新米神様、世界を創る

黒蓬

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43.大気の浄化

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荒廃した星に草の芽が現れたことに安堵したセイルだったが、ふと空を見上げて顔をしかめた。
空は灰色の雲に覆われ、黒い霧が低く垂れこめている。かつてミレネアが築いた文明が滅びた後、その残骸が放出した有毒な気体が星全体を覆い尽くしていた。生き物が呼吸できる環境を取り戻すには、この汚染された空を改善する必要がある。

「この空もなんとかしないと、せっかく大地が再生しても生き物は住めないな。」

セイルは険しい表情で呟いた。

「この星の大気は長い年月をかけて汚染が蓄積しているわ。何か方法を考えないと、浄化するのは難しいわね。」

セイルはまず、空気の流れを探ることから始めた。エアレットに協力して貰い、星全体を覆う気流を解析する。エアレットは汚染された空気に顔をしかめつつも大気の状態を調査してくれた。

「うぅ、雁字搦めにされてる気分だよ。まずは汚染物質を分解しないと、風の力を生かすのは無理だね。」

「やっぱりそうか……汚染物質の分解、何か良い方法はないだろうか?」

セイルは過去に学んだ科学の知識を思い出しながら解決策を模索した。

(確か、「光触媒」を使って有害物質の分解できるって話を聞いたことがあったな……)

試しに、創造の力で光触媒を生み出そうとすると、いつもより時間は掛かったが創造に成功した。

「なぁ、リーネ。これを使えばこの世界の有害物質を取り除けると思うか?」

問われたリーネが頷く。

「そうね。時間を掛ければ可能だと思う。ただ、この世界全ての大気を浄化するにはそれを大量に、そして広範囲に適用させる必要があるわね。」

「そこが問題か……そうだ!アウラの力も借りたらどうだ?」

セイルは早速アウラを呼び出して、光触媒を見せてみた。

「アウラ、君の力で光触媒の仕組みを応用して、この世界の有害物質を効果的に取り除くことはできないか?」

アウラは少し考えた後、渡された光触媒を自身の力に適用させながら答えた。

「試してみる。私の光で汚染された空に広げて、触媒効果を生み出せば浄化が進められるかもしれない。」

セイルたちはまず、小規模な実験を試みた。エアレットが汚染された空気を集め、アウラがその空間に光を放つ。アウラの光が汚染物質を分解し、空気が少しずつ透明になっていく様子を見て、セイルは期待に胸を膨らませた。

「これは……いけるんじゃないか?」

セイルは少し興奮気味に叫んだ。
しかし、問題はすぐに現れた。浄化された空気は星全体に広がる前に、再び汚染物質に巻き込まれてしまうのだ。

「思っていたよりさらに汚染状況が酷いみたいね。」

リーネが冷静に指摘する。

「エアレット、浄化した範囲に汚染された空気が入り込まない様に抑えられないか?」

「それはできるけど…一時的ならともかく長時間だと流石に体力がもたないよ。」

確かにアウラが浄化できた範囲はかなり広かったが、それでも世界全体で見ればほんの一部だ。全体を浄化するまで抑えるのは無理がありそうだった。

「良い発想だったけれど、この世界全体の大気を浄化するにはこれだけでは不十分なようね。」

希望が見えただけにしばらく肩を落としたセイルだったが、リーネの言葉を思い出して、気を持ち直した。
セイルは次に、雨による浄化を思いついた。

「アウラの光の力をアリエルの水に含ませて、それを雨として降らせるんだ。有害物質はその雨で浄化できるし、この世界の大地は今も水分を必要としている。一石二鳥になると思うんだけど、どうだろう?」

セイルがアウラたちに提案すると、二人もすぐに賛同してくれた。
雨による浄化も最初のうちは雨の降る範囲以外の部分は周囲の汚染された空気により元に戻ってしまい同じような結果になってしまうかと思われたが、段々と汚染が薄れてきたことに気が付いた。それは地表に流れ落ちた雨水が大地を流れて地表側からも有害物質を分解していったためであった。
そうして精霊たちの協力を得ながら、空の汚染を少しずつ浄化を進めてしばらくたったある日、セイルが空を見上げると灰色一色だった空に一筋の青が見え始めた。

「やった……!ついに青空が!」

セイルは感動のあまり、拳を握りしめた。

「まだほんの一部だけど、確実に浄化が進んでいるみたいね。」

リーネが彼の隣で微笑む。

「あぁ。この調子なら、星全体に青空を取り戻せる日もそう遠くないかもしれない。アウラ、エアレット、アリエル、君達のおかげだ。本当にありがとう!」

「セイルに喜んで貰えたのなら、私達も頑張った甲斐がありました。」

アウラが代表してそう言い、エアレットとアリエルも頷いた。
ただ、エアレットが「もうあんな空気の中に入るのはこりごりだけどね」と冗談めかしていうと、それはそうだと皆で笑いあった。
そうして大気汚染の浄化に目途が立ち、セイルは希望を胸に次なる浄化計画を練り始めた。この世界に再び命が育まれる日を夢見ながら。
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