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3章 依存国ツィーシャ
知らない人 (リュカオンside)
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「……ふぅ」
僕は買い占めた薬草瓶を紙袋に入れて、商店街を少し歩いていた。
【ツィーシャの構造】
国土が丸いこの国は、同心円上に貴族街、富裕層、中間世帯、商店街、辺境と居住地が区分けされている。面積は貴族街が最も小さく、辺境が最も大きい。
それぞれの居住地の区切りに関所が設置されているが、国境のある辺境は関所がない。そのため、商店街の関所より奥がツィーシャと思われがち。
関所に通行許可証さえ見せれば、貴族街以外は自由に行き来できる。
豪雪地帯のため、冬は中心部の王城から
商店街までを『結界』で包み、雪を凌いでいる。大魔協の発案したこの『結界』によって、寒さは感じるが雪に悩まされることはない。
辺境に関所がないのは財政難、『結界』が張れないのは魔法使いの限界だと言われているが定かではない。
別に凶悪人の左遷先とかでもなく、農民や隠居を決めた人、質素倹約な人など、長閑に過ごしたい人が好んで住んでいる。
転移すれば帰れるけど、今のこの国の状態を確認するためには歩くしか僕には方法がない。
人の流入はここが1番激しいし、貴族街から離れたところにあるからどれだけ伸びてきているかわかりやすい。
地属性と闇属性でできることって案外ないものだなと痛感する。
できても人の位置を確認するくらいだ。
………あれを使えば大魔協がいるかわかるだろうけど、僕は足を洗ったんだ。使わない。
よぎった考えを頭を振って消し去って、僕はまた歩き出した。
表通りを闊歩できるほどには伸びていないみたいだ。
確認した限りでも数人が裏でひっそりやっていて、招かれそうになっている奴もいた。
客の足を止めることはできたけど、人通りが多いせいで裏で何かを起こしても注目されそうだった。
おかげで潰せたのは二人くらい。
ちょっとだけため息をついたあたりで、商店街の終わりまで歩いてしまったみたいだ。
本当はここからもう少し先まで見ていきたいけど、そろそろお昼どきだし『ちびっ子』………『シャルア』が待っているかもしれない。
パンケーキ以外で作れるものといったら………フレンチトーストとか?
僕は悩みながら商店街を転移で後にした。
賑やかだった商店街に打って変わって、雪原だけが広がる場所へ戻り、また少し歩く。
僕の家は本当に国境ぎりぎりのところにある。すぐに逃げるためでもあるし、少し日和ったのもある。
家も見えるしあとちょっとなんだけど、雪だと歩きづらくて、このちょっとに時間がかかる。
もっと正確に転移できたら手間が省けるのになあと思いながらまた歩いていく。
ざく ざく ざく
ざく ざく ざく
「………?」
踏みしめる雪の音が重なって聞こえた気がして僕は振り返ってみたが、誰もいないし、足跡もなかった。
気のせい、か。
神経質になりすぎているのだろうか。
僕はその後は気にしないで歩いて丘を登り、自分の家にたどり着いた。
キィ……
古びた木製の扉が音を立てて開き、あてがわれた部屋に行こうとしていた『シャルア』とばったり会った。
外見変化の付与をしたのか、栗毛色の髪にワインレッドの瞳というどこにでもいそうな外見で、一瞬誰かわからなかった。
「あ、おかえり」
「……ただいま」
見た目もそうだけど、誰かに「おかえり」と言われるのはまだ慣れない。
僕が少しよそよそしく答えると、『シャルア』は僕の背後の方を指差した。
「そちらはお客さん?」
「え、何言って…………うわっ」
僕は後ろを向いて驚いた。
黒みのある灰色の髪に濃紺色の瞳をした女性が、後ろにぴったりと僕の跡をついて立っていた。
驚く僕と『シャルア』に、彼女は満面の笑みを浮かべた。
「寒いですね!お邪魔します!」
僕は買い占めた薬草瓶を紙袋に入れて、商店街を少し歩いていた。
【ツィーシャの構造】
国土が丸いこの国は、同心円上に貴族街、富裕層、中間世帯、商店街、辺境と居住地が区分けされている。面積は貴族街が最も小さく、辺境が最も大きい。
それぞれの居住地の区切りに関所が設置されているが、国境のある辺境は関所がない。そのため、商店街の関所より奥がツィーシャと思われがち。
関所に通行許可証さえ見せれば、貴族街以外は自由に行き来できる。
豪雪地帯のため、冬は中心部の王城から
商店街までを『結界』で包み、雪を凌いでいる。大魔協の発案したこの『結界』によって、寒さは感じるが雪に悩まされることはない。
辺境に関所がないのは財政難、『結界』が張れないのは魔法使いの限界だと言われているが定かではない。
別に凶悪人の左遷先とかでもなく、農民や隠居を決めた人、質素倹約な人など、長閑に過ごしたい人が好んで住んでいる。
転移すれば帰れるけど、今のこの国の状態を確認するためには歩くしか僕には方法がない。
人の流入はここが1番激しいし、貴族街から離れたところにあるからどれだけ伸びてきているかわかりやすい。
地属性と闇属性でできることって案外ないものだなと痛感する。
できても人の位置を確認するくらいだ。
………あれを使えば大魔協がいるかわかるだろうけど、僕は足を洗ったんだ。使わない。
よぎった考えを頭を振って消し去って、僕はまた歩き出した。
表通りを闊歩できるほどには伸びていないみたいだ。
確認した限りでも数人が裏でひっそりやっていて、招かれそうになっている奴もいた。
客の足を止めることはできたけど、人通りが多いせいで裏で何かを起こしても注目されそうだった。
おかげで潰せたのは二人くらい。
ちょっとだけため息をついたあたりで、商店街の終わりまで歩いてしまったみたいだ。
本当はここからもう少し先まで見ていきたいけど、そろそろお昼どきだし『ちびっ子』………『シャルア』が待っているかもしれない。
パンケーキ以外で作れるものといったら………フレンチトーストとか?
僕は悩みながら商店街を転移で後にした。
賑やかだった商店街に打って変わって、雪原だけが広がる場所へ戻り、また少し歩く。
僕の家は本当に国境ぎりぎりのところにある。すぐに逃げるためでもあるし、少し日和ったのもある。
家も見えるしあとちょっとなんだけど、雪だと歩きづらくて、このちょっとに時間がかかる。
もっと正確に転移できたら手間が省けるのになあと思いながらまた歩いていく。
ざく ざく ざく
ざく ざく ざく
「………?」
踏みしめる雪の音が重なって聞こえた気がして僕は振り返ってみたが、誰もいないし、足跡もなかった。
気のせい、か。
神経質になりすぎているのだろうか。
僕はその後は気にしないで歩いて丘を登り、自分の家にたどり着いた。
キィ……
古びた木製の扉が音を立てて開き、あてがわれた部屋に行こうとしていた『シャルア』とばったり会った。
外見変化の付与をしたのか、栗毛色の髪にワインレッドの瞳というどこにでもいそうな外見で、一瞬誰かわからなかった。
「あ、おかえり」
「……ただいま」
見た目もそうだけど、誰かに「おかえり」と言われるのはまだ慣れない。
僕が少しよそよそしく答えると、『シャルア』は僕の背後の方を指差した。
「そちらはお客さん?」
「え、何言って…………うわっ」
僕は後ろを向いて驚いた。
黒みのある灰色の髪に濃紺色の瞳をした女性が、後ろにぴったりと僕の跡をついて立っていた。
驚く僕と『シャルア』に、彼女は満面の笑みを浮かべた。
「寒いですね!お邪魔します!」
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