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第一章 突然の婚約と一方的な婚約破棄
2 シリルにとっての受難
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マンヴィル王国第一騎士団長シリル・ランバート・アランデルは容姿端麗だけでなく、剣の腕も国内で恐らく五本の指の内に入るだろう腕前も特筆するものだが、現宰相を務める父親は名門ベディングトン公爵家の当主で彼はその嫡男でもある。
そして未だ正式な婚約者もいない23歳と言う若さに加えて、神に何物も与えられた確実に輝かしい未来を約束された青年である。
そのシリルの祖父は前元帥として国の偉大な英雄と称えられ、宰相である父親は知性と冷徹さを併せ持つ国一番の腹黒い男と言う異名を持ち、幼い頃よりそんな二人から英才教育を受け、末は元帥かはたまた宰相かと常に周囲より注目を受け、社交界でも上位に食い込む優良物件でもある彼は現在……と言うか今より二年前のある日を境に、彼は自身にとってこれ以上ないくらいの人生の辛酸?を舐める事となったのである。
ただし不幸だと感じるのは人それぞれの受け止め方によるものである。
でも二年前のシリルにしてみればは、それこそまさに人生最大の不幸だと、まるで天変地異の如くに受け止めてしまったのだ。
そしてその不幸の根源となるの理由とは……。
あれは二年前のとある日の事だった。
王宮にて一つの事件が勃発したのだ。
それはシリルにとって……いや、彼個人の云々程度のものではなく、国として決して楽観視出来る事等到底許されないくらいの大事件だった。
何と言っても一歩間違えれば国王が暗殺されていたのだっっ!!
そもそも三ヶ月前に隣国であり敵国バリッシュよりの間者が王宮内へ潜入したのが事の始まりであった。
しかし潜入した間者は王宮の騎士達の手により可及的速やかに、またこちらの被害も思ったよりも少なく捕える事が出来たのだ。
だが捕えた間者は予想していたよりも大物だった故に、精鋭部隊で知られるシリルの第一騎士団が中心となって囚人の取り調べと警護を任される事となる。
きっと近い未来に再び開戦されるだろうバリッシュとの戦に備え、出来るだけバリッシュの情報を引き出す算段であった。
当然拷問により情報を引き出させんとしたのだが、相手もかなり抵抗を示し思うような情報は中々引き出せないまま時間だけ空しく過ぎていた頃――――事件は起こってしまった。
そうシリルの部下の隙を突き、囚人はその一瞬の隙を見逃さずに牢獄より脱獄したのだっっ。
然もただの脱獄だけではなく、大胆不敵にも囚人であった間者は城外へ出ていく事なく奥まった場所にある国王執務室へと迷う事なく向かい、その部屋にいた王へと刃を向けたのだっっ。
国王への暗殺は何とか未遂へと防いだものの、当然の事ながら失態を犯した部下の上司であり囚人の一切を統括責任者であったシリルがその責を問われ、今まさにその事で断罪が下されるであろうその場所へ、一体何がどう起こったのだろうか。
そう、何故かその場に全くそぐわない人物が、広間へ問答無用で押し入ってきたのだっっ。
そして未だ正式な婚約者もいない23歳と言う若さに加えて、神に何物も与えられた確実に輝かしい未来を約束された青年である。
そのシリルの祖父は前元帥として国の偉大な英雄と称えられ、宰相である父親は知性と冷徹さを併せ持つ国一番の腹黒い男と言う異名を持ち、幼い頃よりそんな二人から英才教育を受け、末は元帥かはたまた宰相かと常に周囲より注目を受け、社交界でも上位に食い込む優良物件でもある彼は現在……と言うか今より二年前のある日を境に、彼は自身にとってこれ以上ないくらいの人生の辛酸?を舐める事となったのである。
ただし不幸だと感じるのは人それぞれの受け止め方によるものである。
でも二年前のシリルにしてみればは、それこそまさに人生最大の不幸だと、まるで天変地異の如くに受け止めてしまったのだ。
そしてその不幸の根源となるの理由とは……。
あれは二年前のとある日の事だった。
王宮にて一つの事件が勃発したのだ。
それはシリルにとって……いや、彼個人の云々程度のものではなく、国として決して楽観視出来る事等到底許されないくらいの大事件だった。
何と言っても一歩間違えれば国王が暗殺されていたのだっっ!!
そもそも三ヶ月前に隣国であり敵国バリッシュよりの間者が王宮内へ潜入したのが事の始まりであった。
しかし潜入した間者は王宮の騎士達の手により可及的速やかに、またこちらの被害も思ったよりも少なく捕える事が出来たのだ。
だが捕えた間者は予想していたよりも大物だった故に、精鋭部隊で知られるシリルの第一騎士団が中心となって囚人の取り調べと警護を任される事となる。
きっと近い未来に再び開戦されるだろうバリッシュとの戦に備え、出来るだけバリッシュの情報を引き出す算段であった。
当然拷問により情報を引き出させんとしたのだが、相手もかなり抵抗を示し思うような情報は中々引き出せないまま時間だけ空しく過ぎていた頃――――事件は起こってしまった。
そうシリルの部下の隙を突き、囚人はその一瞬の隙を見逃さずに牢獄より脱獄したのだっっ。
然もただの脱獄だけではなく、大胆不敵にも囚人であった間者は城外へ出ていく事なく奥まった場所にある国王執務室へと迷う事なく向かい、その部屋にいた王へと刃を向けたのだっっ。
国王への暗殺は何とか未遂へと防いだものの、当然の事ながら失態を犯した部下の上司であり囚人の一切を統括責任者であったシリルがその責を問われ、今まさにその事で断罪が下されるであろうその場所へ、一体何がどう起こったのだろうか。
そう、何故かその場に全くそぐわない人物が、広間へ問答無用で押し入ってきたのだっっ。
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