大鳥居横あやかし宅配便~ワケアリ荷物お届けします~

シェリンカ

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11 ふしぎな女の子

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「それで? 結局ここに住むことにしたのか?」

 夕刻――。
 熱々の湯気を上げる鍋を卓袱台で囲みながら、クロが私に鋭い目を向ける。
 柔らかな豆腐を箸で掴もうと悪戦苦闘しながら、私は少し唇を尖らせた。

「だって、せっかく週の半分が休みでも、アパートに一人でいたら寝るぐらいしかすることないし……」
「お前な……」

 クロは呆れたように何かを言いかけたが、シロが明るい声でそれを遮る。

「あ! 瑞穂ちゃん、庭の掃除してくれたんだよね。すごい綺麗になってた! ありがとー」
「あ……うん」

 率直なお礼に気分が良くなって、私は少し胸を張りながらクロを見返した。
 クロはふんっと私から顔を逸らし、鍋へ視線を落とす。

「ご飯もさー、二人で食べるより三人のほうが賑やかでいいよね。クロも作り甲斐があるでしょ?」

 無言で白菜を口へと運ぶクロを横目に見ながら、シロは大きく口を開けてにかっと笑う。

「夏も近くなって鍋っていうのは、ちょっと驚いたけど……」
「ご、ごめんね!」

 あまり深く考えずそのメニューをリクエストした身としては、肩身が狭い。

「明日はそうめんなんてどうかな?」
「早すぎるだろ、馬鹿」

 シロとクロのやり取りを聞きながら、私も食事を続けた。

「午後からは荷物を取りにアパートに帰ったけど、午前中草むしりをしてる時もいろんな人に会ったよ」

 私の話を聞きながし、次々と鍋からお肉を取っていたシロの箸が、次の瞬間ぴたりと止まる。

「昨日宅配便を頼みに来たお婆ちゃんでしょ……それから『みや』ちゃん」
「みや……ちゃん……?」

 訝るように目を向けられたので、私は簡単に説明をした。

「まだ小学校にいかないくらいの小さな女の子……私が草むしりするのを鳥居の向こうからずっと見てて……呼んだら来たんで、それから一緒に作業したの」
「ねえ! それって……」

 がばっと自分のほうを体ごとふり返ったシロを、クロが視線で制した。
 それきり口を噤んでしまったシロと、黙りこんだままのクロの顔を、私は交互に見る。

「なに? みやちゃんがどうかしたの……?」
「いや、なんでもない」

 クロはさっさと答えて、食事を再開したけれど、何も入っていないお皿を箸でかき回している。
 シロのほうは、自分の取り皿にお肉を山盛り取ったのに、いつまでもじっと鍋を睨んでいる。

(へんなの……)

 あからさまに態度のおかしくなった二人が気になって、せっかくの美味しいお鍋も魅力が半減したようだった。
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