幼馴染みと婚約破棄したら、変態執事が義兄になって毎晩迫ってくるんだけど!?

胡蝶

文字の大きさ
3 / 3

控え室

しおりを挟む
「なんだか罪人扱いとも違うような気がしない?」
「お前は肝が座ってて良いなぁ──アリサに本当に似てるなぁ」
  あたしの隣でハゲ親父はしきりと汗を拭いた。

  うわー。テカテカしてる……。

「母さん似で本当に良かったわ」
  脂ギッシュなオヤジの横顔を見ながらあたしは大きく息を吐き出した。


  城の騎士があたしたち親子を急な呼び出しで引っ立てて来たあの後──。

  いつもの王座に続く控えの間に案内され、言われるがまま待機してそこで優雅にお茶をいただいていたりするのだった。

  むろん、言うまでもないことだがあたしに縄はかけられていないし、逃亡防止に見張りの兵がたてられているわけでもない。

「いつもの王様の気まぐれかもね?」
  言って私は用意されていたお茶請けの焼菓子に手を伸ばした。
  朝御飯を食べ損ねたのだ。空腹でお腹がぐうぐう言っている。

「ヴィッセル家の娘に毒を盛ったと言われてるのによく食えるな──」
「だーかーら! あたしは知らないってば」
  あたしはパタパタと左手を振った。

「だいたい、昨日キースに婚約破棄してくれって言われたばかりだし」
「……はぁ!?」
  あたしの言葉に驚愕のあまり、あんぐりと口を開けるハゲオヤジ。

「なぜ、そんな大事なことを先に言わんのだ!!」
「あー、ごめん。結構どうでも良すぎて忘れてたわ……」
  本当に忘れてたんだから笑えるわ。うん。

「それで──お前。まさかあのキース王子にはめられたんじゃ……」
ポツリとオヤジは呟いた。

「イヤイヤイヤ。キースにそんな脳ミソはないでしょ。誰かが糸を引いているなら別だけど──」
「だな」
  呆然としたまま、オヤジは頷いた。

「では、キース王子を引き受けるかわりに我がクローディス侯爵家が拝領したあの町はお返しせねばならぬのか……それではまた財政が逼迫するな。来月から酒税をあげて通行料も値上げして──」
  どうやら頭の中のソロバンを弾くのに忙しくなったハゲオヤジ。

  心配なのはやっぱりそこ?

  母さんが亡くなってからは財テクにしか興味がなくなり、身に構わなくなったらハゲ散らかしてしまったけど、若い頃はそこそこ踏めたイケメンだった、らしいのに残念なことよねぇ──。

  その時。
  突然、バン! と扉が開いたかと思うと、黒ずくめの長身の執事がつかつかっとあたしのそばに歩み寄ってきたのだった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話

ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。 リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。 婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。 どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。 死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて…… ※正常な人があまりいない話です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」 それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。 挙げ句の果てに、 「用が済んだなら早く帰れっ!」 と追い返されてしまいました。 そして夜、屋敷に戻って来た夫は─── ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...