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Side シュウ
何だか頬が温かい気がして、意識が浮上する。
どうして自分は寝ているんだ。
ままならない意識の中でそんなことを考える。そういえば、ユウリを探しに行ったのだとシュウはそう思って目を開けた。しかしそこはジュナファーの家の中で、自分が外に出たことがまるでなかったかのように何の跡も残っていなかった。
今さっき用意していた食べ物が目の前に広がっていて、きれいに準備されている。
なんだかひどく懐かしい夢を見ていたきがして、シュウは無意識にこぼしていた涙を無造作に拭った。
しかしそう思い出に浸っていられないと、何が起きたのか確かめようと立ち上がるところで、ジュナファーの姿が見えないことに首をかしげた。
「どうなっているんだ…?」
そもそもどうして椅子の上に座っているのか。
気を失った人を椅子に座らせるとか、普通の人ならしないだろうに。
シュウは助けてくれたであろう人に少しの悪態をつくと、ご飯前だというのに誰もいない状況に静まり返った家の中を見渡した。
「———っ、」
途端に今さっきまでの夢で見た記憶も、ユウリを探していた記憶も、一気によみがえってきて心臓が大きな音を立てた。急いで探しに行かないと。このままではユウリを見失ってしまうかもしれないのだ。
そう思って立ち上がると反動で椅子が大きく後ろに揺れるとそのまま倒れて、その音にも驚いた。切れ長の瞳が見開かれて、いつもの柔和で少し威勢のいいその顔は大事なものを探す。
「っは、はっ。」
ユウリはこんなに軟じゃない。軟じゃないはずだ、そう思い込ませようとして、奥底の焦りがにじみ出た。焦りのせいか呼吸も乱れているような感じがする。
(———こんなことは前はなかった。)
安全で、エイデン将軍の庭で攫われたことなんてなかった。だから選んだというのに。
一度繰り返された“時”の中で、ユウリはそのまま帰ってこなかった。
遅かれ早かれ目の前から消える運命なのか、それとも別の何かにとらわれてしまっているのか、シュウにはわからなかった。
分かることは一刻も早くみつけださなくてはいけないということで、焦りながらも扉のほうに体を向ける。
ふと目についた壁に外からの光が反射していた。鈍く青く眩しい光が窓ガラスを通じて、反射しているみたいだった。
自分の知っているジュナファーの家からはこんな景色は見えなかったはずだ。
「——ここはどこだ?」
眉を寄せて、口から言葉がこぼれた。
ユウリside
ハルの腕に抱えられた二つ結びの女の子は、ジェリィという名前らしい。というのも、自己紹介されたわけではなくて、男の子がそう呼んでいたから分かったのだが、なぜだかハルは「王子様」と呼ばれるし、なぜだかユウリは「御付きの者」と呼ばれる。
(———なぜだ。)
顔が見えていない仮面野郎が王子様とは、今どきの子供たちの考え方はどうなっているのかとユウリは歩きながら唸る。
時間がたてば、ユウリたちにも慣れたのか、ユウリの両脇の子供たちも騒がしくなった。
男の子はデリクと名乗ると、初めの時とは大違いで思ったことを何でも聞いてくる。今日の朝は何を食べたってことから、魔法型(血液型みたいなもの)は何型ですかとか。そんな個人情報は教えるわけがない。初めはうなづいたり頭を振ったりしていたけれど、正直、面倒くさくなって口を閉じていることのほうが増える。
ユウリはもともとそんなに口数が多いほうではない。
「……そのままだと家に着く前につかれてしまうんじゃないか。」
遠回しに「うるさい」と伝えるが一向にわかってくれない騒がしさに眉間にしわを寄せた。
その顔はいつもと同じように能面に近くて、誰もユウリが騒がしさにつかれているなんて思っていない。
子供たちの指さす方に歩いていくと次第に家が見えてきた。この世界のエイデンの町の中心街につくのかと思ったけれど、見る限り町ではなくて、花畑に埋もれているだけの家しか見えなかった。領主の館よりも小さいけれど、それなりの大きさがあるその家は、エイデンでよくみられる、レンガ造りで、今は戦争で何もなくなっていた地域の場所なのだと分かった。
「それにしても、人は本当にいるのか?」
ユウリはあまりの静けさに、なんだか不安になってボソッとつぶやいた。
ここまで歩いてくるのに景色も変わらなかったし、ようやく見えた家も人気があるようには見えない。何だか同じところをループしていたようなそんな感覚に陥って、落ち着かない。
「そうですね…。」
ハルが言葉を返す。他に何か会話をと思って口を開こうとしたその時、
「———っ、うわぁあん」
なぜか腕に抱えていたミリーが大声をあげて泣き始めた。ユウリはぎょっとして、目を見開いた。
「…なん「うわー、お兄ちゃん目の色がきれいだね」
ユウリがうろたえる隙もなく、もう片方で抱えられていたデリクがユウリの顔を覗き込んでくる。今目の前でミリーが泣き始めたというのにこの少年はそんなことはどうでもいいらしい。泣いているミリーをさらっと無視してユウリの瞳だけを見つめた。
何だか頬が温かい気がして、意識が浮上する。
どうして自分は寝ているんだ。
ままならない意識の中でそんなことを考える。そういえば、ユウリを探しに行ったのだとシュウはそう思って目を開けた。しかしそこはジュナファーの家の中で、自分が外に出たことがまるでなかったかのように何の跡も残っていなかった。
今さっき用意していた食べ物が目の前に広がっていて、きれいに準備されている。
なんだかひどく懐かしい夢を見ていたきがして、シュウは無意識にこぼしていた涙を無造作に拭った。
しかしそう思い出に浸っていられないと、何が起きたのか確かめようと立ち上がるところで、ジュナファーの姿が見えないことに首をかしげた。
「どうなっているんだ…?」
そもそもどうして椅子の上に座っているのか。
気を失った人を椅子に座らせるとか、普通の人ならしないだろうに。
シュウは助けてくれたであろう人に少しの悪態をつくと、ご飯前だというのに誰もいない状況に静まり返った家の中を見渡した。
「———っ、」
途端に今さっきまでの夢で見た記憶も、ユウリを探していた記憶も、一気によみがえってきて心臓が大きな音を立てた。急いで探しに行かないと。このままではユウリを見失ってしまうかもしれないのだ。
そう思って立ち上がると反動で椅子が大きく後ろに揺れるとそのまま倒れて、その音にも驚いた。切れ長の瞳が見開かれて、いつもの柔和で少し威勢のいいその顔は大事なものを探す。
「っは、はっ。」
ユウリはこんなに軟じゃない。軟じゃないはずだ、そう思い込ませようとして、奥底の焦りがにじみ出た。焦りのせいか呼吸も乱れているような感じがする。
(———こんなことは前はなかった。)
安全で、エイデン将軍の庭で攫われたことなんてなかった。だから選んだというのに。
一度繰り返された“時”の中で、ユウリはそのまま帰ってこなかった。
遅かれ早かれ目の前から消える運命なのか、それとも別の何かにとらわれてしまっているのか、シュウにはわからなかった。
分かることは一刻も早くみつけださなくてはいけないということで、焦りながらも扉のほうに体を向ける。
ふと目についた壁に外からの光が反射していた。鈍く青く眩しい光が窓ガラスを通じて、反射しているみたいだった。
自分の知っているジュナファーの家からはこんな景色は見えなかったはずだ。
「——ここはどこだ?」
眉を寄せて、口から言葉がこぼれた。
ユウリside
ハルの腕に抱えられた二つ結びの女の子は、ジェリィという名前らしい。というのも、自己紹介されたわけではなくて、男の子がそう呼んでいたから分かったのだが、なぜだかハルは「王子様」と呼ばれるし、なぜだかユウリは「御付きの者」と呼ばれる。
(———なぜだ。)
顔が見えていない仮面野郎が王子様とは、今どきの子供たちの考え方はどうなっているのかとユウリは歩きながら唸る。
時間がたてば、ユウリたちにも慣れたのか、ユウリの両脇の子供たちも騒がしくなった。
男の子はデリクと名乗ると、初めの時とは大違いで思ったことを何でも聞いてくる。今日の朝は何を食べたってことから、魔法型(血液型みたいなもの)は何型ですかとか。そんな個人情報は教えるわけがない。初めはうなづいたり頭を振ったりしていたけれど、正直、面倒くさくなって口を閉じていることのほうが増える。
ユウリはもともとそんなに口数が多いほうではない。
「……そのままだと家に着く前につかれてしまうんじゃないか。」
遠回しに「うるさい」と伝えるが一向にわかってくれない騒がしさに眉間にしわを寄せた。
その顔はいつもと同じように能面に近くて、誰もユウリが騒がしさにつかれているなんて思っていない。
子供たちの指さす方に歩いていくと次第に家が見えてきた。この世界のエイデンの町の中心街につくのかと思ったけれど、見る限り町ではなくて、花畑に埋もれているだけの家しか見えなかった。領主の館よりも小さいけれど、それなりの大きさがあるその家は、エイデンでよくみられる、レンガ造りで、今は戦争で何もなくなっていた地域の場所なのだと分かった。
「それにしても、人は本当にいるのか?」
ユウリはあまりの静けさに、なんだか不安になってボソッとつぶやいた。
ここまで歩いてくるのに景色も変わらなかったし、ようやく見えた家も人気があるようには見えない。何だか同じところをループしていたようなそんな感覚に陥って、落ち着かない。
「そうですね…。」
ハルが言葉を返す。他に何か会話をと思って口を開こうとしたその時、
「———っ、うわぁあん」
なぜか腕に抱えていたミリーが大声をあげて泣き始めた。ユウリはぎょっとして、目を見開いた。
「…なん「うわー、お兄ちゃん目の色がきれいだね」
ユウリがうろたえる隙もなく、もう片方で抱えられていたデリクがユウリの顔を覗き込んでくる。今目の前でミリーが泣き始めたというのにこの少年はそんなことはどうでもいいらしい。泣いているミリーをさらっと無視してユウリの瞳だけを見つめた。
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