奴隷島の青年たち

KEYちゃん

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晃一と純也 秋の京都(その3)

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地下鉄烏丸線四条駅から国際会
館行が間もなく来て、今出川駅で降りる
地下鉄に乗り換えると純也の顔見知りがいてはならないのでさすがに晃一もイタズラしなくなった
改札口を出ると突き当たりが学校の入口。自動ドアを通りエレベーターで地上に出るとキャンパスである

古そうで重厚なチャペルが見える。晃一の視線に気付いた純也が、
「このチャペル、確か重要文化財やよ。知らんけど」
純也が言う。事実だが何故か最後に知らんけどを付けてしまう
チャペルの周りの木々は紅葉を始めているものもあった
「このモミの木、クリスマスの飾り付けするねん。毎年この木とこの木を交代させて」
純也の説明に、
「今年のクリスマス、また案内して」
と、晃一が言う。さぞ素敵な光景だと思う
「休み取ってくれたら案内するわ」
キャンパスはかなり広い。旧薩摩藩邸らしいがかなりの広さだ
敷地内に冷泉家の公家屋敷が残っている。江戸時代以前の公家屋敷は貴重な歴史的資料である
冷泉家は公家としてかなり高貴な家柄である。羽林家と言い、トップから五摂家、清華家、大臣家に次ぐ家柄である。新古今和歌集の藤原定家の子孫である
キャンパスの南に武家屋敷風の門がある。旧薩摩藩京都屋敷の名残りか?
学内のお店でコーヒーを飲んだ。コーヒー好きなのは奴隷ボーイだったころから変わらない

それから南隣の京都御所に向かう
凛とした静けさを保つ空間ある
すっかり紅葉して美しい

京都は面白い街である。多くの商業施設があり会社も多い。のに古く伝統的な歴史的な施設も多く上手く調和している

「嵐山に行こうか?」
晃一が提案した
「いいけど、阪急かJRかな」 
来た道を戻って阪急桂で嵐山線に乗り換えるかJR京都から山陰本線で嵐山嵯峨駅に行くかが鉄道ルートである。市バスもあるかもだが京都の市バスは複雑で覚えきれない
「タクシーで行こうかと思ったけど電車の移動も良いね」
同じルートをできるだけ避けたいので地下鉄で戻り四条を無視して京都駅まで行く
JR嵯峨駅は山陰本線だ。二条駅は二条城を意識したのかレトロで重厚な造り
嵐山でしばらく散策してから渡月橋に向かった
遊覧船の船着き場がある
「大阪の藤田です。少し早く着きました」
晃一が予約していたのだ。貸切船である
「え?乗るの?」
純也が少し驚いて聞く
「そやで」
貸切船である。船頭さんが遊覧してくれる
船頭さんは付近の見どころを説明してくれ一推しスポットに船をつけてくれた
「ええやろ。ここ」
晃一も昔、取引先の偉い人に連れて貰ったらしい
「うん」
言葉に詰まってそれしか言えなかった。しかし目に一杯溜まった涙が全てを語っていた
「どうしたん?」
晃一が聞くと、純也は
「ううん。ありがとう」
とだけ言った
「今日は嵐山で泊まるからね」
晃一が伝えた。
「嬉しい」
純也はとうとう温かい涙を流した。船頭さんが居なかったらキスしていたことであろう

後記
もう一度だけ嵐山編続けたいです。よろしくお付き合い下さい
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