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14 神車のお札
⑤
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救急外来で診察をしてもらった田中さんは、そのまま緊急入院になった。
風邪から肺炎を起こしていたそうで、もし病院に来るのがもう少し遅かったら、助かっていたかわからないと医師から説明され、豆太くんを連れて田中さんを訪れて、本当によかったと思った。
翌日、引っ越しで都会の息子さんが来た時には、手遅れだったなどという事態にならずに済んだ。
それに関しては、シロとクロにもお礼を言ったのだが、「豆太がうるさかったから追い返しただけだ」と、クロは素直に受け取ってはくれなかった。
代わりにシロが、「まにあってよかったね」と二人分喜んでくれた。
一週間の入院ののち、田中さんが都会の息子さんのところへ行く日は、豆太くんを連れて私も見送りにいった。
彼が最後に田中さんへ送りたかった荷物は、自分と田中さんの姿を描いた絵だったようで、田中さんはそれが入った筒を大切に握りしめながら、息子さんと都会へ旅立った。
「豆太、またな」
「うん! また姉ちゃんに頼んで荷物送るね!」
御橋神社のお札の効力が、田中さんがこれから暮らす新しい街まで届くことを切に祈りながら、私も別れを惜しんだ。
街と山の上を往復するのも、なかなか遠くて、田中さんを助けたあの日のように一瞬で車が移動してくれないかと思ったが、いくら願ってみても、一ミリも動くことはなかった。
そう簡単に、なんでも神様に頼るなということなのだろう。
「姉ちゃんの車、今日は全然速くない」とぶつぶつ言っていた豆太くんは、長い道のりに飽きたのか、途中で寝てしまい、結局街と山の上をワープしたような気分だったようだが、運転していた私はそうはいかない。
長い距離を往復して、翌日はやっぱり体が痛かった。
「あいたたた」
腰をさする私を、千代さんは「同年代の友だちみたい」と笑うし、みやちゃんは無言で腰を撫でてくれる。
「ありがとう、みやちゃん……」
頷く彼女に私はそっと顔を近づけて、もう一度お礼を言っておいた。
「車のお札もありがとう……とっても助かったよ」
感謝されると、わかりやすくはにかんだ笑顔になるみやちゃんが、とても嬉しそうに笑う。
だから私はこれからも、いざという時には忘れずに、車のダッシュボード裏のお札に祈ろうと心した。
風邪から肺炎を起こしていたそうで、もし病院に来るのがもう少し遅かったら、助かっていたかわからないと医師から説明され、豆太くんを連れて田中さんを訪れて、本当によかったと思った。
翌日、引っ越しで都会の息子さんが来た時には、手遅れだったなどという事態にならずに済んだ。
それに関しては、シロとクロにもお礼を言ったのだが、「豆太がうるさかったから追い返しただけだ」と、クロは素直に受け取ってはくれなかった。
代わりにシロが、「まにあってよかったね」と二人分喜んでくれた。
一週間の入院ののち、田中さんが都会の息子さんのところへ行く日は、豆太くんを連れて私も見送りにいった。
彼が最後に田中さんへ送りたかった荷物は、自分と田中さんの姿を描いた絵だったようで、田中さんはそれが入った筒を大切に握りしめながら、息子さんと都会へ旅立った。
「豆太、またな」
「うん! また姉ちゃんに頼んで荷物送るね!」
御橋神社のお札の効力が、田中さんがこれから暮らす新しい街まで届くことを切に祈りながら、私も別れを惜しんだ。
街と山の上を往復するのも、なかなか遠くて、田中さんを助けたあの日のように一瞬で車が移動してくれないかと思ったが、いくら願ってみても、一ミリも動くことはなかった。
そう簡単に、なんでも神様に頼るなということなのだろう。
「姉ちゃんの車、今日は全然速くない」とぶつぶつ言っていた豆太くんは、長い道のりに飽きたのか、途中で寝てしまい、結局街と山の上をワープしたような気分だったようだが、運転していた私はそうはいかない。
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「ありがとう、みやちゃん……」
頷く彼女に私はそっと顔を近づけて、もう一度お礼を言っておいた。
「車のお札もありがとう……とっても助かったよ」
感謝されると、わかりやすくはにかんだ笑顔になるみやちゃんが、とても嬉しそうに笑う。
だから私はこれからも、いざという時には忘れずに、車のダッシュボード裏のお札に祈ろうと心した。
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