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第二章 どうやら成人する前に色々と人生を詰んでいるみたいです
13 ジャ○アンの主張!! アンセルムSide Ⅴ
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エヴェリーナ・クラーラ・リースベット・アールクヴィスト。
この国、アールグレン王国の第一王女であり国王夫妻の唯一の子供で将来の女王。
眩い陽の光に照らされた真冬の凍れる滝の如く銀色に輝く髪に、時折直系王族のみに現れると言うアールグレンの至宝と呼ばれし翆玉と瓜二つの、鮮やかな緑色の中に青い星が輝き、美しいも穢れを知る事のない神々しい光を放つ瞳を持ち、その身体を形成する肌は山深くに積る深雪の様に真っ白で沁み一つない……年齢にそぐわず少し大人びた聡い姫。
それが俺達貴族のみならず国民全てが知り得たる彼女――――王女の噂。
たった5歳にして学院で学ぶだろうほぼ全ての知識を王女は既に身につけ、決して表舞台にはまだ幼いと言う理由で公式の場にも出てはこないがしかしその裏では父王へ色々助言しているという実しやかな噂まである。
一方ではやはり国王夫妻の一粒種と言う事もあり、我儘でどうしようもない程に気位の高い傲岸不遜な姫だとも言われているのを聞いた事があった。
愛妻家で娘に弱い国王、然も中継ぎの王故に将来の女王にはあまり厳しく出来ないのだろうとも言われていたのだが真実はどうだっっ。
確かに普通の子供らしい所は少ないのかもしれない。
あの小娘……リーヴ伯爵令嬢の方が彼女と同じ年齢にも拘らず子供子供していたな。
あれが本来の5歳児だと言えばそうなのかもしれない。
まあ同じ子供目線で見てもだ。
同じ年頃の令嬢や子息達よりも俺と、いや俺よりももっと年上に見えるくらい堂々としていた。
身体こそは年齢相応なモノで線も細くツルぺただけれど……って、一体俺は5歳児に何を求めているんだっっ。
いやいや俺は断じて変態じゃあないぞっっ。
ただ……言われてみれば王妃の隣に並ぶ彼女の面差しはとても王妃に似ていて一目で親子だとわかる。
それに決して我儘でどうしようもない王女なんかじゃあないっっ。
どちらかと言えば思慮深く、あの優しい笑顔なんて天使だと思うっっ。
彼女……エヴェリーナ。
きっとあの日が非公式ながらも社交デビューだったのだろうな。
そして典礼に則るのだとすれば、エヴェリーナの8歳の誕生を祝う宴の席で将来の王配となる婚約者を決める――――ってそれはつまり俺だっっ。
あぁこの俺しか彼女に相応しい貴族の子息はいない。
それは先日の茶会より戻って直ぐに父上も申されていたしな。
将来の王配として姫を支えよ――――と。
後三年……短い様で長いな。
でも後三年もすれば俺は名実共に彼女の、エヴェリーナの婚約者となるのだっっ。
いやもうほぼほぼ確定していると言うか、現時点で婚約を交わしてもよくないか。
典礼等に則らなくとも俺は何時でもっ、何なら今直ぐでもいいっっ。
俺は一日でも早くあの柔らかな笑顔の傍近くにいたい!!
いやいやここはがっついてはいけないだろう。
お互いにまだまだ子供なんだ。
この三年の間に俺は更に自分を磨けばいい。
だが磨く……とは言っても俺程に完璧な貴族の子息はこの国中何処を探してもいないだろう。
しかし敢えて言うならば社交術……かな。
ここは面倒だが女の喜びそうな言葉や態度を磨く事にしよう。
彼女ではない、そこら辺りの女達を踏み台にして……な。
三年後、エヴェリーナは8歳となる。
5歳のこの時でさえ美しいと思ったのだ。
ふ、8歳ともなれば随分と女性らしさも備わるのだろうな。
俺が14歳で彼女が8歳、中々にいい感じじゃないか。
そうあの時まで俺は未来の、いいや俺の中ではエヴェリーナはもう既に俺の婚約者なのだっっ。
ただ正式な披露をしていないだけの話なんだ。
そう思い続けていたある茶会での事だった。
後一年を待ち焦がれていたそんな頃、仕方なしに話の流れでエスコートした侯爵家の令嬢とその取り巻き連中の話を何時もの様に面白くもなく左から右へと聞き流していたんだ。
「ねぇお聞きになった?」
「えぇでは貴女も?」
「それはそうよっ、だってねぇあの様に御立派な御方ですもの」
「そうよそうよっっ。ああでも本当に羨ましいとはこの事よねっっ」
なにがだ、先程から姦しいにも程がある。
俺は深い溜息を吐きながら少し令嬢達より離れようとしたその瞬間――――聞き捨てならない文言が耳と心をぐさりと深く貫いていく。
「エヴェリーナ王女様とエドゥアルド皇子様はとてもお似合いね。きっと姫様のご婚約が調うのも時間の問題ですわっっ」
エドなんとかと俺のエヴェリーナが婚約っっ!?
俺のエヴェリーナが……俺、の、エヴェリーナは俺のモノだっっ!!
断じてエドなんとかと婚約等っ、あの笑顔は俺だけのモノなんだっっ!!
絶対に誰にも渡さない!!
どんな手段を用いてもエヴェリーナはっ、彼女はあの頃より俺の婚約者なのだからなっっ!!
この国、アールグレン王国の第一王女であり国王夫妻の唯一の子供で将来の女王。
眩い陽の光に照らされた真冬の凍れる滝の如く銀色に輝く髪に、時折直系王族のみに現れると言うアールグレンの至宝と呼ばれし翆玉と瓜二つの、鮮やかな緑色の中に青い星が輝き、美しいも穢れを知る事のない神々しい光を放つ瞳を持ち、その身体を形成する肌は山深くに積る深雪の様に真っ白で沁み一つない……年齢にそぐわず少し大人びた聡い姫。
それが俺達貴族のみならず国民全てが知り得たる彼女――――王女の噂。
たった5歳にして学院で学ぶだろうほぼ全ての知識を王女は既に身につけ、決して表舞台にはまだ幼いと言う理由で公式の場にも出てはこないがしかしその裏では父王へ色々助言しているという実しやかな噂まである。
一方ではやはり国王夫妻の一粒種と言う事もあり、我儘でどうしようもない程に気位の高い傲岸不遜な姫だとも言われているのを聞いた事があった。
愛妻家で娘に弱い国王、然も中継ぎの王故に将来の女王にはあまり厳しく出来ないのだろうとも言われていたのだが真実はどうだっっ。
確かに普通の子供らしい所は少ないのかもしれない。
あの小娘……リーヴ伯爵令嬢の方が彼女と同じ年齢にも拘らず子供子供していたな。
あれが本来の5歳児だと言えばそうなのかもしれない。
まあ同じ子供目線で見てもだ。
同じ年頃の令嬢や子息達よりも俺と、いや俺よりももっと年上に見えるくらい堂々としていた。
身体こそは年齢相応なモノで線も細くツルぺただけれど……って、一体俺は5歳児に何を求めているんだっっ。
いやいや俺は断じて変態じゃあないぞっっ。
ただ……言われてみれば王妃の隣に並ぶ彼女の面差しはとても王妃に似ていて一目で親子だとわかる。
それに決して我儘でどうしようもない王女なんかじゃあないっっ。
どちらかと言えば思慮深く、あの優しい笑顔なんて天使だと思うっっ。
彼女……エヴェリーナ。
きっとあの日が非公式ながらも社交デビューだったのだろうな。
そして典礼に則るのだとすれば、エヴェリーナの8歳の誕生を祝う宴の席で将来の王配となる婚約者を決める――――ってそれはつまり俺だっっ。
あぁこの俺しか彼女に相応しい貴族の子息はいない。
それは先日の茶会より戻って直ぐに父上も申されていたしな。
将来の王配として姫を支えよ――――と。
後三年……短い様で長いな。
でも後三年もすれば俺は名実共に彼女の、エヴェリーナの婚約者となるのだっっ。
いやもうほぼほぼ確定していると言うか、現時点で婚約を交わしてもよくないか。
典礼等に則らなくとも俺は何時でもっ、何なら今直ぐでもいいっっ。
俺は一日でも早くあの柔らかな笑顔の傍近くにいたい!!
いやいやここはがっついてはいけないだろう。
お互いにまだまだ子供なんだ。
この三年の間に俺は更に自分を磨けばいい。
だが磨く……とは言っても俺程に完璧な貴族の子息はこの国中何処を探してもいないだろう。
しかし敢えて言うならば社交術……かな。
ここは面倒だが女の喜びそうな言葉や態度を磨く事にしよう。
彼女ではない、そこら辺りの女達を踏み台にして……な。
三年後、エヴェリーナは8歳となる。
5歳のこの時でさえ美しいと思ったのだ。
ふ、8歳ともなれば随分と女性らしさも備わるのだろうな。
俺が14歳で彼女が8歳、中々にいい感じじゃないか。
そうあの時まで俺は未来の、いいや俺の中ではエヴェリーナはもう既に俺の婚約者なのだっっ。
ただ正式な披露をしていないだけの話なんだ。
そう思い続けていたある茶会での事だった。
後一年を待ち焦がれていたそんな頃、仕方なしに話の流れでエスコートした侯爵家の令嬢とその取り巻き連中の話を何時もの様に面白くもなく左から右へと聞き流していたんだ。
「ねぇお聞きになった?」
「えぇでは貴女も?」
「それはそうよっ、だってねぇあの様に御立派な御方ですもの」
「そうよそうよっっ。ああでも本当に羨ましいとはこの事よねっっ」
なにがだ、先程から姦しいにも程がある。
俺は深い溜息を吐きながら少し令嬢達より離れようとしたその瞬間――――聞き捨てならない文言が耳と心をぐさりと深く貫いていく。
「エヴェリーナ王女様とエドゥアルド皇子様はとてもお似合いね。きっと姫様のご婚約が調うのも時間の問題ですわっっ」
エドなんとかと俺のエヴェリーナが婚約っっ!?
俺のエヴェリーナが……俺、の、エヴェリーナは俺のモノだっっ!!
断じてエドなんとかと婚約等っ、あの笑顔は俺だけのモノなんだっっ!!
絶対に誰にも渡さない!!
どんな手段を用いてもエヴェリーナはっ、彼女はあの頃より俺の婚約者なのだからなっっ!!
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