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3章 依存国ツィーシャ
必要 (アルンside/リュカオンside)
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アルンside
さむい。
さむいよ。
どうしてぼくはさむいの?
あれ………?
パパ………?
『し⬛︎か⬛︎御奉仕⬛︎て⬛︎るん⬛︎ぞ』
『ごほうしって………?』
パパ………?
おいていかないで。
あたまなでて。
パパ。
パパ。
パパ…………………!
『こ⬛︎して⬛︎に⬛︎⬛︎るなんて……あ⬛︎⬛︎を⬛︎こ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎た⬛︎⬛︎がありました』
………?
パパのことばがわからない。
『正⬛︎に⬛︎⬛︎と────⬛︎⬛︎だっ⬛︎⬛︎で』
『パパ……?』
『お、⬛︎ー⬛︎⬛︎⬛︎。⬛︎た迎えに⬛︎⬛︎か⬛︎な』
パパ、なんていったの?
どうしてなでてくれないの?
ぼくのこと、むかえにくるよね?
リュカオンside
ざくざくざく
「う………っぐすっ、パパぁ………」
「……僕は君のパパではないんだけど」
僕は家から出て少ししたところで倒れていた男の子をおんぶして、街に向かっていた。
最初に見つけたときは肝が冷えた。
唇が青くて、血色も悪くて、涙の跡がたくさんついていた。
持っていた火の魔法石で温めて僕の服に体を入れてやったら、元気に泣き出した。
死んではいなかったみたいで本当に安心した。
こんなところにまで一人で来た理由はよくわからない。
もしかしたら、逃げる方向を間違えて親と逸れたのかもしれないし、それなら親も探してるだろうから僕は街までこの子を送り届けることにした。
転移は二人でやったことがなかったから不安でできないし、あの魔導具は脱出用につくったものだから歩きになる。
それにしても、こんなに小さいのによくこの距離を来たなと感心する。
見たところ5歳くらいだし、雪の深いこんな僻地を4キロ近く自分の足で来るのは相当体力を使うだろう。
僕は慣れてるけど、普段結界内に住んでいるならなおさらかもしれない。
こんな遠くに人影なんてないはずなのに、どうしてこんなところまで来てしまったのだろうか。
「パパぁ………おねぇ、ちゃん………」
「……僕は一人二役できないんだけど」
子どもの寝言に、何故かいちいちつっこみながら僕はまた歩を進めた。
ざくざくざく
街が近づいてきた。
もうあと1キロもないだろう。
しかし、酷い惨状だった。
雪とコントラストをはかるように立ち上る無数の炎と叫び声が、ここからでも聞こえる。
あの日も急だった。
ただ、あれは燻っていたものが爆発した感じだった。
今目にしているものは、確かに片鱗があった。でも、まだ爆発するほどでも国内の不満が溜まり続けていたわけでもなかったはずだ。
ここで生活をする人たちは。
僕がいつも助けてきた人たちは。
話しかけてくれた人たちは。
この子どもの親は。
………『ちびっ子』は。
生きているだろうか。
「………んぅ……?」
街から上がる炎をぼんやりと眺めていると、おんぶしていた子どもが体をもぞもぞしだした。
起きたのかもしれない。
僕はその場に止まって、おんぶのまま視界の端で子どもと目が合った。
「……起きたみたいだね。倒れていたからここまで連れてきたんだけど、君の親は───」
「あっ、くろ!!!」
「…………え?」
子どもは寝ぼけ眼だったのに、僕を少し見てから急に耳元で叫び出した。
あまりの大きさに耳を塞ぎたかったけど、おんぶでどうにもならなくて、少しキーンとしつつも子どもに聞き返した。
子どもは目を輝かせた。
「くろいおともだちさん!おねえちゃんの!すごいすごい!」
「おねえちゃん……って誰?」
僕がまた何もわからないで問い返すと、子どもは僕の肩を叩き始めた。
地味に痛い。
僕が叩くのをやめさせようと口を開いたところで被せるように子どもがまた大声を出した。
「銀のおねえちゃん!ぼく、つれてきてっていわれて、だから、いかなきゃ!」
「ぎ、ん………?」
それってもしかして、『ちびっ子』?
僕は目の前の炎を見る。
『ちびっ子』が、子どもに僕を呼んでこいと言ったのか。
来れない事情があったのか。
それなら、『ちびっ子』はどこで何をしているのだろうか。
これだけの炎になって、『ちびっ子』が消火しないはずがない。
それじゃあ、どこかに捕らわれていて、身動きができないのかもしれない。
でも、子どもが抜け出せる手立てがあったのかもしれない。だからこの子どもに頼んだのかもしれない。
「………それ、案内して。はやく」
「う、うん!ずっと、まっすぐ!」
僕はだんだんと早足になっていた。
子どもが少し怯えたように見えた。
それだけ焦った表情をしているのかもな。
僕を連れてくるように頼んだ理由は?
一人じゃ無理だから?
助けて欲しいから?
何が望みなんだろうか。
行けばわかるか。
僕は子どもの指示に従って進み出した。
さむい。
さむいよ。
どうしてぼくはさむいの?
あれ………?
パパ………?
『し⬛︎か⬛︎御奉仕⬛︎て⬛︎るん⬛︎ぞ』
『ごほうしって………?』
パパ………?
おいていかないで。
あたまなでて。
パパ。
パパ。
パパ…………………!
『こ⬛︎して⬛︎に⬛︎⬛︎るなんて……あ⬛︎⬛︎を⬛︎こ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎た⬛︎⬛︎がありました』
………?
パパのことばがわからない。
『正⬛︎に⬛︎⬛︎と────⬛︎⬛︎だっ⬛︎⬛︎で』
『パパ……?』
『お、⬛︎ー⬛︎⬛︎⬛︎。⬛︎た迎えに⬛︎⬛︎か⬛︎な』
パパ、なんていったの?
どうしてなでてくれないの?
ぼくのこと、むかえにくるよね?
リュカオンside
ざくざくざく
「う………っぐすっ、パパぁ………」
「……僕は君のパパではないんだけど」
僕は家から出て少ししたところで倒れていた男の子をおんぶして、街に向かっていた。
最初に見つけたときは肝が冷えた。
唇が青くて、血色も悪くて、涙の跡がたくさんついていた。
持っていた火の魔法石で温めて僕の服に体を入れてやったら、元気に泣き出した。
死んではいなかったみたいで本当に安心した。
こんなところにまで一人で来た理由はよくわからない。
もしかしたら、逃げる方向を間違えて親と逸れたのかもしれないし、それなら親も探してるだろうから僕は街までこの子を送り届けることにした。
転移は二人でやったことがなかったから不安でできないし、あの魔導具は脱出用につくったものだから歩きになる。
それにしても、こんなに小さいのによくこの距離を来たなと感心する。
見たところ5歳くらいだし、雪の深いこんな僻地を4キロ近く自分の足で来るのは相当体力を使うだろう。
僕は慣れてるけど、普段結界内に住んでいるならなおさらかもしれない。
こんな遠くに人影なんてないはずなのに、どうしてこんなところまで来てしまったのだろうか。
「パパぁ………おねぇ、ちゃん………」
「……僕は一人二役できないんだけど」
子どもの寝言に、何故かいちいちつっこみながら僕はまた歩を進めた。
ざくざくざく
街が近づいてきた。
もうあと1キロもないだろう。
しかし、酷い惨状だった。
雪とコントラストをはかるように立ち上る無数の炎と叫び声が、ここからでも聞こえる。
あの日も急だった。
ただ、あれは燻っていたものが爆発した感じだった。
今目にしているものは、確かに片鱗があった。でも、まだ爆発するほどでも国内の不満が溜まり続けていたわけでもなかったはずだ。
ここで生活をする人たちは。
僕がいつも助けてきた人たちは。
話しかけてくれた人たちは。
この子どもの親は。
………『ちびっ子』は。
生きているだろうか。
「………んぅ……?」
街から上がる炎をぼんやりと眺めていると、おんぶしていた子どもが体をもぞもぞしだした。
起きたのかもしれない。
僕はその場に止まって、おんぶのまま視界の端で子どもと目が合った。
「……起きたみたいだね。倒れていたからここまで連れてきたんだけど、君の親は───」
「あっ、くろ!!!」
「…………え?」
子どもは寝ぼけ眼だったのに、僕を少し見てから急に耳元で叫び出した。
あまりの大きさに耳を塞ぎたかったけど、おんぶでどうにもならなくて、少しキーンとしつつも子どもに聞き返した。
子どもは目を輝かせた。
「くろいおともだちさん!おねえちゃんの!すごいすごい!」
「おねえちゃん……って誰?」
僕がまた何もわからないで問い返すと、子どもは僕の肩を叩き始めた。
地味に痛い。
僕が叩くのをやめさせようと口を開いたところで被せるように子どもがまた大声を出した。
「銀のおねえちゃん!ぼく、つれてきてっていわれて、だから、いかなきゃ!」
「ぎ、ん………?」
それってもしかして、『ちびっ子』?
僕は目の前の炎を見る。
『ちびっ子』が、子どもに僕を呼んでこいと言ったのか。
来れない事情があったのか。
それなら、『ちびっ子』はどこで何をしているのだろうか。
これだけの炎になって、『ちびっ子』が消火しないはずがない。
それじゃあ、どこかに捕らわれていて、身動きができないのかもしれない。
でも、子どもが抜け出せる手立てがあったのかもしれない。だからこの子どもに頼んだのかもしれない。
「………それ、案内して。はやく」
「う、うん!ずっと、まっすぐ!」
僕はだんだんと早足になっていた。
子どもが少し怯えたように見えた。
それだけ焦った表情をしているのかもな。
僕を連れてくるように頼んだ理由は?
一人じゃ無理だから?
助けて欲しいから?
何が望みなんだろうか。
行けばわかるか。
僕は子どもの指示に従って進み出した。
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