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4 扉の向こう
③
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「はい、これが木簡。これが割印ね」
「?????」
笑顔で手渡された道具が、いったいどう使うものだかまったくわからない。
「え? 様式が違う? あちゃー……確かにそっちでは何十年も経ってるもんね。変わってるかー……」
綺麗な色の目を細めて、困ったように笑うシロの耳朶で揺れる赤い耳飾りを、私はなんとも言えない思いで見ていた。
(言われてることも、さっぱりわからない……)
「じゃ、ちょっと見てて」
木製の板をカウンターの天板に置いて、シロは横にある硯から筆を取り上げる。
(毛筆!?)
驚く私の目の前ですらすらと筆を滑らせ、木の板に何かを書いた。
どうやらカウンターの向こうでぶつぶつ言っている一つ目男の、荷物の届け先らしい。
木片の下方に、先ほど私に手渡してくれようとした印鑑のようなものを押し、付いた印章のちょうど真ん中を横切るように、指で左から右にすっと線を引く。
するとぱっかりと、木片がその位置で真っ二つになった。
「はい、こちらが控えでーす」
小さなほうを手渡すと、一つ目の男はそれを受け取って帰っていく。
シロは素早く大きな木片のほうを荷物に差し、私に向かってウインクした。
「ね? 簡単でしょ?」
その笑顔がどんなに魅力的でも、とても頷けない。
「いやいやいや……できないです」
「えー、そうかなー」
不満そうに声を上げる間にも、彼は木の板にすらすらと筆を滑らせ、印を押して、指先でそれを切る。
(そもそも、どうやって切ってるのかわかんない……触れてるようにすら見えないのに……)
綺麗に手入れされた形のいい爪の先をじっと見ていると、頭上で低い声が響いた。
「霊力がないんなら変われ。奥で力仕事をしてろ。それぐらいならできるだろ」
クロのほうだった。
馬鹿にしたような言葉にむっとして、何か言い返してやろうと顔を上げたが、あの鋭い目と間近で視線を戦わせることになってしまい、呆気なく敗北する。
さっきまで彼がやっていた、引き受けた荷物を部屋の奥に積むという作業を、黙々と始めた私をシロがふり返る。
「女の子に力仕事なんてかわいそうじゃない?」
彼の声と共に、手にしていた段ボールがふわっと軽くなったように感じた。
(え? え?)
「甘やかすな。それじゃ人手が増えた意味がないだろ」
クロの厳しい声と同時に、やっぱり腕にずっしりと重くなる。
(もう……いったいなんなの???)
私の疑問には、店舗の前に長い列を作っている見た目も多様な利用客が途切れるまで、答えを貰えることはなかった。
「?????」
笑顔で手渡された道具が、いったいどう使うものだかまったくわからない。
「え? 様式が違う? あちゃー……確かにそっちでは何十年も経ってるもんね。変わってるかー……」
綺麗な色の目を細めて、困ったように笑うシロの耳朶で揺れる赤い耳飾りを、私はなんとも言えない思いで見ていた。
(言われてることも、さっぱりわからない……)
「じゃ、ちょっと見てて」
木製の板をカウンターの天板に置いて、シロは横にある硯から筆を取り上げる。
(毛筆!?)
驚く私の目の前ですらすらと筆を滑らせ、木の板に何かを書いた。
どうやらカウンターの向こうでぶつぶつ言っている一つ目男の、荷物の届け先らしい。
木片の下方に、先ほど私に手渡してくれようとした印鑑のようなものを押し、付いた印章のちょうど真ん中を横切るように、指で左から右にすっと線を引く。
するとぱっかりと、木片がその位置で真っ二つになった。
「はい、こちらが控えでーす」
小さなほうを手渡すと、一つ目の男はそれを受け取って帰っていく。
シロは素早く大きな木片のほうを荷物に差し、私に向かってウインクした。
「ね? 簡単でしょ?」
その笑顔がどんなに魅力的でも、とても頷けない。
「いやいやいや……できないです」
「えー、そうかなー」
不満そうに声を上げる間にも、彼は木の板にすらすらと筆を滑らせ、印を押して、指先でそれを切る。
(そもそも、どうやって切ってるのかわかんない……触れてるようにすら見えないのに……)
綺麗に手入れされた形のいい爪の先をじっと見ていると、頭上で低い声が響いた。
「霊力がないんなら変われ。奥で力仕事をしてろ。それぐらいならできるだろ」
クロのほうだった。
馬鹿にしたような言葉にむっとして、何か言い返してやろうと顔を上げたが、あの鋭い目と間近で視線を戦わせることになってしまい、呆気なく敗北する。
さっきまで彼がやっていた、引き受けた荷物を部屋の奥に積むという作業を、黙々と始めた私をシロがふり返る。
「女の子に力仕事なんてかわいそうじゃない?」
彼の声と共に、手にしていた段ボールがふわっと軽くなったように感じた。
(え? え?)
「甘やかすな。それじゃ人手が増えた意味がないだろ」
クロの厳しい声と同時に、やっぱり腕にずっしりと重くなる。
(もう……いったいなんなの???)
私の疑問には、店舗の前に長い列を作っている見た目も多様な利用客が途切れるまで、答えを貰えることはなかった。
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