追放された魔法使いの巻き込まれ旅

ゆり

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3章 依存国ツィーシャ

さがしにいかないと (リュカオンside/アルンside)

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リュカオンside

「………ふう」

僕はようやく魔導具の改良が終わって、大きく伸びをした。
あの事実がわかってから、追われるようにこの改良を進めていた。
本当はひとりで逃げる予定でつくっていた魔導具を改良して、大人三人分くらいまで転移できるようにした。
荷物とかを考えればちょうどいい重量制限だと思う。

ようやく安心できる。

時計を見れば、もう夕飯が近づいていた。
最近はこういうのが多くて、『ちびっ子』には申し訳ないと思っている。
明日にでもここを発てば、『ちびっ子』に危険は及ばないだろう。

僕はまた大きく伸びをしてから部屋を出た。

「…………?」

そして、異様な静けさに違和感を覚えた。
あの日帰ってきたときよりも不安になる。
『ちびっ子』の部屋にはいなくて、ダイニングまで行くと、メモ書きが置いてあった。

『街に行ってきます。すぐ帰るね』

僕は動揺した。

今、街に行くのは危ない。
それを知って行ったのだろうか。
いや、そもそも僕はそのことを言ったっけ。
このメモはいつ書いたんだろう。
いつから出かけたんだろう。
すぐってどれくらいだ。

手が震える。
寒さのせいじゃないことは分かりきっている。
視線を窓のほうにやると、少しだけ降る雪の中で、遠くに赤い光が見えた。

「あれは………火?」

ぞっとした。

ここからでも見えるくらいの火。
相当の広がりが予想される。
ただの大火事ならいいけど、そうじゃない予感がした。

もし、あれに『ちびっ子』が巻き込まれていたら。

「──────っ!」

バンッ!

ざくざくざくざく……



僕はそのときには外に出ていた。







アルンside


ざくざくざくざくざく


「っはぁ、はぁ、はぁ、は」


ぼくはゆきがたくさんふる中で、がんばって走っていた。
おねえちゃんにたのまれたから。


『おねがい……?』
『そう。ここから出るために私の友達の協力が必要なの。アルンくんにはその友達を連れてきてほしい』
『でも、ぼくその人のかおしらない……』

やっとやくに立てるっておもってうれしかったから、ちょっとしょんぼりしたら、おねえちゃんは『大丈夫』ってげんきよく言ってくれた。
おねえちゃんはまほうを見せてくれた。
黒いろと、茶いろのまほう。

『黒と茶色が視える?』
『うん……』
『私の友達はこの二つの色を持ってる。アルンくんはこの色───特に黒色を目印にして探してほしい』
『でも、見つからないかも………』

ぼくが不安げに言ったら、おねえちゃんはぼくのあたまに手をおいてきた。
そしたら、きゅうに目のまえがせきしょにかわった。

『まずは商業区域の関所を出て、そこから真っ直ぐ走り続けるの。そしたら小高い丘の上に一軒家があるからそこを叩いて』

おねえちゃんのことばといっしょに、目のまえがうごいて、おうちが見えた。
このおうちに行けば、おねえちゃんのおともだちがいるみたい。

『これは魔法が色で視えるアルンくんにしか頼めないことなんだよ』
『ぼくだけ……?』

ぼくがききかえしたら、おねえちゃんは小さなまどうぐをくれた。
キラキラしてとってもきれいなまどうぐ。

『これは、怪我をしないためのお守り。怖くなったら握って。助けてくれるから』
『………うん。ぼく行ってくる!』
『ありがとう。それじゃあここから………』



ぼくは、おねえちゃんのおともだちをつれてくるんだ。


外はおひさまも見えなくて、とってもくらい。
たまに、ゆきですべりそうになる。
みんながきゃーって言って、ぼくとおなじで走ってる。
たまに、おうちから火がでてるところもある。
すごくこわい。
でもおねえちゃんがくれたおまもりをもつと、あんしんする。

おねえちゃんのやくに立ちたい。

ぼくが不安だったときにやさしくしてくれたから。
やくに立ちたい。
黒いおともだちさんをつれてこないと。

「はぁっはぁっ、は………はぁっはあっ」

外にむかって、ぼくはずっと、ずっと走った。
ずっと、なみだがでて、おなかとのどがいたいけど。
はやくしないと、おねえちゃんがいたくなっちゃうとおもったから。
ぼくはずっと、ずっと、ずっと走った。
たくさん走ったら、いつも見てるせきしょが見えてきた。


あそこをでて、まっすぐ行ったら、たかいところにおうちがある。


おねえちゃんのことばをしんじて、ぼくは走った。

「うわぁっ………!」

せきしょをでたら、ゆきがふかくなった。
びっくりして止まっちゃった。
はじめてこんなにふかいゆきを見たから。

でも、はやく行かなきゃっておもったらすぐにうごけた。


ざくざくざくざくざくざく

「はぁっ、はぁ、はぁはぁ………っはぁ」

ざくざくざくざく

「はぁっはぁ、……?、はぁっ」

ざくざく

「はあっ、はあっ」

ざく

「はあっ…………ごほっ、はぁっ」

ざ、

「うわぁっ!!」

どさっ

ぼくは、はでにころんだ。
ふかふかのゆきは、すごくつめたくて、いたい。
とまったから、おなかとのどのいたいのがおっきくなる。

はぁはぁっていきをして、まわりを見た。

なにもない。
せかいにぼくだけみたいに、だれも、なにも、ない。
でも、うしろには小さくせきしょが見える。

すすんでるのに。
たくさん走ってるのに。
どこにもなにもない。

おねえちゃん、うそだったの?
パパみたいに、うそついたの?


「うっ………げほっ、うっ、うあぁぁぁぁあん!ひっ、ごほっごほっ……っぐ……ぅぅ」


さむい。
つめたい。
こわい。
もう走れない。
でも走らないと。
でもうそかも。
どうやってかえるの?
おねえちゃんのおともだち、どこなの?

「うぇ………っ、くっ、くろいっ、くろいおともだちさん、うぅ……っ、いま、せっ、んか……!ごほっ、ごほっ………
おねえちゃん、の……くろいっ、げほっ、おと、もだち……さん」

ぼくのこえがきこえてたら、へんじをして。


でも、だれもこない。
やっぱりうそなの………?


「ひっ………ぅ、ごほっごほっ、くろいっ、ぐすっ、おとも、だちさん!げほ、ごほごほっ!…………はっ、ひゅ、……くろい、ひと!いなっ、い……ですか………っ!ふっ……うぅ」

さむい。
さむい。
のどからてつみたいなあじがして、きもちわるい。
つめたい。
こわい。
どうしよう。
見つからない。

「うっ、うぅ、えぇぇぇぇん!!げほ、げほっげほ………ふっ、う、ひっ………く……くろのっ……ひっ……おともだち、さん………うっ、いま、せんか!ひゅ………っ、ごほっごほっごほ……
くろの……………っ、おと、……………もだ、ち……さん…………」


どさっ


もう、こえ、でないよ……

つめたい。
さむい。
こわい。
いたい。
ぼく……ゆき、はじめてなのに。
しんじゃう、のかな…………。

ねむく、なってきた……



ねちゃ、だめ、なのに…………







だ、れか…………













「おい………おいっ!大丈夫か!?」
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