最強術師、転生して学園へ。

白百合・ラピスラズリ・蘭

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01:白樺の木と白㛲の少女

8話:入学式

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 拝啓、兄へ。
 あなたは今どのようにお過ごしですか?
 魔力の反応が消えて早数ヶ月。あなたを探しても探しても見つかりません。✡▽のあなたとまた相対する日が来ることを願っています。
 どうか、また僕に魔法の稽古をつけてください。母達が死ぬ前のように。

 リュノス・アイルレントより




 今日は入学式だ。
 合格発表で番号を見たあと、受付から受け取った制服に袖を通し、学校に向かう準備をする。
 前世で学園を卒業しているファノでも、やはり入学は緊張するのか、腕を組んで部屋の中をグルグル歩いている。

 コンコンコンのノックと共に、ララが部屋に入る。

「ファノ、そろそろ行きましょう……って、少しは落ち着いてください。昨日の夜からソワソワしてるじゃないですか。」

「いや、だって、緊張するだろ。入学なんて、知らない数多くの人と顔を合わすんだぞ。これ以上緊張することはないよ」

「そうですか。でもそんなソワソワしててもしょうがないですし、早めに行きましょう。」

 部屋を出て玄関に向かうと、そこには公爵が立っていた。

「弍人とも、改めて入学おめでとう。学園は呪法以外でも本当に色々学べる場所だ。人間関係は特にな。最高の親友と呼べる人間は大体学園で作られる。これから長い人生の基盤だ。精一杯学び、精一杯楽しんでこい。」

 ファノとララは弍人声を揃えて、「はいっ!」と答えた。

 この道を歩くのも入学試験、合格発表と続いて三回目。今日でしばらくこの時間帯のこの道とはおさらばとなる。

 弍人は雑談を交わしながらも街の様子を見ていた。

「今日から始まるなぁ、リュグさんも言ってたけど、どんな人がいるか楽しみだな。」

「そうですね。私は少し不安もありますけど、楽しみな気持ちもありますね。」

「あぁ、そうだなぁ。なんかあれば俺がなんとかするよ。」

「ありがとうございます。」


 校門をくぐり体育館に向かう。
 まだ朝早いのか、生徒はほとんど居ない。
 体育館に入ると、入学試験の時とは違って、椅子が並べてある。席順は決まってないので、中央付近に隣合って座る。

 まだ入学式が始まるには早いからか、人はまばらで、席もガラガラだった。
 話す内容にも尽き、ファノとララの間に到頭とうとう沈黙が訪れた。

 そんな時、壱人の制服を少し改造して、黒のゴスロリチックなものが追加されたものを着て、ひだりめに黒の眼帯を付けた少女――キャルライナが話しかけてきた。

「隣。座っていいかしら?」

「ん?あぁ、大丈夫だよ。」

 会話はこれで終了かとファノは思ったが、椅子に座ったキャルライナは続けてファノに話しかけた。

「ファルノモキア君でいいのかしら?入学試験の時の呪法凄かったわね。あんな呪法、上級や最上級を見たことある私が分からなかったわ。一体どんなからくりがあるのかしら?」

 と、キャルライナは座った後も話しかけてきた。

「それについてはノーコメントで。まだ誰にも話してないし、今のところ話す予定もないからね。」

「あら、残念ね。」
 と、キャルライナは少し肩を上に上げながら言った。
 それよりも、とファノが話題を変える。

「君の使ってたあの呪法も結構面白かったよ?」

  ファノは視線をキャルライナに向けた。

「あら。それはありがたいわ。首席さんに言われるなんて。まぁ、私のは特別なにかある訳じゃないわよ。単純な複合呪法。あなたなら直ぐに使えるわ。」

「そうだね。」

 と言いながら、ファノは片手に小さな黒い触手を出した。それは、入学受験の時のキャルライナの呪法と出量こそ違うものの、それ以外は全く瓜弐つの呪法だった。

 キャルライナは息を呑み唖然としていた。

「壱回見ただけで使われるなんて、少し悲しいわね。結構頑張ったんだけど」

「それは申し訳ないかな。」

 少し笑いながらファノは言う。
 それと同時にチャイムが鳴った。

 辺りを見渡すと席はほぼ埋まっていて、入口の扉が閉まるところだった。

 キャルライナはまだ何か言いたげだったが、入学式が始まる雰囲気を感じ、口を閉ざした。

 そこからしばらくすると、ステージに壱人の中年男性が上がってきた。

「ただいまより、第百廿五ひゃくにじゅうご回入学式を開会します。」

 男性はそう言うと、礼をしてステージを降りていく。

 入学式はどこの世界もつまらないなと思いながらファノは咒法について考えていた。入学試験で使った、Fogo Feuer  bala aufzählung赫火の魔弾は、火の弾と言う意味の魔法と呪法を合わせただけのもの。魔法や呪法……法術を作る時は、魔法言語や呪法言語などの法術言語の単語に沿ってその法術は効果を及ぼすが、今回のは違った。魔法言語や呪法言語に含まれないあかが入っていた。
 理由が分からず、今日までずっと考えてたが見当がつかない。他の咒法を作ってみるしかないのか……

 ファノが考えてると、突如、ステージの方で呪力が吹き上げた。
 急いで思考を隅に置き、前方を見ると、背丈はファノやララと同じくらいで、腰まであろうの金はつかみがファサファサと揺れていた。

「うむ。ようやくみながこっちに注目を向けたな。」

 ファノはそう言った少女の声のような人物を壱目見て、魔法を使わずに果たして勝てるか?と少しワクワクしながら思った。

「ワシの名前はヴァーンザツィート・リュリア・マオディッサオン・フォン・ジュヴェルドカイザー。現皇帝の伯父で、ペリドットの英雄と呼ばれておる。そして、今現在は、この国立呪法学園の理事をしておる。よろしくな。」

 男だと言うことに疑問を持ったが、それよりも彼の身分の高さや英雄という言葉に興味が湧いた。

 そこからも彼は話し続けたが、話はファノの頭には入らずにずっと彼を見続けていた。

「そろそろワシの話は終わるかの。最後に、今期は今までの年より実力者が多い。じゃから、互いに切磋琢磨し、入試の順位に関わらず決闘を申し込め。お主らの今後に期待しとくぞ。」

 学園長の話が終わり、ようやく入学式が終わる。
 最初に上がってきた男性が、もう一度現れ、「これにて、入学式を終える」といい、入学式が終わった。
 すると、何人かの教師が前に現れ、クラスごとのプレートをくうに掲げた。

「次に、クラスごとに教室移動に移ります。自分と同じクラスのプレートの所に移動してください。」

 新入生が壱斉に立ち上がり、自分のクラスの場所に移動していく。

「俺達も行くか。」

「そうですね。」

 ファノとララも立ち上がると、キャルライナも立ち上がり、

「私も同じクラスだから、一緒に行きましょう?」

 と行ってきた。
 ファノがララの方を向くと、ララはこくんと頷いた。

「ララもいいみたいだからいくか。」

「ふふっ。それはありがたいわ。ラヴェルミナ嬢もよろしくお願いするわ。」

「えぇ。こちらこそ。よろしくお願いします。」

 Sクラスのプレートの前に行くと、十人が集まっていた。

「集まりが悪いなぁ。さすが問題児が多いと名高いSクラス」

 プレートを上げてる男……こと、入学試験の時にファノの咒法を受けた男がそこに立っていた。

「残り俺らだけじゃん!急ぐぞ!ミィ!」

「待ってよ!サイ!」

 弐人の少年と少女が走って来た。

「ようやく揃ったか。なら教室に行くぞ!」

 その弐人が着いたと同時に男が移動を始めた。

 教室は、5つある棟のうち、最も大きい棟の三階、最奥の部屋に案内された。

「ここが壱年Sクラスの教室になる。教室が多いしがさっさと覚えて遅刻せずに来い。それと、今日は自己紹介をみんなにしてもらって終わりにしようと思う。」

「まず俺だな。このクラスの担任になったグライだ。専門は結界呪法だ。主に戦闘術などの実技と広範囲戦闘の座学の授業を担当している。これから壱年よろしくな。んじゃ、壱位から順によろしく。」

 と、適当な感じで、ファノに自己紹介の番が回された。
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