転生先はシンデレラの義姉その一だった件 ~アラサー転生者はバッドエンドのフラグを片っ端からぶっ潰す!!

雪乃

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第二章  こうして物語はこうしてゆっくりとでも確実に動いていく?

4  物語の強制力なんかには負けない???  天音Side  Ⅱ

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 えーっと、これってどういう事なのかな???

 はっきり言って今、そう全く理解が追いつかない。
 何故って?
 そりゃあどう見てもこれは有り得ないでしょ――――ぉぉぉぉぉっっ!?



 昨夜今世での人生に対し新たに熱く決意を表明した翌朝。

 つまりたった今ね。
 そう、なのよ!!
 何度も言う心算つもりなんてないのだけれどっ、でもそれ程までに今私が混乱しているのだと理解して欲しいっっ。

 どうしてそんなに混乱しているかですって!?

 これが落ち着いていられますかってっっ。 
 何処の誰が信じられる?

 朝起きたら使なんてっ、ぜ―ったいに誰だって信じられないんだからぁ――――っっ!!

 
 抑々そもそも私達貴族社会に属している人間の朝は遅い。

 まあその代わり就寝が遅いのは否めないっちゃあ否めない。
 これは転生して初めに驚いたものの一つでもある。

 うーん大体何時も起きるのはお昼前かな。
 それからうだうだと身支度をしてから食事をする。
 それにお昼ご飯と言うモノが定着していないから、午後のお茶の時間は色々サンドウィッチ等の軽食も出されるの――――って今はそんな長閑のどかな会話をしている時じゃあない!!
 
 そうつまりですよ大体っ、呑気にゆっくりとお昼頃まで惰眠を貪っていた私が起きた頃にはっ、家中の使用人という使用人が一人もいなかったというワケっっ!!

 大体何時も目覚めたと同時に部屋へ入ってくる私専従の侍女であり、お母様の専従侍女でもあるマリアを母に持つアメリアが、今日に限っては何時まで経っても私の許へ来なかったのが始まり。

 何時もは私が呼ぶまでもなく、何でも卒なくこなすアメリアの不在に何やら違和感を感じてしまったのだけれどそれはそれ、最初から完璧な人間なんて何処の世界にもいやしないでしょ。

 それに私は生粋のお嬢様ではない……いやいや生まれも育ちも生粋のお嬢様なのは間違いない。

 しかしそんなお嬢様な私にはお母様達にはないと言うモノがある。


 まあ簡単に言えば自分の事は自分ですると言う考えと行動力くらいは持っている。

 正式なゴテゴテと飾り立てた重苦しいドレスを着るという事は無理だとしても、通常のデイドレスくらいならば私にも着る事は出来るのだ。
 ただコルセットは残念ながら一人では身に付ける事は出来ない。

 そこは淑女としてコルセットなしなのは如何いかがなものかと問われれば私は声を大にして言いたいっっ。
 
 締め付けるだけの下着なんて大っ嫌いっっ。
 カモーンっ、!!

 ただし声を大にして叫んだのはあくまでも私の部屋の中での事。

 この世界では淑女が大声で叫ぶ行為も由々しき事だし、訳のわからない言葉を連発すると周囲から可哀想な目で見られる事は勿論、社交界より完全にいやいや即戒律の厳しい修道院へ放り込まれるらしい。

 でも私達ルフェ王国の貴族はほぼほぼ魔族。
 だからして修道院とは言っても聖なる神へその身を捧げて捧げてしまった場合、魔族の私達は無へと帰すの―――かしら。

 混沌の母の身元へと還るのならばそれもアリなのかもしれない。

 だが私の知っているこの国の修道院と言うのは読んで字の如く道を修る場所である。

 魔族としての根性を強制的に叩き直されると言う、とんでもなく恐ろしい場所らしい。
 何しろドリゼラの記憶では先代の魔王陛下の幼い頃に、当時未来の魔王となるには余りにもお優しいご気性故に先々代の王后陛下自ら冥界の隅にあると言うラボリック修道院へ数年間放り込まれたそうだ。

 そして数年後無事にご帰還あそばされた先王陛下はそのお姿もだけれどもご気性から全て別人の様に、いやいやまさしく闇に生きる者の王たる威厳と底知れない恐ろしさを秘めておられたと、数千年経った今でも伝説となって私たち下位の貴族まで幅広く、うーんこの世界全ての者が知っていても可笑しくないと言っても過言ではない。

 初めて聞いたのはドリゼラがまだまだ幼かった頃の事。
 また大きな声では言えないけれども乳母よりその話を聞いたドリゼラはその夜余りの恐怖でおねしょをしたらしい――――ってっ、今更だけれどもこれは他人ごとではなく自分事なのだっっ。

 そう私はドリゼラなのだから記憶だけでなく、当然その時の恐怖も共用している訳で……は、はっきり言って修道院と言う単語を言うのも聞くのも恐怖でしかないの。

 だからして私が転生者だという事実はそういう意味合いも込めて何としても秘さねばならない。

 それはひとえに我が身と家族の安寧の為!!

 まあ言ってみればそれだけこの世界が如何いかにも閉鎖的だという証拠でもあったりする。


 兎に角私は気持ちを切り替えれば室内にある水盆で顔を洗い、簡単に身支度を済ませれば部屋を出るとまた直ぐに違和感を感じてしまう。

 うんそこは溢れる程とまでとは言わない。
 でもそれなりにこのカルリエ男爵家には使用人達が多いの。
 なのに不思議な事に階段を下りて二階へ行っても誰一人として会わないのは何故?

 食堂や遊戯室、サロンに音楽室や図書室と最初こそ遠慮はしていたものの、気がつけば片っ端から扉と言う扉を開け放ち私は使用人達を必死に探した。
 そうして到頭とうとう使用人達の殆どがいるだろう一階へと降りていく。

 何時もは誰かの話し声や動く音、静かな空間の中でも人の気配を嫌という程感じていたというのにっ、今は一切の気配が感じられないっっ。

 広いフロアも今は悲しいかな私一人だけ。

 何時もの様に階段の手摺を磨く者やモップを持って床を掃除する者もいない。
 あ、そうそう忘れていたわ。
 そうよあの人は絶対にいるっっ。
 何時もの様に庭へ行けば老いた優しい庭師が――――っっ!?

 私はドレスの裾を掴んで優雅に歩くなんてまどろっこしい事を今はしないっっ。
 出来るだけ小走りで何時もそこにいるだろう庭師の許へと掛けて行く。
 しかしその場所へ到着し辺りをきょろきょろと見回しても彼の姿が見当たらない。
 もしかしたら違う場所で作業をしているのかも――――と、私は広い庭を当てもなく探し回るけれどやっぱり誰一人として見つかる事はなかった。
 
 一体何が起こっているというのっっ⁉

 私は訳のわからない不安を抱きつつも胸のドキドキが止まらない。
 何処か――――まだ何処か見落としてはいない?

 あっ、ある!!
 あの場所ならきっといる!!
 私は踵を返して屋敷の方へと走って戻る。
 そうして向かった先は奥の階段!!
 そこは本来使用人達だけが使用するもの。
 広い地下の厨房へと続く道。
 
 今まで屋敷の地下なんて行った事がないと言うよりも、良家の子女が行くべき場所ではないと教えられていた。
 勿論前世の私に対してではない。
 あくまでもドリゼラとしてね。
 でも初めて赴く場所と言うのはなんだかとてもドキドキする。

 

 カチャ?
 何かが動く音?

 !!

 おおおおっ、なんだか分からないけれど、なんか盛大に何かが割れた音みたい。
 でも嬉しい。
 何故って、それは決まっているじゃないっっ。
 音がするという事は、つまり誰かがそこにいるって言う事なのよっっ。

 だから私はさっきまで抱いていた諸々の不安や緊張感を気前よく全て放り投げ出していた。
 それはもう盛大に全身をリラックスさせてしまったと言ってもいい。
 私は先程までの緊張感より解放され、今は心地良い安心と安堵感に包まれていた。

 だがそれは早計過ぎたのである。
 まさかこの次の瞬間後、超爆弾級のストレスが私の許へ堕ちてくるなんて事を露とも知らずにね。
 馬鹿みたいに平和ボケをした脳みそを自分自身で殴ってやりたい!!
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