脳筋転生者はその勇まし過ぎる拳で世界にケンカを売ります。

きゅりおす

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第71話 闘技大会予選開始!そして終了!!

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カジノのオーナーにお願いする事で気前よく闘技大会の参加権を貰えたタケミ達。

「これでおれ達も参加できるよな?」
タケミはやたらキラキラしている紙切れをみせる。

それは関係者用の闘技大会参加チケットのようだ。

「これは……畏まりました。登録いたします」
受付はすぐに対応してくれた。その前に一瞬だけ手元にある何かを確認するような仕草を見せた。

「ん?何みたんだ今」
「きっと私達の情報がもう出回っているんだろ?」
「だろうね」

そんな話をしていると少し離れた所から声が。

「そんなー!もう締め切ってしまいましたの?残念ですわ」

声の方を向くタケミ。
「うん……あれ?でも違うな、なんでだ」

そう言ってタケミは声がした方向に歩き始める。
そして声の主に話しかけるタケミ。

「もしかしてマートルか?」

タケミの声にビクッと身体を跳ねさせる相手。

「た、タケミ様!?よく私だとお気づきに」
「匂いでな。後ろにいるのはベロニカか」

「その通りです、こんにちはタケミ様」
そう言って二人がタケミに挨拶をする。

「二人もこの闘技大会目当てか?」

「いえ、姫様がどうしてもタケミ様が今何してるか気になるとの事だったので……」
「ちょ、ちょっと!ベロニカ!いえ、ただちょっと観光もいいかな~っと。ここに来てこうやって出会えたのはたまたま!そう偶然ですわ!」

話すベロニカの前にマートル姫が飛び出して言葉を遮った。

「ふーん、それでなんで二人は姿変えてんだ」

タケミが言う通り、今彼が話している相手は確実にグランドオーク族の姫であるマートルとその側近であるベロニカだ。しかし彼女らの外見が大きく変わっていた。

「私たちは普段人里に下りる時は溶け込めるように姿を変えているのです。元のままだと目立つので、一応これでも伝説上の種族ですから。それに前回の一件もありますので、どうか私達の事はできれば内密に」

三人が話をしているとタケミの後ろからネラとユイがやって来た。

「ん?おー姫さまとおつきの人じゃん」
「え?そうなの?全然見た目違うけど」

ネラは指で輪っかを作り目元に当てる。

「魔力の根っこを見れば分かるんだよ。お前そんな事言ってたらマリスに、そんなのも分かんないのか!ってまた乳叩かれるぞ」

「そんなしょっちゅう叩かれてません!」

そんな話をしている二人に挨拶をするマートル姫とベロニカ。

「どうもネラ様にユイ様」
「お久しぶりです、変わりないようで何よりです」

ネラとユイも挨拶を返した。
そして話題は闘技大会に。

「闘技大会?もう締め切っちゃってますよね。うちも危なかったんですよ」
「つーかお前らが出たら大会じゃなくなるだろ」

「ほら、姫様聞きましたか?やはりネラ様の言う通り姫様がこの大会に出るのは余りにも危険です。周りがですが」

ベロニカはマートル姫にそう言った。

「えー、でもちょっとくらいは出てみたかったです」
「確かにマートルとまた闘いたかったな」

「え!ほ、本当ですか!そ、それでしたら闘技大会なんて言わずここで」
そう言うマートル姫の肩を掴むベロニカ。

「お二人が闘うのはもっとダメです。この街を更地にされるおつもりですか」

「はっはっは!そういえば結界張って貰わないとヤバいんだったな!」
「ちゃ、ちゃんと周りの方に配慮した戦い方ぐらいできますわ!もしかしたらちょっと街を半壊させてしまうかもしれませんが」

三人の話を聞いて姉らがため息をつく。

「やっぱヤベェなこいつら」



「ん?なんか向こうで騒がしいな」

話しているとまた何やら騒ぎが。

「おい!てめぇ!登録が締め切ったってどういうことだ!」
「ですからお伝えした通りですね……」

3m程はある大男が受付の者に怒鳴り散らしている。

「登録が出来ないからってあんなに怒る事も無いでしょうに、野蛮ですわね」
「本当ですわね」

マートル姫と一緒にそう言うネラ。

「……」
「……」
そんなネラにタケミとユイが冷めた視線を送る。

怒っている大男に後ろから誰かが話しかける。

「すまない」
「ああ?!なんだてめぇ」

大男が振り向くとそこにはローブ着てフードを深くかぶった男がいた。

「あまりそう熱くならないで、周りのお客さんにも迷惑が……」
「なんだてめぇ、ひょろい身体の癖に。みろ!俺様の肉体を!!」

そういうと男は全身の筋肉に力を入れる、筋肉が膨れ上がり血管が浮き出てくる。
身長3m程はある巨体には筋肉がぎっしりと詰まっているのだろう。

「はい、……ええ、非常に大きい筋肉ですね」

「俺様が出ればこの戦いは勝ったも同然、だからこいつらは俺をエントリーさせたくないんだ!」

「そ、そんな!」
男は受付を指さしてそう言った。

「ははは、ここはそんな事しませんよ」

フードの男は笑った。

「それにあなた程度の実力じゃ出ようが出まいが一緒です」
「ッ!!テメェッ!!」

巨漢の男は全身の筋肉を膨れ上がらせる。
そして一瞬でフードの男の目の前に現れ、拳をふり下ろした。
これとほぼ同時に熱風が吹き荒れた。

(速い!あの図体でなんてスピードッ!!魔力からみてあの人は勇者、常人じゃ適う相手じゃ……)
ユイは驚く。

「なんだ、今一瞬だけすげぇ熱風が」
「すげぇな」
「なんと……」
「一瞬でしたわね」
タケミ、ネラ、ベロニカ、そしてマートル姫も驚いていた。

「いやぁ、危ない危ない」
皆が驚く中、平然とした様子のフードの男。

「が、あ……あ」
それに対し、巨漢の男は大きな音をたてて地面に倒れた。

「ありがとうございます!」
「いえいえ、それでは」

受付の者に礼を言われ、フードの男はその場を後にした。

「え?!何いまの」
ユイがタケミ達の方に振り向く。

「……」
「どうしたタケミ?」

黙っているタケミに話しかけるネラ。

「言っただろネラ……スゲェ奴が出てくるって」

タケミは嬉しそうな笑みを浮かべながらそう言った。



それから少し時間が経ち、闘技大会予選が始まろうとしていた。

『予選はバトルロワイヤル!どこらへんがロワイヤルなのかよくわかりませんが、とにかく各ブロックで戦い、最後まで立っていた者が本戦に駒を進めます!』

非常に元気の良い声が会場内に響く。

「あれ、この声って」
タケミが放送を聞いてそう言う。

『おーっと失礼!申し遅れました!実況をつとめます、ウェルズと申します!このキュートなスーツと帽子に大きな鞄がチャームポイントです!』

「あいつどこにでもいるな」
売店で酒とスナックを買ったネラがそう言った。

『私は旅する行商人!面白そうな場所には喜んで現れますよー!』

そう言うとウェルズはどこからかゴングを取り出す。

『さてそれでは早速始めましょう!まずは第1ブロック!選手の入場です!』

闘技場はコロシアムの形状になっており、中央の闘技場を囲むように観客席が設けられていた。

闘技場に繋がるゲートが開き、続々と参加者が入場してくる。

「はーい、ちょっとすみません通りますよー」
ネラが人混みの中を縫って自分の席に向かう。

「こちらですわー!」
「どうぞネラ様」

席の隣にはマートル姫とベロニカが座っていた。

「今ちょうどネラ様のお知り合いの方とお話していた所でしたの」

「え?知り合い?……な!!」
そう言われ、マートル姫が見ている方、つまり自分の背後を見るネラ。

「なんでお前がここに……?!」


驚いているネラの裏で試合開始のゴングが鳴った。

『では第1ブロック開始!』

それから第8ブロックまでの予選が行われた。

『えー本来ならこの予選で2話ぐらい引っ張る、ではなく2日程使う予定でしたが、とんでもないスピードで終わったので明日本戦を行います!』

「うーん、まさかこんなに早く予選が終わるとは。まあ仕方があるまい」
闘技場を一望できる部屋でワインを片手にそう言うカテナ・ベラード。

ウェルズは手元ある本戦参加者のリストを見る。

『という訳でとりあえず本戦参加者の紹介です!』

第1ブロック代表 カヅチ・タケミ!
第2ブロック代表 ミスターマッシブ!
第3ブロック代表 えー匿名希望?え、名前が分からなかった?
第4ブロック代表 クレイピオス!
第5ブロック代表 レクス・マリス!
第6ブロック代表 イトウ・ユイ!
第7ブロック代表 アスタム!
第8ブロック代表 フォルサイト!

ワインを盛大に噴き出すカテナ・ベラード。

「な、なんだとぉぉっ!!?」

一体この大会はどうなるのか。

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