奴隷島の青年たち

KEYちゃん

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17号の悲しき幸せ

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不幸を絵に描いたような17号である。ついにギャンブル依存症でアル中の父親に売られ、奴隷ボーイに落ちてしまった
奴隷島に到着後も終始、17号は従順だった。人生を諦めているような感じである
木箱から出され、調べ室に連れられる。37号の場合、ここで暴れて手足を拘束され、衣類をハサミで切られて全裸にされた
「着ている物を全部脱げ!」
調教師に言われ、
「ハイ、解りました」
と、素直に応じた。ある程度の抵抗を予想していたのだが、拍子抜けである
学生服の上着を脱ぎ、ズボンを脱ぎ、ワイシャツのTシャツを脱ぐ。少し躊躇して靴下も脱いだ。高校生らしいボクサーブリーフ1枚になった。ここで固まっていると、
「それも脱げ」
調教師は容赦ない。さすがに16歳には恥ずかしい命令である
「うーん、俺が脱がせてやろうか?」
人前で全裸になるのは恥ずかしいが、脱がされるのはもっと恥ずかしい。
「大丈夫です。脱ぎます」
17号は恥ずかし気にしかしはっきりと言った。そして調教師の手から逃げるように自ら一気にパンツを下ろした
足元に脱いだ服が散らかっている。17号はそれを手にして片付けようとした
「そのままでいい」
ビニール袋にアシスタントが回収する。不安になり17号は
「捨てるのですか?」
と、聞いた
「心配するな。預かるだけだ」
調教師がそう言い、付け加えた
「ここを出る時に返してやる」
生徒手帳とパスケースを取り出し、
「これは持っていても良いてますか?」
生徒手帳は唯一の身分証明であり、パスケースには亡き母とまだまともだった父と三人が家族旅行に出かけたときの写真が入っている
「ダメだ!!」
元の社会での所持品は一切、奴隷島には持ち込ませないのが原則である。ここでは名前も衣類も私物も全て取り上げられ奴隷ボーイとして番号で呼ばれる
「このリゾートで頑張れば早くにここから出られる。その時に返してやる」
彼らに何を言っても妥協してくれることはあるまい。それが今までの経験則である。今まで何一つ上手く行かなかったから
採寸もスムーズにすんだ。手足を拘束される時も嫌がりもしなかった
採寸が終わり、拘束を解かれると囚人服が支給されるが抵抗することもなく着た

「丁度、昼どきだな。17号、ここで食っていけ」
奴隷ボーイへの食事は健康的なメニューだが美味くない。大体、不健康な食事の方が美味いものが多い
「これ、全部、食べてもいいのですか?」
なんて言う。これだけ食べられたら腹一杯になるだろう
「お前のメシだからな」
と言われて満面の笑みを17号は返した
「美味い。美味しい」
と、言いながら完食した。奴隷ボーイで食事を美味いと言ったのは17号が初めてだ
17号は嬉しかった。移動の時の手錠や足枷なんて苦にならないほど嬉しかった。ここにいたらキチンと食事ができて、雨風をしのぐ部屋もあり、寝ている時に取立屋の怒鳴り声も聞かなくてすむ。何て幸せなことであろう。この不自由な奴隷ボーイの生活に幸福を感じる17号に厳しい調教師たちの涙を誘ったのだった
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