2 / 5
2
しおりを挟む「ねぇ、僕と付き合ってよ」
全く面識のない男に告白される。
それは突然のことだった。
あぁ、またか。
男だということに驚くよりも、その気持ちの方が強かった。
多分きっとこれはたちの悪い罰ゲームだろう。
そう思い、目の前にいる男にバレないようにチラチラと辺りをみてみたが、人らしい人は見つからなかった。
ここはきっと障害物が多いから、そのかげに隠れているのだろう。
またまた巧妙な手口で………。
「別に罰ゲームじゃありませんよ。」
ドキッ
「ごめんね、俺、歳上にしか興味ないんだ~」
ビックリした。心を読まれたのかと思った。
そんな内心の焦りがバレないように僕はいつものように顔に笑顔を張り付けてヘラヘラとする。
そんなにも僕は挙動不審だっただろうか………?
そんなことを考えながらもう一度ごめんね~と言い、彼のもとを過ぎ去ろうとし
ーーーー手首を捕まれた。
どんな馬鹿力だよ。
「なに?」
内心イライラしながら、僕は目の前の男をしっかりと見る。
久し振りに人をしっかりと見た。
そして分かった。
コイツはこの学校の生徒会長だ。
どうして気づかなかったんだろう。
いや、当たり前か、きちんと相手と向き合っていなかったのだから。
というか、品行方正な生徒会長様が罰ゲームで男に告白だなんて、世も末だな………。
そんなことをひとりごちる。
もし、本当に僕のことが好きだとして、告白してくれるのなら、申し訳ないのだが、
どうしても、僕にはそれが本当の告白だとは思えなかった。
「真剣に僕と向き合って答えてください。
年下だからなんて理由じゃなくてもっと僕の納得できる答えを教えてください。」
生徒会長様が真剣な顔でそう言う。
名前なんだったっけ、あ~忘れた。
まぁ、いっか。
今日限りだし。
「そんなこと言ってもさ~、俺、年下興味ないし~?俺、自分より10くらい年上の落ち着いた人しか無理なんだよね~。」
「いやだから、ーーー」
「ーーーほら、分かるでしょ?生徒会長様も、あーーー、んーーーと、保育園生?とかに好きって言われてもどうこう考える前に年齢で無理だな~って考えるでしょ?それとおんなじ。」
生徒会長様の言葉を遮って僕は独自の理論を展開する。
勿論全部ウソっぱち。
僕の恋愛対象はそんな歳上じゃない。
けど、そんなことがバレたらあとあと面倒だし、
しなくてもいい苦労まですることになるから絶対に言わない。
多分告白に断ったのだから、もう話しかけてくることは、大抵のことがないかぎりないだろう。
これは僕の経験法則だ。
「僕は貴方にとって保育園生と同じくらい恋愛的な魅力を感じないと言うことですか?」
まだ、食い下がるか、しつこい奴だな。
「んまぁ~そんな感じ?」
そんなことを思いながらヘラヘラと言う。
目の前の生徒会長様はまだ納得できていないような顔をしている。
そして、また何か言おうとする。
だけど、なんと言おうと無駄だ。
僕は絶対に誰とも付き合わないと決めているのだから。
なんと言おうと、僕は君を受け入れない。
「ウソつき。」
「は?急にウソつき呼ばわりなんて、酷いな~生徒会長様は」
「………まず、その生徒会長様って呼び方やめてください。なんか、距離を感じてイヤです。
ちゃんと名前で呼んでください。」
生徒会長様が苦虫を噛み潰したような顔で言う。
しっかし名前な~………知らないんだよな~……。
正直にその事を言うと生徒会長様は、少し悔しそうな顔をして名前を教えてくれた。
生徒会長様の名前は春樹というらしい。
そして、本当に僕に興味がなかったんですね、と、悲しそうな表情で言われた。
そして、やっと気付いた。
これは罰ゲームなんかじゃない。
きっと本気だったのだろう。
久し振りすぎてちょっとビックリする。
それと同時に罪悪感が胸のなかに居座る。
悪いことをしてしまったな~……。
0
あなたにおすすめの小説
クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。
とうふ
BL
題名そのままです。
クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。
おしまいのそのあとは
makase
BL
悪役令息として転生してしまった神楽坂龍一郎は、心を入れ替え、主人公のよき友人になるよう努力していた。ところがこの選択肢が、神楽坂の大切な人を傷つける可能性が浮上する。困った神楽坂は、自分を犠牲にする道を歩みかけるが……
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
【花言葉】
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!
【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。
◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス
ヤリチン伯爵令息は年下わんこに囚われ首輪をつけられる
桃瀬さら
BL
「僕のモノになってください」
首輪を持った少年はレオンに首輪をつけた。
レオンは人に誇れるような人生を送ってはこなかった。だからといって、誰かに狙われるようないわれもない。
ストーカーに悩まされていたレある日、ローブを着た不審な人物に出会う。
逃げるローブの人物を追いかけていると、レオンは気絶させられ誘拐されてしまう。
マルセルと名乗った少年はレオンを閉じ込め、痛めつけるでもなくただ日々を過ごすだけ。
そんな毎日にいつしかレオンは安らぎを覚え、純粋なマルセルに毒されていく。
近づいては離れる猫のようなマルセル×囚われるレオン
悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる