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第二章 こうして物語はこうしてゆっくりとでも確実に動いていく?
6 悪魔の甘い囁き エラSide
しおりを挟むふん、これで二人目のモブはいなくなった。
私と言うかエラにしてみれば実の両親だと言うのに、特別悲しいという気持ちはない。
なのにあのおばさん、新しい義母となった女はどうして人目も憚らず、おまけに部屋へ篭って碌に食事もせずに悲しんでいるのだろう。
大体あの女――――トレメイン夫人は物語上では意地悪で冷酷なキャラなんでしょ。
それなのにお父様と結婚している間もそう、まるでキラキラと輝いている恋する乙女みたいに幸せそうな表情なんかしちゃってさ。
それに私へ媚びる為なのか必要以上に優しく接してくる――――ああそうか、これも織り込み済みってワケよね。
物語でも最初からあの儘母は意地悪なんてしてなかったっけ。
そうよね、お父様の目の前でお父様の溺愛する娘を虐めちゃぁいけないよね。
だからよ、うん、それだったら合点がいくってものだ。
はあああ……だとしてもよっ、ちょっとお芝居にしては悲しみ過ぎやしない?
物語じゃあお父様が亡くなって直ぐに本性を露わした筈。
うん、翌日ぐらいに使用人を全員首にしてさ、この私を使用人として扱き使い捲り、そうしてこの私を虐め抜く日々が始まるのよっっ。
それからんーどのくらいの期間かしらね。
そんな可哀想な私へある日転機が訪れる。
優しい魔法使いのお婆さんによって私は王子様のいる舞踏会へ行き、そこで王子様と運命の恋に堕ちるんだわっっ。
後はもう誰もが知っている通り私は恋する王子様との幸せな結婚と贅沢三昧な生活!!
でもそれもこれも今のままじゃあ物語が思うように進まない。
そうよっ、あの儘母が動いてくれなきゃ私は幸せになれないじゃないっっ。
でもそうかと言って虐められるのは前にも言った通り好きじゃあないのよね。
はっきり言って私があの継母へ望むのは望むのは適度に虐めると言うかフリよね、フリ!!
兎に角私を心底虐めていると言う体を取り繕ってくれればそれでいいのよ。
まあそれに関しては色々と方法がある……と言うかもう手配済みよ。
そうあの儘母とどんくさいアナスタシアに関しては何も問題はないわ。
だけどあの女っ、そうドリゼラだけはちょっと?
いやいやめっちゃメンドクサイっっ。
あの女だけは何時も私が思う斜め……いやいやかなり上的な行動をしてくるんだもん。
全く何が仲良くよ!!
何が悲しくて予定のない限りあの女と毎日の様に顔を合わせ、お茶や食事を一緒にしなければいけないんだっつーのっっ!!
おまけに何故かあの女は私の行動をしっかりと把握しているらしくて、こっちが誤魔化そうとしても誤魔化しきれないから結局はあの女の思うままに退屈な時間を過ごさなければいけない。
お蔭で私は愛想笑いをし過ぎて何度顔面が筋肉痛に陥った事だろう。
それもこれもあのドリゼラ・トレメインの所為なんだからねっっ。
でもそんな顔面筋肉痛な日々ももう終わり――――と言うか、私が強制的に終わらせてやったわっっ。
あははいい気味。
この展開こそが私の望んでいたモノ!!
物語とはちょーっとばかり違ったトレメイン親子だけれど、でもこれでやっと思う儘の展開へと動く筈。
さあーってと、じゃあ早速コレをあの儘母の所へ持っていこう。
その次はあのどんくさいアナスタシアだね。
二人さえ攻略すればあの女一人ではどうしようも出来ない筈。
私はそうしてとっても機嫌良く机の引き出しを開けて中にある小さな小瓶を手にした――――っっ!?
「お嬢様お話しが御座います」
小瓶を手にしたと同時に音もなく、ほんっと本来ならば絶対にあり得ない!!
うん今も実際あり得ないんだけれどちょっと仕方ないかな。
私の部屋へ入って来たのは私の専従侍女のメイじゃない。
何故なら彼女はもう既に下がらせたもの。
だからここにいるのは……かなり悲愴な表情をした執事のエドモンよ。
ふふん、きっと自分の仕出かした事をネチネチと思っているのかな?
そうよね、直接……手を下したのは私じゃあないもん。
私はちょっとだけ彼に甘く囁いただけ。
お父様がいらっしゃる限り私は誰ともわからない男性と結婚させられるわ。
そうしたらエドモン、あなたとはもうこうしてお話しをする事も出来ないわね。
ただそれだけ。
彼の耳元で囁き掛ける声に甘さをうんと絡ませ、それからとびっきりの可愛らしい笑みを浮かべただけ。
男なんて何処の世界でも皆同じ。
だから私は何もしていないし、私は全然悪くはない。
そして……そろそろこの男にも退場して貰わなきゃね。
何故って?
決まっているじゃない。
シンデレラのお屋敷には使用人は一人もいなくなるんだもん。
そうエドモン、あんたもいなくならなきゃあいけないのよ。
ふふ、永遠にね……。
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