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保と涼介(その2)
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ご飯を済ませて駅まで送ろうとしていたら養父の慎太郎が帰ってきた
「保、学校のお友達?」
制服で涼介をクラスメートだと理解したようだ
「そう。色々、学校のこと教えてもらってるんよ」
「兵頭涼介です。お邪魔してます。桜塚君にその代わり勉強教わってます」
若者らしい爽やかな挨拶をした
「それは良かった。保と仲良くしてやって下さい」
一方、慎太郎は大人の対応である
「お父さん、ご飯食べる?」
父の分取り置いてあるのを指さす。
「お友達は?」
「これから駅まで送ろうかと思ってた」
「じゃ、父さんが近くまで送ろう。保も付いてくるやろ?」
「うん」
マンション地下の駐車場から慎太郎は保を連れ涼介を池田の自宅まで送った
帰り道、慎太郎が保に
「友達できて良かったな。最近のお前はキラキラしていて父さんも嬉しい」
保は涙ぐむ。そして、
「何もかも父さんのお陰です。父さんがいなかったらまだ僕、奴隷ボーイのままでした」
涙がとめどなく流れた。この制服も貞操帯のないあそこも自由に歩ける毎日も全部、この養父慎太郎のお陰である。しかも身体での代償を求めない
「それは忘れろ」
慎太郎はハンカチを渡してやった
「でも、でも。父さんがいなかったら僕、僕」
ハンカチを濡らした
「もう泣くなって」
運転席から慎太郎は保の頭をクシャと撫でた
翌日
「保、おはよ~」
学校前の駅の改札口を出たところで涼介に声をかけられた
「おはよう、涼介」
改札口から学校まで一緒に歩く。涼介が、
「昨日、ありがとうね。勉強教えてもらって、ご飯作ってもらって、お父さんに家まで送ってもらって」
「父さん、喜んでたよ。こんなに早くに友達できたって」
「いいお父さんやなぁ」
涼介が言う。しかし保は
「うちは父子家庭やから涼介とことは違うかもやね」
なんて言ってるうちに学校についた
保は頭が良い
クラス内ではかなり知れてきた。編入初日に受けた小テストではクラスで一番だった
数学の担当教師が、
「今回のトップは転校生の桜塚保だな。満点だ。見習うように」
なんて発表するから余計だ。以前、通学していた都立高校も誰かが調べ偏差値の高さを噂したりもした
「自己紹介してた都立星高、偏差値高いよなぁ。桜塚って賢いんや」
などと聞いてくる同級生もいた。しかし、
「そんなことないよ。星高では落ちこぼれてたし」
などと言っておいた。拉致されたことを思い出して辛い。奴隷ボーイの思い出に直結する
保がチヤホヤされるのを好ましく思わない同級生がいた。他ならぬ涼介である。保が他の同級生に囲まれてると心穏やかではなくなるのだ
その乱れた心は保が寄ってきて涼介のそばに来るとおさまる
好きになったのだ。男子が男子に。男子校ならよくあると言われるが実際はそんなことない
筆者も男子校出身だが1人だけ言い寄られたがそんなあちこちでそんな話はなかった
やはり個性によるものと思う。男子に好かれる男子はどんな環境でも好かれるし男子が好きになる男子は大勢の女子の中からも男子が好きになるのだ
とは言うものの涼介には初めての経験である。ずいぶん悩むことになる
やはり保が奴隷ボーイとして男性客を相手にしてきたのでオーラが出ているのかも知れない。保は男子を好きになる素質はもっているし
いよいよ、この話も佳境を迎えることになります
次回はそこを書きたいと思います。よろしくお願い致します
「保、学校のお友達?」
制服で涼介をクラスメートだと理解したようだ
「そう。色々、学校のこと教えてもらってるんよ」
「兵頭涼介です。お邪魔してます。桜塚君にその代わり勉強教わってます」
若者らしい爽やかな挨拶をした
「それは良かった。保と仲良くしてやって下さい」
一方、慎太郎は大人の対応である
「お父さん、ご飯食べる?」
父の分取り置いてあるのを指さす。
「お友達は?」
「これから駅まで送ろうかと思ってた」
「じゃ、父さんが近くまで送ろう。保も付いてくるやろ?」
「うん」
マンション地下の駐車場から慎太郎は保を連れ涼介を池田の自宅まで送った
帰り道、慎太郎が保に
「友達できて良かったな。最近のお前はキラキラしていて父さんも嬉しい」
保は涙ぐむ。そして、
「何もかも父さんのお陰です。父さんがいなかったらまだ僕、奴隷ボーイのままでした」
涙がとめどなく流れた。この制服も貞操帯のないあそこも自由に歩ける毎日も全部、この養父慎太郎のお陰である。しかも身体での代償を求めない
「それは忘れろ」
慎太郎はハンカチを渡してやった
「でも、でも。父さんがいなかったら僕、僕」
ハンカチを濡らした
「もう泣くなって」
運転席から慎太郎は保の頭をクシャと撫でた
翌日
「保、おはよ~」
学校前の駅の改札口を出たところで涼介に声をかけられた
「おはよう、涼介」
改札口から学校まで一緒に歩く。涼介が、
「昨日、ありがとうね。勉強教えてもらって、ご飯作ってもらって、お父さんに家まで送ってもらって」
「父さん、喜んでたよ。こんなに早くに友達できたって」
「いいお父さんやなぁ」
涼介が言う。しかし保は
「うちは父子家庭やから涼介とことは違うかもやね」
なんて言ってるうちに学校についた
保は頭が良い
クラス内ではかなり知れてきた。編入初日に受けた小テストではクラスで一番だった
数学の担当教師が、
「今回のトップは転校生の桜塚保だな。満点だ。見習うように」
なんて発表するから余計だ。以前、通学していた都立高校も誰かが調べ偏差値の高さを噂したりもした
「自己紹介してた都立星高、偏差値高いよなぁ。桜塚って賢いんや」
などと聞いてくる同級生もいた。しかし、
「そんなことないよ。星高では落ちこぼれてたし」
などと言っておいた。拉致されたことを思い出して辛い。奴隷ボーイの思い出に直結する
保がチヤホヤされるのを好ましく思わない同級生がいた。他ならぬ涼介である。保が他の同級生に囲まれてると心穏やかではなくなるのだ
その乱れた心は保が寄ってきて涼介のそばに来るとおさまる
好きになったのだ。男子が男子に。男子校ならよくあると言われるが実際はそんなことない
筆者も男子校出身だが1人だけ言い寄られたがそんなあちこちでそんな話はなかった
やはり個性によるものと思う。男子に好かれる男子はどんな環境でも好かれるし男子が好きになる男子は大勢の女子の中からも男子が好きになるのだ
とは言うものの涼介には初めての経験である。ずいぶん悩むことになる
やはり保が奴隷ボーイとして男性客を相手にしてきたのでオーラが出ているのかも知れない。保は男子を好きになる素質はもっているし
いよいよ、この話も佳境を迎えることになります
次回はそこを書きたいと思います。よろしくお願い致します
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