おきつねさまは4歳児。~母親の恩返しに娘が嫁入りにきました~

まかろんたわー

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嫁にきたのじゃ。まるじゃ。

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十年前。
当時7歳だった俺は山の近くに住んでいた。
ある夕方、家にひとりでいた俺は、怪我をした大きな九尾の狐「さんかく」を匿った。
そして、それから十年後……。
俺は、いつものように、自転車を飛ばす。
「ただいま」
家の玄関を開けた。
「おかえりじゃのう」
現れたのは、巫女装束に、黒髪ポニーテール、狐耳の4歳の女の子。
「まる、元気にしてたか?」
俺は言う。
「外殿、待ちくたびれたのう」
まるはいう。
「今日はラーメン作るんだよね。一緒に食べよう」
俺は言う。
「うむ」
まるは頷いた。
俺は台所で、ラーメンを作る。
まるは尻尾をふりながら、その様子をみているる。
「野菜ラーメンにしてたも」
「わかったよ」
俺は言う。
まる。
彼女は俺の未来の嫁で、婚約者だ。
三日前に、この家にきたばかり。
「恩返しにきました、まるです」
そう挨拶して、突然、現れた。
ちいさな桐のタンス、ひとつ背負って。
「ラーメン、冷ますよ」
俺は言う。
「うむ」
まるは小さな9本の尻尾をふりふりしながら、言う。
ちいさいながらも、聡明な彼女は、別にロリババアでもないのに、のじゃ言葉を使う。
彼女と机に座り、ラーメンを食べた。
「おいしいのう」
まるが言う。
「そうだね」
俺。
これは、ちいさな彼女と孤独な俺の、新婚物語だ。
俺は魚の骨をとり、まるに与える。
「おいしい」
まるが言う。
「やさい、はくさい固くないかい?」
俺は聞いた。
「やわらかい」
まる。
まるはちいさくて、人形みたいで、しかしどことなく艶やかだ。
俺は、そんなまるをひと目みて気に入った。
特に、4歳であるところが気に入った。
もやしをはむはむする、まるをみて俺は誓った。
……よし、この子は俺の嫁にしよう。
孤独な俺の人生の唯一無二の光にしよう。
この子を絶世の美女に育てる事を夢見る。
あの「さんかく」のような。
なにを隠そう、「さんかく」は俺の初恋の相手なのだ。
「んー」
まるは、お茶をごくごくと飲む。
「ぷはっ」
「まる、夕飯たべたら一緒にお風呂入ろう」
俺は言う。
「のじゃ~」
無邪気に笑うまるをみて、俺は笑顔が溢れた。



俺は事情があり、ひとりで暮らしている。
友達もいない。こんな性格なもので。
ただ、容姿だけはいい方だと思っている。今までも何人かの女の子と付き合った事はあるが、どれも満足できなかった。
ただひとり、7歳の時に出会った「さんかく」
を除いては。
「外殿~」
まるが、お風呂で遊ぶ。
つややかな黒髪が泡で濡れている。
「かわいいなぁ」
たまらない。
「のじゃー」
まるが笑う。
俺はシャワーでまるの髪を洗い流した。
「やはり湯はいいのう」
まるが言う。
「そうだね」
俺。
「これからいっぱい遊んでくれよの」
まる。
「ああ」
俺は頷いた。
絶対、彼女を離さない。
彼女は、俺が守る。
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