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第二章 どうやら成人する前に色々と人生を詰んでいるみたいです
12 ジャ○アンの主張!! アンセルムSide Ⅳ
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「…………――っっ」
彼女の腕を掴んでみたものの、正直に言って何をどうすればいいのか全く分からなかった。
何故ならこんな形のない、不確かであやふやな精神状態なんて生まれて初めてだった。
そして誰もこんな時にどうすればいいのか、正しい対処法を教えてはくれなかった。
俺の両親?
ああ、あれはそれこそ仮面をしっかり張り付けた赤の他人同士でしかないだろう。
公の行事若しくはお互いに何か益がある時だけ夫婦の、家族であった事を思い出す。
子供の俺に対してでも如実にその様な態度をとるのは特に母親だ。
あのババアの俺へ示す態度一つだけで言葉にしなくても十分過ぎる程俺には伝わってくる。
まああのババアと比べれば実の父親は幾分かましなのかもしれない。
自身の血を受け継いだ時期公爵家の後継と言う扱いからすれば――――な。
そんな両親へ一片の期待もしない俺を育てるのは、専ら屋敷に仕える者達だ。
別にそれに対して俺は一切不満に思った事もないし、またこれより先も思わないだろう。
まあ生きていくのに何も困る事もないんだ。
そう、確かにたった今までそう思っていたし思い込んでいたのだが――――っっ!?
今現実に俺は猛烈に困っているっっ!!
俺の心は一体どうしたと言うのだっっ。
胸……ああ心というものが俺にもあった事にも相当驚いたものだが、それよりもその心が何やらむず痒い様なそれでいてポカポカと温かくなる。
恐らくその原因は目の前の名も知らぬ少女――――だっっ!!
今まで俺が見知っている令嬢達の誰にでもない、凛とした美しさであるも清楚な一輪の百合の様でいて、それなのに大輪の薔薇を思わせる様な笑みを俺へ向けてくれる不思議な魅力を秘めた少女。
そんな彼女を見つめるだけで俺の心はっ、心の臓は忙しなく打ち始めると共に心の奥より甘酸っぱい気持ちが無限に生みだされていく。
こんな状態を人は何と言うのだろう。
彼女を見つめているだけで心が満たされていく多幸感。
時間にすればほんの一瞬の事だろうけれども、しかし間違いなく俺は……俺と彼女はこの時間を共有しているっっ。
なのにだっっ!!
行き成り割って入った小娘……いやいやリーヴ伯爵令嬢によりっ、俺から彼女を引き離さんとしているのだっっ。
だから彼女が去ろうとした刹那、それまで温かかった俺の心は一瞬で凍てつき、行き場を失うのを恐れた俺の身体と言うか心がとった行動は細くて柔らかな、それでいてしっとりと滑らか過ぎる白い手を掴んでしまったっっ。
「はい?」
彼女は掴まれた自身の手と俺の顔を見て不思議そうな表情をしていた。
うん断じて嫌がってはいないと思う。
その証拠に直ぐには俺の手を払い除けなかったのだからな。
正直に言って戸惑っていたのだろう。
初めて抱いた想いを共有する者同士として、この先どうすればいいのかがわからなかっただけなんだ。
そうここは年上の男として俺が上手くリードしてやらねば――――と思う前に俺は、初めて触れる彼女の手の柔らかさや吸いつく様なしっとりしている肌にほんの少しうっとりとしたのが敗因だった。
「何を勝手に触っているのですかっっ。姫姉様に触っていいのは私とエリーサだけなのです!!」
そうけたたましく叫びながらほぼ無理やり俺と彼女を引き離したのは言わずと知れたリーヴ伯爵令嬢。
「さあ行きましょう姫姉様。王妃様をお待たせしてはいけませんわ」
「え、ええ……」
半ば強引にあの小娘は彼女の手を引き宴の場へと、俺から引き離してしまった。
流石の俺も場所が場所なだけにあからさまな行動は慎むべきである事は、子供の俺にでも十分過ぎる程理解はしているがしかしっ、かと言ってこのまま名も、それに何処に住んでいるかも知らないまま彼女と離れたくはなかったんだっっ。
まあ心は身体よりも実に素直だった。
俺は不審に思われない様に彼女達と同じく宴の席へ、そして彼女の近くへ少しでもと近づく先には俺の母親とこの国の王妃がいた。
そして彼女はと言えばその王妃の許へ行き――――。
「お待たせして申し訳ありません王妃様」
彼女の腕を掴んでみたものの、正直に言って何をどうすればいいのか全く分からなかった。
何故ならこんな形のない、不確かであやふやな精神状態なんて生まれて初めてだった。
そして誰もこんな時にどうすればいいのか、正しい対処法を教えてはくれなかった。
俺の両親?
ああ、あれはそれこそ仮面をしっかり張り付けた赤の他人同士でしかないだろう。
公の行事若しくはお互いに何か益がある時だけ夫婦の、家族であった事を思い出す。
子供の俺に対してでも如実にその様な態度をとるのは特に母親だ。
あのババアの俺へ示す態度一つだけで言葉にしなくても十分過ぎる程俺には伝わってくる。
まああのババアと比べれば実の父親は幾分かましなのかもしれない。
自身の血を受け継いだ時期公爵家の後継と言う扱いからすれば――――な。
そんな両親へ一片の期待もしない俺を育てるのは、専ら屋敷に仕える者達だ。
別にそれに対して俺は一切不満に思った事もないし、またこれより先も思わないだろう。
まあ生きていくのに何も困る事もないんだ。
そう、確かにたった今までそう思っていたし思い込んでいたのだが――――っっ!?
今現実に俺は猛烈に困っているっっ!!
俺の心は一体どうしたと言うのだっっ。
胸……ああ心というものが俺にもあった事にも相当驚いたものだが、それよりもその心が何やらむず痒い様なそれでいてポカポカと温かくなる。
恐らくその原因は目の前の名も知らぬ少女――――だっっ!!
今まで俺が見知っている令嬢達の誰にでもない、凛とした美しさであるも清楚な一輪の百合の様でいて、それなのに大輪の薔薇を思わせる様な笑みを俺へ向けてくれる不思議な魅力を秘めた少女。
そんな彼女を見つめるだけで俺の心はっ、心の臓は忙しなく打ち始めると共に心の奥より甘酸っぱい気持ちが無限に生みだされていく。
こんな状態を人は何と言うのだろう。
彼女を見つめているだけで心が満たされていく多幸感。
時間にすればほんの一瞬の事だろうけれども、しかし間違いなく俺は……俺と彼女はこの時間を共有しているっっ。
なのにだっっ!!
行き成り割って入った小娘……いやいやリーヴ伯爵令嬢によりっ、俺から彼女を引き離さんとしているのだっっ。
だから彼女が去ろうとした刹那、それまで温かかった俺の心は一瞬で凍てつき、行き場を失うのを恐れた俺の身体と言うか心がとった行動は細くて柔らかな、それでいてしっとりと滑らか過ぎる白い手を掴んでしまったっっ。
「はい?」
彼女は掴まれた自身の手と俺の顔を見て不思議そうな表情をしていた。
うん断じて嫌がってはいないと思う。
その証拠に直ぐには俺の手を払い除けなかったのだからな。
正直に言って戸惑っていたのだろう。
初めて抱いた想いを共有する者同士として、この先どうすればいいのかがわからなかっただけなんだ。
そうここは年上の男として俺が上手くリードしてやらねば――――と思う前に俺は、初めて触れる彼女の手の柔らかさや吸いつく様なしっとりしている肌にほんの少しうっとりとしたのが敗因だった。
「何を勝手に触っているのですかっっ。姫姉様に触っていいのは私とエリーサだけなのです!!」
そうけたたましく叫びながらほぼ無理やり俺と彼女を引き離したのは言わずと知れたリーヴ伯爵令嬢。
「さあ行きましょう姫姉様。王妃様をお待たせしてはいけませんわ」
「え、ええ……」
半ば強引にあの小娘は彼女の手を引き宴の場へと、俺から引き離してしまった。
流石の俺も場所が場所なだけにあからさまな行動は慎むべきである事は、子供の俺にでも十分過ぎる程理解はしているがしかしっ、かと言ってこのまま名も、それに何処に住んでいるかも知らないまま彼女と離れたくはなかったんだっっ。
まあ心は身体よりも実に素直だった。
俺は不審に思われない様に彼女達と同じく宴の席へ、そして彼女の近くへ少しでもと近づく先には俺の母親とこの国の王妃がいた。
そして彼女はと言えばその王妃の許へ行き――――。
「お待たせして申し訳ありません王妃様」
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