5分で読めるブラックユーモア

夜寝乃もぬけ

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ねじりまんぽ

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あれは寒い冬の日だった。
当時、俺は20代のフリーター。

仲がいい男友達3人と一泊二日の旅行をする事になった。有名な神社仏閣を回る観光が目的だ。

1日目。
早朝から電車で現地へ着き、主要な観光名所を回っていると昼過ぎになった。
あるお寺に向かう途中
。俺達はトンネルの前に立てられた看板に目を奪われた。

『ねじりまんぽ』

ねじれまんぽ?
「ねじりまんぽ?」
「ねじり……まんぽ?」
俺達は口々に言う。

立て看板を見るとこうあった。

まんぽとはトンネルを意味する古い言葉。
レンガを螺旋状に積む工法がつかわれている。
ねじりのあるトンネル=ねじりまんぽ。

という事らしい。

ねじりまんぽ。そのパワーワードがしばらく、脳内で再生されつづけた。

その日の夜。
1日目の観光を終え俺達はバーで飲んでた。
ふとした拍子に今朝の『ねじりまんぽ』の話しになり、友達の1人が「これ見てくれよ」とみんなにスマホを見せてきた。

ねじりまんぽの都市伝説。

『深夜0時。ねじりまんぽを通ると身に着けているものが、ねじれる』

「なにこれ?」「うそだろ?」

勿論、みんな信じていなかった。

「なあ、せっかくなんだし試してみようぞ」
興味本位で友達の一人が言い出す。

時間は23時。例のねじりまんぽまででタクシーでいけば深夜0時には充分間に合う。
お酒が十分に回っていてテンションが高まっていた俺達は悪ノリで行ってみるか、となった。

ねじりまんぽに到着し、0時を待つ。

「今、何時?」
「23時59分……あっ、0時になった」

俺達はねじりまんぽの中に入る。
長さはそれほどなく、せいぜい20mといったところだ。

ねじりまんぽを通り抜け、反対側に出た。

「どうだ? なにかねじれている?」
「うーん。あっ! 鞄。鞄の紐がねじれている」
「それ本当か? さっきからねじれていたんじゃないの?」
「本当だって。お前らは何かねじれてないの?」
「あっ、俺は靴紐がねじれている」
「おおー。本当なのか?」

俺は自分の持ち物をよく見る。
だが、ねじれている物は見当たらない。

「どうだあったか」
「ないな」

俺は持っていた鞄をひっぱりだして確認してみた。

「あっ!」

今朝、神社で買った厄除けのお守り。
それが真ん中から真っ二つに、ねじ切れてた。

「なんか不吉だな」

俺はねじ切れたお守りを片手にして、急劇に酔いが醒め、寒気を感じた。


「なにビビってるんだよ。お前ら。大丈夫だって。なあ、それよりよ、全裸で通ったらどうなるんだ。ここ」
友達の一人はそう言うと服を脱ぎはじめた。

真冬に裸になるなんて。
こいつはバーでかなり飲んでおり、正常な判断ができない様子だった。

「おいおいやめろよ。風邪ひくぞ。それに人が来たらどうするんだよ」

俺達の制止も聞かず全裸になる。ニヤリとほほ笑むと

「ねじりまんぽぉぉぉ~~~」

大声でそう言いながら、全裸で全力疾走する友達。
すると元来たねじりまんぽを通り抜けた向こう側で、パタリと倒れこんだ。

「おい、大丈夫か? どうした」

俺ともう一人の友達は声をかける。
だが返事がない。
友達の元へ行くにはもう一度ねじりまんぽを通る必要がある。

「……行こう」
俺達は友達の元に走った。

「大丈夫か?」
「うう、う……苦しい」
友達は腹を押さえ小さな声で呻く。

俺達は急いでタクシーを呼んで病院へと向かった。

だが、ダメだった。
友達は病院へ着いた後、死んだ。

友達の死は不明点がいくつもあった。
ただ一つ確かな事は、腸がねじ切れていたそうだ。
それが原因で死んだと思われるが、何故そうなったのか、医学では説明がつかないと言っていた。


もしも、あなたも、ねじりまんぽを見かけたときは深夜0時に全裸で通る事はやめた方いい。
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