでに投票がいつの間にか始まっておりこう表示されていた。
ー只今投票中です。再びロボットが動くか動かざるべきか、投票して下さいー
左右は投票を中止するべくキーボードを叩くが何の反応もなかったので懐からスマホを取り出しスマホから中止を促そうとした。
だが送信しようとするもー送信できませんーと表示が出てくる。
「なぜや、なぜできへんのや」
焦っているからか地元の関西弁がでてしまいハッとする左右。
「いかんいかん、焦るなよ俺」
どうしたもんかと考える左右。
「よし、壊そうか」
パソコンを両手で持ち上げ振り落とそうとしたその瞬間、ピピッとパソコンから通知音らしきものが鳴ったので左右はそれを見た。
「なんだ?」
その画面を見ると円グラフが浮かび上がっており、グラフの下にはこう表示していた。
現在の途中結果です
グラフは動け関係の投稿が78%、動くな関係の投稿が22%となっていた。
「クソッやっぱりみんな動いてほしいのか」
パソコンをドンと机に音を立てながら置いた左右は机の周りをグルグルと回りながらどうしたらよいか考えていた。
するとパソコンからピコンと通知音が鳴った。
どうしても阻止したいですか
画面上に表示された文字は誰がどう見ても左右に問いかけていた。
この問いに左右は怒る。
「当たり前だろ!苦しんでいる人だっているんだぞ!」
この答えに反応したかどうかはわからないがPCの画面上には再び文字が浮かび上がって
分かりました。ロボット起動します
「なんでそうなるんだ!」
かなりの大声でツッコミを入れた左右は再び机を叩いた。
するとガタンと揺れ動いた部屋はズシンズシンと揺れ動く。
「まさか・・・・・・もう動いているのか!」
机にしがみついている左右はPCに問いかける。
ロボット起動中
PCに浮かんだ文字はこの8文字しか浮かばなかった。
「おい、なんで起動したんだ。答えてくれ」
だが何の反応もなく画面上もロボット起動中で止まっていた。
「どうしたら・・・・・・」
少し焦った左右はふと後ろに振り向き扉が動いた反動で開いていた。
「扉が開いている。もしかしたら外に出られるかもしれないぞ」
大声で独り言を言い放った左右は机から離れ開いている扉の方へ向かう。
扉の間をすり抜けた左右はもう1つの扉も開いている事に安堵した。
だが動いている最中外に出れば地面に落ちてしまうと考えた左右は一旦PCがある部屋に戻りPCに向かって大声で叫ぶ左右。
「おいソーシャルネットソルジャー、俺を降ろしてくれ。そして俺が降りたらちゃんと止まれよ」
するとそれに反応したのかPCに再び文字が浮かび上がっていた。
分かりました。止まります
ロボットは近くにあるビルに
「そこまでだ、左沢左右。お前を逮捕する」
「なんだって!」
黒スーツの男は左右に近づき手錠を左右の右手にかける。
「よし、行くぞ」
「ま、待ってくれ。俺はこのロボットを動かしてないんだ。本当なんだ!」
真っ直ぐな目を向ける左右だがこの男には通じなかった。
「話は署でゆっくり聞くからな」
残り片方の手錠を左右の左手にかける黒スーツの男は無実を訴えている左右の事を無視しながら連行する。

しばらく時が経ち左右は証拠不十分で不起訴になった。
そして左右は都会を離れ、田舎で畑を耕していたのであった。





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漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

Husband's secret (夫の秘密)

設楽理沙
ライト文芸
果たして・・ 秘密などあったのだろうか! むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ  10秒~30秒?  何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。 ❦ イラストはAI生成画像 自作

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