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2章 魔法の国ルクレイシア
魔法特訓 4 :自信 (セイルクside)
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『хичзруеокюквыс колб』
俺の詠唱で現れた『風刃』は先週よりもコントロールできるようになった。
俺は学校の訓練場を借りて、クレアに言われたとおり練習している。
毎朝早く起きて始業までの1時間を費やして、魔法実技の授業のときもひたすら魔力コントロールと『風刃』や『風盾』、『風檻』の練習をしている。
かれこれ一週間続けていると、習慣づくもので、今日は目覚ましより先に起きた。
クレアみたいに魔力が見えるわけではないが、魔法の扱いは成長がよくわかる。
上手くなっている気がする。
これなら、魔物討伐も上手くいくのではないかと思っている自分がいる。
『чиУреиучп』
『суситрпокпмп мб кож ой с』
『風盾』や『風檻』も最初より上手くなったと思う。
最初ここでやったときは、風の強さが場所によって違ったり、上手く発散できなくて俺が逆に食らったりと大変だった。
今は、隙間なく均等な強さの風を集中すれば作れるようになったし、外側への発散の仕方もクレアに教えてもらってから格段によくなった。
『浮遊』も改善して、円で囲むように魔力を流すよりも四角く区切るように流したほうが俺には合ってると気づいてその方針でやっている。
おかげで「面」が意識できるようになって、最初の倍は高く飛ばせるようになった。
問題は、『飛行』だが。
「………よし、もう一回」
俺はまた詠唱を始めた。
キーンコーン……カーンコーン………
「やばいっ」
ふと予鈴が聞こえて時計を見ると、始業まで残り5分だった。
俺はすぐに片付けて着替えを済ませて、教室へ向かった。
教室に着いた俺は自席に急いで座った。
少し大きな音を出して席についた俺を見て、後ろの席のミュゼが身を乗り出して話しかけてくる。
「最近ギリギリすぎない?寮は早く出てるのに、何してるの?」
俺は少しだけ考え込んだ。
今、ミュゼに魔法の練習をしていると言ったらどうなるだろうか。
…………たくさん聞かれそうだ。
俺は肩をすくめてミュゼのほうを見ないで答えた。
「………いろいろ」
「なにそれ」
ミュゼが怪訝な顔をしてきたが、無視し続け、ようやく身体を戻したころ、担任が教室にやってきた。
「全員いるな。まず、魔法実技は今日は実技テストの再チャレンジに変更で、明日以降また擬似討伐を再開するそうだ。
わかってると思うが、来週の頭は魔物討伐だ。
まだ討伐のパートナー申込用紙を出してない生徒は、今週中に事務に渡すこと。
あとはなんかあったか………?」
いつもの雰囲気で担任が話を進めていく。
今日ほど魔法実技の授業を楽しみにした日はない。
いつもなら嫌気のさす授業だが、今日ばっかりは練習の成果を発揮したいと思っているからだ。
そういうわけで、魔法実技の再テストは俺にとってご褒美に等しかった。
今朝の『浮遊』もうまくいったし、初めて褒められるかもしれない。
俺は少しだけ口もとを綻ばせた。
学校が終わり、俺はいつもの図書館でクレアを待っていた。
いつもならクレアのほうが先に来て暇を持て余すように待っているのだが、今日は珍しく遅れていた。
こちらに向かって走ってくる足音が聞こえてきて、顔を上げると、クレアがやってきた。
「クレア!」
「ごめん、遅れて。ちょっと広場のほうに行って交流してたんだ」
「へぇ………」
息を切らしてそう話すクレアの声は少しだけ弾んでいた。
クレアの言う広場というのは、多分マクレン広場のことだろう。
あそこはクレアがもっと気分を害すると思っていたが、そうでもないのかもしれない。
詳しいことは聞かないほうがいいと思って、そのまま図書館に入った。
「それじゃあ、まずは『風刃』からお願い」
授業が始まってすぐ、練習のチェックをされる。
これももう日課になった。
『хичзруеокюквыс колб』!
言われた通りに『風刃』を詠唱して、いつものように十数個の空気の刃が現れる。
『風刃』をじっと見ながら、「いいよ」と言ってクレアが手を挙げたのを合図に俺は前へ『風刃』を放つ。
一週間前とは比べ物にならない速さと正確性で前に進んだ『風刃』は、そのまま壁にぶつかって散った。
「うん、完璧。このまま練習を続ければもっと上達するよ。
じゃあ次は『風盾』を…………」
『арызгклм』!
『浮遊』を唱え、クレアが置いた人形がふわりと浮いた。
練習のおかげで高いところまで浮かせられるようになった。
そうして、そのまま右に寄って1回転させて着地させた。
後ろで見ていたクレアのほうを振り向くと、クレアは満足そうに頷いていた。
「すごいよ、こんなにうまくなっちゃうなんて。
特に『浮遊』の上達ぶりには驚いちゃったな」
クレアの言葉に俺は思わず照れ笑いしてしまった。
そして、『浮遊』つながりで思い出したことをその勢いで話した。
「実は、今日魔法実技の再テストだったんだ。
前回はクレアとの授業が始まる前だったけど、今日はたくさん練習してきたからいけると思って『浮遊』をやって。
俺、実は成功したんだ!担当の教師にもクラスの奴にも褒められて、ちょっと嬉しかった………」
「…………そっか。それはよかった。
魔法の成功は、すごく嬉しいからね」
クレアは嬉しそうな声で返してくれた。
来週のはじめは魔物討伐。
今の自分ならできる気がすると、勇気が出た。
俺の詠唱で現れた『風刃』は先週よりもコントロールできるようになった。
俺は学校の訓練場を借りて、クレアに言われたとおり練習している。
毎朝早く起きて始業までの1時間を費やして、魔法実技の授業のときもひたすら魔力コントロールと『風刃』や『風盾』、『風檻』の練習をしている。
かれこれ一週間続けていると、習慣づくもので、今日は目覚ましより先に起きた。
クレアみたいに魔力が見えるわけではないが、魔法の扱いは成長がよくわかる。
上手くなっている気がする。
これなら、魔物討伐も上手くいくのではないかと思っている自分がいる。
『чиУреиучп』
『суситрпокпмп мб кож ой с』
『風盾』や『風檻』も最初より上手くなったと思う。
最初ここでやったときは、風の強さが場所によって違ったり、上手く発散できなくて俺が逆に食らったりと大変だった。
今は、隙間なく均等な強さの風を集中すれば作れるようになったし、外側への発散の仕方もクレアに教えてもらってから格段によくなった。
『浮遊』も改善して、円で囲むように魔力を流すよりも四角く区切るように流したほうが俺には合ってると気づいてその方針でやっている。
おかげで「面」が意識できるようになって、最初の倍は高く飛ばせるようになった。
問題は、『飛行』だが。
「………よし、もう一回」
俺はまた詠唱を始めた。
キーンコーン……カーンコーン………
「やばいっ」
ふと予鈴が聞こえて時計を見ると、始業まで残り5分だった。
俺はすぐに片付けて着替えを済ませて、教室へ向かった。
教室に着いた俺は自席に急いで座った。
少し大きな音を出して席についた俺を見て、後ろの席のミュゼが身を乗り出して話しかけてくる。
「最近ギリギリすぎない?寮は早く出てるのに、何してるの?」
俺は少しだけ考え込んだ。
今、ミュゼに魔法の練習をしていると言ったらどうなるだろうか。
…………たくさん聞かれそうだ。
俺は肩をすくめてミュゼのほうを見ないで答えた。
「………いろいろ」
「なにそれ」
ミュゼが怪訝な顔をしてきたが、無視し続け、ようやく身体を戻したころ、担任が教室にやってきた。
「全員いるな。まず、魔法実技は今日は実技テストの再チャレンジに変更で、明日以降また擬似討伐を再開するそうだ。
わかってると思うが、来週の頭は魔物討伐だ。
まだ討伐のパートナー申込用紙を出してない生徒は、今週中に事務に渡すこと。
あとはなんかあったか………?」
いつもの雰囲気で担任が話を進めていく。
今日ほど魔法実技の授業を楽しみにした日はない。
いつもなら嫌気のさす授業だが、今日ばっかりは練習の成果を発揮したいと思っているからだ。
そういうわけで、魔法実技の再テストは俺にとってご褒美に等しかった。
今朝の『浮遊』もうまくいったし、初めて褒められるかもしれない。
俺は少しだけ口もとを綻ばせた。
学校が終わり、俺はいつもの図書館でクレアを待っていた。
いつもならクレアのほうが先に来て暇を持て余すように待っているのだが、今日は珍しく遅れていた。
こちらに向かって走ってくる足音が聞こえてきて、顔を上げると、クレアがやってきた。
「クレア!」
「ごめん、遅れて。ちょっと広場のほうに行って交流してたんだ」
「へぇ………」
息を切らしてそう話すクレアの声は少しだけ弾んでいた。
クレアの言う広場というのは、多分マクレン広場のことだろう。
あそこはクレアがもっと気分を害すると思っていたが、そうでもないのかもしれない。
詳しいことは聞かないほうがいいと思って、そのまま図書館に入った。
「それじゃあ、まずは『風刃』からお願い」
授業が始まってすぐ、練習のチェックをされる。
これももう日課になった。
『хичзруеокюквыс колб』!
言われた通りに『風刃』を詠唱して、いつものように十数個の空気の刃が現れる。
『風刃』をじっと見ながら、「いいよ」と言ってクレアが手を挙げたのを合図に俺は前へ『風刃』を放つ。
一週間前とは比べ物にならない速さと正確性で前に進んだ『風刃』は、そのまま壁にぶつかって散った。
「うん、完璧。このまま練習を続ければもっと上達するよ。
じゃあ次は『風盾』を…………」
『арызгклм』!
『浮遊』を唱え、クレアが置いた人形がふわりと浮いた。
練習のおかげで高いところまで浮かせられるようになった。
そうして、そのまま右に寄って1回転させて着地させた。
後ろで見ていたクレアのほうを振り向くと、クレアは満足そうに頷いていた。
「すごいよ、こんなにうまくなっちゃうなんて。
特に『浮遊』の上達ぶりには驚いちゃったな」
クレアの言葉に俺は思わず照れ笑いしてしまった。
そして、『浮遊』つながりで思い出したことをその勢いで話した。
「実は、今日魔法実技の再テストだったんだ。
前回はクレアとの授業が始まる前だったけど、今日はたくさん練習してきたからいけると思って『浮遊』をやって。
俺、実は成功したんだ!担当の教師にもクラスの奴にも褒められて、ちょっと嬉しかった………」
「…………そっか。それはよかった。
魔法の成功は、すごく嬉しいからね」
クレアは嬉しそうな声で返してくれた。
来週のはじめは魔物討伐。
今の自分ならできる気がすると、勇気が出た。
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