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17 荒れた河
①
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次の日の夕暮れ、狭間の時間の宅配便屋へ行くのが、私はとても憂鬱だった。
河太郎さんに、頼まれた荷物を渡せなかったと報告しなければならない。
(まさか豆太くんみたいに、大きな声を上げて泣いたりはしないだろうけど……)
荷物を頼んだあやかしと、受け取った人間が喜んでくれるためにと、始めた橋渡しのつもりなのに、悲しい思いをさせてしまう確率が高いことに、落ちこみそうになる。
(本当に続けていけるのかな……)
不安な思いで夕方、扉を通ったが、仕事着姿のクロを見て、ドキリとした。
(――――!)
昨日はあの後、またあやかしの姿に変わったクロに抱きかかえられて私が車を停めていた場所まで帰り、更に山の上の家まで帰る間、会話らしい会話はほぼなかった。
車に乗ってスーツ姿になったクロは、腕組みをして目を閉じてしまったので、私は邪魔にならないような静かな曲をカーステで流しながら帰ったのだが、往路ほどの気まずさは感じなかった。
クロが少し、自分のことを語ってくれたせいかもしれない。
これまでより距離が近くなったように感じた。
しかしそのせいで、今まで冷たくて怖い人だとばかり思っていたクロの違う一面を知ってしまったことも事実で、これからどういうふうに接したらいいのか戸惑いがある。
(実は優しい……のかもしれない……そしてたぶん、ずっと寂しさを抱えている……)
昨日私の頭を撫でてくれた手の温もりを思い出し、そういうふうに考えていたので、そのクロにふいに視線を向けられて、またドキリとした。
「…………!」
実は優しいのかもしれない――などと思ったクロの眉が、とても不愉快そうに、あからさまにひそめられる。
「おい何やってる、瑞穂。忙しいんだからさっさと働け」
ギロリと私を睨みながらの呼びかけに、これからいったいどう接したらいいのかなどと迷っていた気持ちが、一瞬にして跡形もなく吹き飛んだ。
「働きますよ!」
クロに負けないほどの睨みを返した私を、シロがけらけら笑っている。
「瑞穂ちゃん、今日も元気だなー」
「元気が有り余っているのなら荷物も積め、受け付けもしろ、記録も付けろ」
矢継ぎ早に仕事を私に振ってくるクロに、私はしかめ面で答えた。
「言われなくてもやります! あー心配して損した」
「はあ?」
訳がわからないといった顔で首を傾げたクロに背を向け、私は自分の担当の窓口へ向かう。
出社早々因縁をつけられるという、よくよく考えればパワハラ案件だったのに、心は妙にすっきりしていた。
河太郎さんに、頼まれた荷物を渡せなかったと報告しなければならない。
(まさか豆太くんみたいに、大きな声を上げて泣いたりはしないだろうけど……)
荷物を頼んだあやかしと、受け取った人間が喜んでくれるためにと、始めた橋渡しのつもりなのに、悲しい思いをさせてしまう確率が高いことに、落ちこみそうになる。
(本当に続けていけるのかな……)
不安な思いで夕方、扉を通ったが、仕事着姿のクロを見て、ドキリとした。
(――――!)
昨日はあの後、またあやかしの姿に変わったクロに抱きかかえられて私が車を停めていた場所まで帰り、更に山の上の家まで帰る間、会話らしい会話はほぼなかった。
車に乗ってスーツ姿になったクロは、腕組みをして目を閉じてしまったので、私は邪魔にならないような静かな曲をカーステで流しながら帰ったのだが、往路ほどの気まずさは感じなかった。
クロが少し、自分のことを語ってくれたせいかもしれない。
これまでより距離が近くなったように感じた。
しかしそのせいで、今まで冷たくて怖い人だとばかり思っていたクロの違う一面を知ってしまったことも事実で、これからどういうふうに接したらいいのか戸惑いがある。
(実は優しい……のかもしれない……そしてたぶん、ずっと寂しさを抱えている……)
昨日私の頭を撫でてくれた手の温もりを思い出し、そういうふうに考えていたので、そのクロにふいに視線を向けられて、またドキリとした。
「…………!」
実は優しいのかもしれない――などと思ったクロの眉が、とても不愉快そうに、あからさまにひそめられる。
「おい何やってる、瑞穂。忙しいんだからさっさと働け」
ギロリと私を睨みながらの呼びかけに、これからいったいどう接したらいいのかなどと迷っていた気持ちが、一瞬にして跡形もなく吹き飛んだ。
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「はあ?」
訳がわからないといった顔で首を傾げたクロに背を向け、私は自分の担当の窓口へ向かう。
出社早々因縁をつけられるという、よくよく考えればパワハラ案件だったのに、心は妙にすっきりしていた。
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