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第一章 桜色の初恋
6:さし伸べられた手6
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「コウがずいぶんキミのことを気にしていて……ヨカッタら一度ここへ連れてきてごらんってお願いしたノハ、実はワタシなんデス」
やはり日本人とは異なる話し方で、園長先生は車のハンドルを握りながら、後部座席に座る私にバックミラー越しで話しかける。
「『希望の家』にいる子は、コウみたいに両親がいない子ばかりじゃなくッテ……親から暴力を受けて一時避難している子も多いデス。だから……」
(そうか。それで気にかけてくれたんだ……)
「ありがとうございます……」
小田君にも園長先生にも、頭が下がる。
その途端、助手席に座っていた小田君がガバッとこちらをふり向いた。
「お節介だってことはわかってる! そんなこと……他人にとやかく言われたくない奴もいるって、ちゃんと俺だってわかってるんだ! でも長岡は……なんか放っておけなくて!」
そこまで言い、また真っ赤になって前へ向き直ってしまうので、私まで頬が熱くなる。
小田君の言葉は、態度は、どうしてこれほど私を動揺させるのだろう。
「困ったことがアッタラ、いつでも『希望の家』に……私のトコロにいらっしゃい……あっ、もちろん、ナンにもなくっても来ていいんデス! みんなスッカリ、ちいお姉ちゃんが好きになっちゃったみたいデスから……」
泣きだした私をぐるりととり囲み、小さな手で代わる代わる頭を撫でてくれた子供たちのことを思い出すと、また涙がこみ上げてきそうだった。
「自分が辛い思いをした子は、他の人に優しいデス……あなたやコウもそう……」
穏やかな園長先生の言葉は、カラカラに乾いていた私の心に、水のように染み渡った。
やはり日本人とは異なる話し方で、園長先生は車のハンドルを握りながら、後部座席に座る私にバックミラー越しで話しかける。
「『希望の家』にいる子は、コウみたいに両親がいない子ばかりじゃなくッテ……親から暴力を受けて一時避難している子も多いデス。だから……」
(そうか。それで気にかけてくれたんだ……)
「ありがとうございます……」
小田君にも園長先生にも、頭が下がる。
その途端、助手席に座っていた小田君がガバッとこちらをふり向いた。
「お節介だってことはわかってる! そんなこと……他人にとやかく言われたくない奴もいるって、ちゃんと俺だってわかってるんだ! でも長岡は……なんか放っておけなくて!」
そこまで言い、また真っ赤になって前へ向き直ってしまうので、私まで頬が熱くなる。
小田君の言葉は、態度は、どうしてこれほど私を動揺させるのだろう。
「困ったことがアッタラ、いつでも『希望の家』に……私のトコロにいらっしゃい……あっ、もちろん、ナンにもなくっても来ていいんデス! みんなスッカリ、ちいお姉ちゃんが好きになっちゃったみたいデスから……」
泣きだした私をぐるりととり囲み、小さな手で代わる代わる頭を撫でてくれた子供たちのことを思い出すと、また涙がこみ上げてきそうだった。
「自分が辛い思いをした子は、他の人に優しいデス……あなたやコウもそう……」
穏やかな園長先生の言葉は、カラカラに乾いていた私の心に、水のように染み渡った。
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