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Ⅰ-32
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『———ユウリ君!!』
その声が聞こえたのと同時に何かに押し倒されるようにその体が吹っ飛んでいく。
シュウが指をうごかすと、勢いよく氷でできた剣が触れようとしていた腕をたたき切った。鈍い音とともに勢いよくその腕が吹っ飛ぶと、瘴気の灰が宙へ舞う。
生き物を殺すような感じではなくて、無機物を殺しているような感じだ。
「触るな」
シュウは鋭い瞳で睨みつける。冒険者になれば傷の一つや二つあって当たり前だ。だからシュウが怖いくらいに過保護になっている様子はユウリからしたら何だか複雑だ。
シュウの緊張する体に大丈夫だと合図するように肩をたたいてこちらに意識を向けさせる。目が何処か仄暗いようなアメジストの瞳がユウリをとらえた。
「シュウ、そんなに心配しなくても自分で守れる。」
「わかってる。」
本当にそう分かったのかと疑いたくくらい軽い返事をする。
『君たちは相変わらずなんだね…』
ささやくくらいの小さい声にシュウが反応する。
「やっぱり…覚えているかジュナファーさん。10年前にサイフォス様に助けられたときのことを。」
(———え?)
サイフォスというのはユウリの家名だ。どうしてシュウがサイフォスを知っているのか。どうしてこの世にもう一人しかいない家名を知っている?
視線だけを動かして問われた先を見つめる。しかし何も答えずに黙ったままだ。
「…なぜ何も言わない。」
うめき声があげる。たたき切られたはずの腕に苦痛に表情をゆがめるでも、そんなものを気にした様子もない。
「———なあ、サイフォスってどういうこと?……黄金ってなんのこと?」
こんな状況で黙っていられなかった。ただ巻き込まれたはずだったのにいつの間にか舞台に立たされてしまったみたいだ。
こぼれんばかりに目を見開いて、追いつかない頭を落ち着かせようとする。
知る限りこの世界に黄金を意味する固有名詞はないのだ。金はある。でも黄金は違う。
ではそれはいったい何なのか。こんなに自分の周りを囲まれているのに自分に関係ないなんて思えないじゃないか。そこまで鈍くはなりきれない。
耳元に聞こえてくる音がうるさくて、周りの音が上手く拾えない。
下がり気味だった頭を上にあげるとシュウとハルの焦ったような顔が目に入った。そこで初めて聞こえてくる煩い音が自分の息遣いであることに気づく。
こんな風になったことはない。どことなく頭も刺すように痛い気がしてきた。
でもアイツの声だけははっきりと耳に響く。
『アア、そうだ。黄金がやってこなければおこるはずもなかったものを…アイツガ持ち込んだァ』
———そうだ黄金が悪い。
目的が変わったかのように鋭い目つきに変わる。
混乱する頭をはっきりさせたくて、頭を振るもまるでええ靄がかかったように頭が働かない。自分が知らないことを
なぜみんなが知っているのかよくわからない。
じゃあそのユウリが持っている黄金を渡したらもう許してくれる?
それともみんながきれいって言ってくれたから譲らないほうがいい?
その声が聞こえたのと同時に何かに押し倒されるようにその体が吹っ飛んでいく。
シュウが指をうごかすと、勢いよく氷でできた剣が触れようとしていた腕をたたき切った。鈍い音とともに勢いよくその腕が吹っ飛ぶと、瘴気の灰が宙へ舞う。
生き物を殺すような感じではなくて、無機物を殺しているような感じだ。
「触るな」
シュウは鋭い瞳で睨みつける。冒険者になれば傷の一つや二つあって当たり前だ。だからシュウが怖いくらいに過保護になっている様子はユウリからしたら何だか複雑だ。
シュウの緊張する体に大丈夫だと合図するように肩をたたいてこちらに意識を向けさせる。目が何処か仄暗いようなアメジストの瞳がユウリをとらえた。
「シュウ、そんなに心配しなくても自分で守れる。」
「わかってる。」
本当にそう分かったのかと疑いたくくらい軽い返事をする。
『君たちは相変わらずなんだね…』
ささやくくらいの小さい声にシュウが反応する。
「やっぱり…覚えているかジュナファーさん。10年前にサイフォス様に助けられたときのことを。」
(———え?)
サイフォスというのはユウリの家名だ。どうしてシュウがサイフォスを知っているのか。どうしてこの世にもう一人しかいない家名を知っている?
視線だけを動かして問われた先を見つめる。しかし何も答えずに黙ったままだ。
「…なぜ何も言わない。」
うめき声があげる。たたき切られたはずの腕に苦痛に表情をゆがめるでも、そんなものを気にした様子もない。
「———なあ、サイフォスってどういうこと?……黄金ってなんのこと?」
こんな状況で黙っていられなかった。ただ巻き込まれたはずだったのにいつの間にか舞台に立たされてしまったみたいだ。
こぼれんばかりに目を見開いて、追いつかない頭を落ち着かせようとする。
知る限りこの世界に黄金を意味する固有名詞はないのだ。金はある。でも黄金は違う。
ではそれはいったい何なのか。こんなに自分の周りを囲まれているのに自分に関係ないなんて思えないじゃないか。そこまで鈍くはなりきれない。
耳元に聞こえてくる音がうるさくて、周りの音が上手く拾えない。
下がり気味だった頭を上にあげるとシュウとハルの焦ったような顔が目に入った。そこで初めて聞こえてくる煩い音が自分の息遣いであることに気づく。
こんな風になったことはない。どことなく頭も刺すように痛い気がしてきた。
でもアイツの声だけははっきりと耳に響く。
『アア、そうだ。黄金がやってこなければおこるはずもなかったものを…アイツガ持ち込んだァ』
———そうだ黄金が悪い。
目的が変わったかのように鋭い目つきに変わる。
混乱する頭をはっきりさせたくて、頭を振るもまるでええ靄がかかったように頭が働かない。自分が知らないことを
なぜみんなが知っているのかよくわからない。
じゃあそのユウリが持っている黄金を渡したらもう許してくれる?
それともみんながきれいって言ってくれたから譲らないほうがいい?
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