転生令嬢はキューピッドになりたい!?

市瀬 夜都

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09 暗闇と深緑と

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何も、無い。

静かと言うには些か静謐が過ぎるほど無音で、夜闇と言うにはあまりにも暗く少しの明るみもない。

暗闇はやがて私の存在さえも忘れてしまって、近くのものさえも見せず消し去ってしまいそうなほどその場を支配していた。

───まるで、最初はじめから私の存在なんて無かったかのように。


『ねえ、宿命は変えられないけれど運命は変えられるってこと、キミは知っているかい?』

真っ暗な闇の中、男とも女ともとれる声がそう言った。
運命と宿命、よく考えたことは無かったけれど何が違うというのだろう。

運命なんて、宿命なんて言われてもよく、わからない。


『だけどキミはきっと変えてくれるさ、宿命さえも塗り替えた君なら…ね。』























「────っ!!いった!!」

頭の痛みで目を覚ますとそこは見覚えのない場所でした────☆
どうも皆様ごきげんよう、おなじみのラブラ・ドル・ライトです。
ダンスパーティーの最中、テラスで気絶という名の寝落ちをしてしまってからというもの、記憶が微塵も残っていない私は気付いたら知らない場所で椅子に座らされて両手足が椅子に縛られている状態で目を覚ましちゃったぞ!これはなんだか波乱の予感!一体どうなっちゃうの~~!?

(ってふざけたけど大ピンチだよ何これ!!?)

手は後ろに回して縛られているから簡単には拘束を解けないし、足は緩いけれど足だけではどうにも出来ない。

─────椅子ごと歩く訳にも行かないし…。

もっとも、器用にもそれが出来たところでドレスなので裾を踏んで派手に転んでしまうのがオチだろう。
部屋の中はヤケに薄暗くて自分の周りしか物がはっきりと見えないけれど、感触からそれなりの椅子の様だし床にはふかふかな絨毯が敷かれている。
仮に誘拐されているにしても随分と高待遇ではないだろうか。
目的が私ではなく私を使った何かで、それに私の生死がかかっているのならもっとぞんざいに扱われるのが関の山。
丁重に扱われているということは少なからず私に関係している人物の犯行か私に用があって攫ったと考えるのが妥当だろう。
しかし思い返してみても恨みを知らずに買っていた知らない人ならばいざ知れず、私に関する人などたかが知れている。
というかパーティーでラブラが攫われるというイベント……ゲーム上に無かっただろうか?
でも確かそれはセレスちゃんと仲良くなるきっかけのイベントで、こんなに早くに攫われるのはおかしい。
となればラブラ・ドル・ライトはその前にも攫われていたというの……!?
幸か不幸か、誘拐された人がよくされてる猿轡さるぐつわとかがないのがまだマシな事だろうか。

「……目覚めたか。事が済むまで眠り続ける筈だったが…やはり……には抗えないな」

独り言のような、話しかけられているような聞き取りきれない所があるほどの声量の声が言った。
暗がりでその姿は見えず、分かることはその声が男であるという事だけ。

「ここは…貴方は……一体……?」

場所は分からずとも、声の主は言わずもがな誘拐犯だろう。
けれど私は何故か、近くに居るであろう男に敵意や殺意の念を微塵も感じない。
どちらかと言えば雰囲気的に心配や不安のようなものさえ感じる。
これがただの私の気の所為ならば私の人間観察能力にかなりの問題があるとは思うけど。

「はっ、この状況でよく聞けたもんだなぁ?侯爵令嬢サマよォ」

先程のものと同じ声なのだが、知的な声色と言葉遣いから粗暴な言葉遣いに一転した。

私はこの変貌ともいえる変化を知っている。

そう、それは私の推しキャラである彼の特徴によく似ているからだ。
私の推しキャラ───ラピス・ラズリは二重人格という設定で、不意に人格が変わると粗暴なもう一人が現れるのだ。
しかし、粗暴と言ってもどこか優しく、主人格である本来の知的で紳士な人格『アズ』の事をラピスは認知しており、彼をどこか心配している描写さえもある。
のちに主人格もラピスの存在を認知しているような描写も出てくるため、普通の二重人格とは大きく異なる。
そんな二人の人格を含めた彼がハッピーエンドで成長し、報われるからこそ私は彼の恋路を助けたいのだ。
男の声がそんな彼の粗暴な人格であるラピスの雰囲気に似ていたせいなのか私はあまり不安を煽られなかった。
言葉だけならガラの悪い危険な誘拐犯と言っても相違ないし本来警戒するところだろう。

でも私は────

「なんだか……貴方の事、あまり怖いと感じないんですの。こんな状態なのに…ふふ、おかしいですわね、懐かしいとさえ思うなんて」

「………あぁ?…………なんだ、コイツ……頭のネジ一本イカレっちまったかァ?」

男は私が警戒や恐怖の色を見せず、むしろ不敵に笑って見せたので(相手にはそう見えていたと思う)流石に戸惑ってしまったようだ。
確かにただの侯爵令嬢はこんな状況に立たされて落ち着き払っているはずがない。
たとえ落ち着いていたところでそれは見せ掛けだけの虚勢であり、令嬢であろうがなかろうが普通ならばどこか怯えているものだろう。
思えば男が現れてからというもの、私も自分で疑問に思う程には目覚めた時より今は酷く落ち着いていて、思考もスッキリとしている。
何か欠けていたものが、無くしたパズルのピースを見つけた時のようなしっくりとした感覚だ。

「まあそんなもんはどうでもいいか、お前にはしばらくそこでおねんねして貰うつもりだしな」

最初の男の声もそんなことを言っていたが私は何の為に攫われたのだろうか?
しばらく、という事は本当に眠らされるだけなのだろうし、危害を加えないとなるとますます私を攫う理由もわからない。
前世わたしが生きていた世界ならまだ身代金を要求する為に攫うというのはよくある話という感じで分かるけれど、それにしたって高待遇過ぎるし拘束も緩すぎる。
現世こっちの勝手はまだよく分からないけれど前世あっち現世こっちもこういう価値観に大きな違いはないだろう。

「あの……どうして私を攫ったんです…?」

「あ?んなこと、俺が話してやる道理なんざねぇだろ」

誰が話すかよと一蹴されてしまった。
まあ確かにそうですよね、犯人に動機を聴いているようなものだし素直に答える方が危険な気さえする。

「まあまあ、そうツンケンしなくてもいいんじゃない?ね、可愛いお嬢さん」

粗暴な男の声とは違う男の声が私達の間を取り持つように現れた。
そう、文字通りこちらに歩いて。
私に見えるようになのかかなり至近距離まで距離を詰めてきた男にいくらこの状況にも落ち着いているとはいえ、流石に動揺する。
よし、動揺を何とかするために目の前の男を観察対象として観察してみよう。
間近に見た男の顔は糸目が印象的で形の良い唇には笑みを浮かべ、それは前世の狐を思わせるものだった。
ジェード様やネフラくんよりも些か濃い柔らかな深緑の髪、けれど所々に白が混じりその神々しさは天使を思わせるよう。
そのイメージからかどこかふんわりとした毛質で男性にしてはやや長い髪。
後ろ髪をまとめて前に流し、前髪は邪魔そうな程長くてセンター分けしていたのだろうが零れてしまっている。
つまり、何が言いたいかって言うと見た目が女の子のように、と言うか女の子でも見た目が重い毛量だ。
顔立ちは綺麗だし『MAGIC☆LOVER』に居てもおかしくなさそう。
あ、でも見た目が女の子っぽいとなるとヘリオとキャラ被りしてしまうな。
なんてぼんやり考えつつ目の前の男の顔を眺めていると、困った様な顔(糸目なのであまり変わり映えしない)で固まっている。

「あ、あのぉ……どうしちゃったのかなー…?お嬢さん?」

「あ…、すみませんジロジロと…暗がりから突然にゅっと現れたのでつい凝視してしまいましたわ…」

「ん、んんー…?この子随分と肝が据わっているというか危機察知能力大丈夫かな……??」

心配になってきちゃうわー…と苦笑いしながら男は私の瞳でギリギリ捉えられる位置に跪くといつの間にか開眼した特徴的な糸目だったはずの深緑の瞳と目が合う。

「僕は通称クリノ・クロア、クロアと呼ばれているよ。しばらく君の世話係をするから、仲良くして欲しいな」

「おい、どういう事だクロア。そんな事誰が言った?」

「ん?僕の独断と偏見的な?」

「コイツは眠らせる、世話係なんざ要らねぇ」

「そうもいかないんだよ、ラズ。君の計画はどうやら長引きそうでね、今頃は血眼ちまなこになって探しているのは大方予想通り。」

「なら予定通りじゃねぇか」

「話は最後まで聞こうね、ラズくん。肝心のターゲットが思ったよりも手を引かないんだ。その間ずっと眠らせてたらこの子死んじゃうよ?」

どうやらもう一人の男はラズと言うらしい。
やはり腑に落ちないというか、どこか粗暴な彼の事をラピスと重ねてしまう。
『ラズ』という名も愛称という可能性だって否めない。
でも、不用意に攫ってきた人間の前で本名を名乗るはずも無いだろうし……。

「この計画だって信仰深いあの人にバレても、王国にうちの構成員の存在がバレても大事おおごとな賭けみたいなものなんだし…念には念を、じゃない?」

「……チッ…」

「はい、ラズくん舌打ちしなーい」

訳の分からない話が私を置いて進んでいるが私は一体どうなってしまうのだろうか。
まさかヒロインよりも先に拉致監禁されようとは思ってもいなかったな。

「はぁ……仕方ねぇな。クロア、名乗り出た以上お前がこいつの世話をしろ。…それからこの部屋から外へは絶対に出すなよ」

「分かってるよ、我らがボスマイロード。…うーん、自分で言っておいてだけどロードって呼ぶのやっぱりやだなぁ…」

クロアと名乗った男が返事を返すと一人分の足音とともに粗暴な声の男が立ち去った様な音が聞こえた。
仮称クロアは目の前にいるので監視の目はある、当然の事ながら勝手な真似はさせないつもりなのだろう。
こういう時くらいお約束な抜け目があってもいいのに…。

「さて…と、これで明かりがつけられる。眩しいかもしれないけど少し我慢してね」

カッコ良さげに指を鳴らすと一気に明かりが付き、眩しさで目が眩む視界に先程間近で見た深緑の青年が現れた。

年齢は─────少なからず私よりも上だろうか。

「改めて自己紹介をしよう、僕は通称クリノ・クロア。これは本名ではないし、気軽にクロアと呼んでねお嬢さん」

ああ、やはり本名ではなかったのか。
だとすればあの『ラズ』と呼ばれていたあの人も恐らくは違うのだろう。
好意的にも名乗ってもらっているのだし、世話をしてもらうのだったら私も名乗っておくべきなのだろうか。

「ええと……私は…」

「ラブラ・ドル・ライト、だよね。ラブラでいいかな?」

「は、はい……」

もう今更、彼が何故私の名前を知っているのかなんて突っ込まないし驚かない。
なんかもうそういう事は考えるだけ無駄そうだし、流れに身を任せてしまおう。
狐のような笑顔(糸目なので笑っているのかは定かではないが口が笑っているので笑顔)のクロアは一方的だったがきちんと自己紹介を済ませれた事に満足すると私の拘束を解き始めた。
おいおい、人質の拘束をそんなに簡単に外していいんですか……
まあ相手が男性という時点で不利なのは確実だし、私の魔法を使ったところで水の魔法なんてたかが知れている。

「なんかゴメンねー、目覚めて暴れられたり逃げられたりした時面倒だからって縛ってて…痛かった?」

「い、いいえ…緩かったので平気ですわ…」

そもそもそんな緩い拘束で逃げられなかった私もどうかと思うけれど。
仮にも侯爵令嬢を面倒とはまた凄い理由で縛ってくれちゃったものである。

「しばらくは不自由かもしれないけど、ここで過ごしてもらうよ。君の使用人がここに辿り着くか、こちらの計画の完遂までは…ね」

「…………。」

さっきから私を脅したいのか安心させたいのかよく分からない人だと思う。
常識的に見えて狂気を内包しているというか、一見して分かりやすいラズと呼ばれていたあの人の方が今は良心的かもしれない。

「怯えちゃったかな?安心して、君には手荒な真似は一切しないから。…まあ、というかあとが怖いし」

「……?」

その一言でかなり安心は出来たが、ますます私を攫う理由が分からなくなった。
話から鑑みても、ライト家から何か要求している様子もないどころかむしろ私を一定期間隠したいかのような物言いだ。

「貴方達は…私を隠したい……の、ですか?」

「……余計な詮索は身を滅ぼすよ?ラブラちゃん。君は仮にも囚われの身なんだからね」

「……っ」

笑顔のままのはずのクロアはどこかゾッとする怪しい雰囲気を纏っていた。

──本当にこの人としばらくやって行けるのだろうか…心底心配だ。

あーん、早くもハウが恋しい……助けてハウ…。

「なーんて、可愛いからって虐めちゃいけないね~はい、縄解けたよ!部屋の中にあるものは好きに使っていいから外に出ないで自由に過ごしててね」

隣の部屋に控えてるから何かあったら机のベル鳴らしてね~と前世のファミリーレストランばりの適当さで言い残すとクロアは早々に部屋から出ていってしまった。
もうなんだか支離滅裂というか矛盾しているというか滅茶苦茶だ。
まあ当然の事ながら扉を開けてみようと試みたのだが鍵穴はついていないのに何かの魔法か扉は固く閉ざされ、ビクともしなかった。
やることも無いので部屋を見回せば建築の仕様なのか窓の一つもなく、明かりを消せば真っ暗になってしまう部屋だった。
どうりで真っ暗だったわけだ、納得。
家具はそこそこ品のある調度品ばかりで娯楽要素のあるものは控えめに言って無い。
精々娯楽と呼んでも良さそうなのはインテリアのように置かれたチェス盤くらいだろうか。
しかしチェスなんて一人ではできないしひとり将棋みたいな事をしても虚しいだけだ。
本の一つでもあればまだ暇の潰しようもあったのに。

「……早くだれか…迎えに来てくれないかなー………そう言えば…パーティーどうなったんだろう?」

主役が攫われたのに続くパーティーってのもどうなんでしょうか。
大パニックとまでは行かなくても犯人探しとか検問とか関係のない人たちまで迷惑がかかると思うと気が重い。
それに何よりハウや直前まで一緒に居たバイオレット様にも、きっと心配させてしまっているのだろう。
この事態はあの後ラチア様達にも話が広がっていっただろうし、大変ご迷惑をおかけしておりまーす……ひとまず私は生きていまーす…なんて小声で言いたくなる。
でもラチア様にこの事態が伝わったなら王国規模の大事になっているのではないだろうか。
会場には国王陛下や王妃様も居るのだしまさに有り得なくはない事だ、恥晒しなことこの上ないので助けては欲しいけどやめていただきたい。
一人で帰れれば、取り敢えずはこの騒ぎもお騒がせな令嬢だな程度で何とかならないだろうか。
まあ当然の事ながら逃げられなさそうなんだけども…。
娯楽もないのでは惰眠を貪る他ない、ベッドに近づいてみるとしよう。
やはり、しっかりとした家具ばかりでどこかの貴族の屋敷のそれと変わらない天蓋付きベッドだった。
丹念にベッドメイクもしてあり、攫ってきた相手に用意するものではないクオリティだ。
流石に呑気だとは思いつつ、私はベッドに腰を掛ける。
私のベッド程ではないが質の良いベッドの弾力感が伝わってくる。
ドレスのまま眠る訳にもいかないし……クローゼットとかにネグリジェ入っていないかしら。
部屋のものは好きに使っていいと言っていたし開けちゃえとクローゼットを開ければ、ネグリジェが一着だけ掛けられていた。
ご大層なクローゼットなのに中は一着だけなんて……何かしらこの悲しい風景。
それに寝間着があるのはいいが着替えは一人なのだろうか…ドレスを脱いでネグリジェに着替える程度ならば私一人でもやれない事はないけれど、ドレスを着るとなると話は別だ。
そもそも侯爵令嬢はそんな事しないのが普通だし…あんなドレスを一人で着るなんて前世でも出来る人間は少ないだろう。
とにかく布の重いドレスを豪快にも脱ぎ捨てネグリジェに素早く着替えると、何とかクローゼットに収納した。
先程のネグリジェ一着しか入れられていない侘しいクローゼットにほんの少しだけ華やかなドレスが入れられた事でそれらしさが出てきた。
まあ、とは言ってもドレスだってこの一着しかないのだけれど。
準備もそこそこにベッドへ潜り込むと肌触りの良いシーツが私を包む。
布団の安心感というものは万国共通ね…暖かいしぼんやりしちゃう。
無けなしの緊張感も布団に包まれてしまえば形無しというか消し飛んでいく。


……私、実は凄く図太い精神の持ち主なのかも。


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