紅の呪い師

Ryuren

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第二十六話

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 鄭義殿と時々会って、話をしたかった。が、しつこく彪林殿が何かと私を呼びつけてくるのが、とにかく鬱陶しかった。体を揉めだとか、茶を持ってこいだとか。ふざけるなと言いたかったが、逆らうのも面倒だったので黙って従うことにした。人の世話をする。これは、いい勉強になる。そう言われると、一理あるとも思ってしまうのだ。
 興行の進行役をしてみないか、と白藍殿に言われた。進行役とは何だと聞くと、演目の紹介や、客の呼び込みをすることを言うらしい。そんな大それた、と言うと、少女であるあんたがいちばん適任なんだと白藍は言った。どういうことかはいまいちわからなかったが、私は紅隆に願い下げて稽古を許してもらった。自分なりに呼び込みの台詞を考えて、他の芸人たちとも打ち合わせをした。どうしたら、客を喜ばせられるか。何か新しいことを考えるのは、それなりに楽しかった。

「龍翠。疲れきっているようだな」
  興行がない日に昼寝をしていると、鄭義殿が部屋に入ってきてそう言った。
「……鄭義殿?お仕事の方は……?」
「李順ひとりに任せた。この街、大して美女も美男もいない。まあひとりふたりはいたが、芸人にならないかと聞くと断られた」
「そうですか」
「さて、この間の続きだ。俺が知っていることを話そう」
 ゆっくりと、私は立ち上がる。彪林殿に気付かれないようにと、鄭義殿は気遣ってくれた。
 拠点の外は、わりと賑わっていた。市をやっているらしい。鄭義殿が、途中で飴を買ってやろうかと言ってきた。
「飴ですって?」
「嫌いか?」
「いえ……しかし、そこまで子ども扱いされると」
 私の言うことも聞かずに、鄭義殿は飴売りから飴を買って、私に手渡してきた。渋々、私はそれを受け取る。
「飯でも食いながら、話そう」
 そう言い、鄭義殿は少し離れた料理屋の中に入っていった。
「飴は……」
「土産だ。とっておけ」
「……」
 飴を、懐にしまう。鄭義殿が店の主人に、いくつかの料理を頼んだ。紅隆の近くにいる男だ。銀も、そこそこ持っているのかもしれなかった。席について、私と鄭義殿は改めて向き合う。

「最近いろいろと、活発にやっているじゃないか」
「まあ、そうですね。しかし、進行役は白藍殿に頼まれたものです」
「その割には、楽しそうだな」
「否定はしません。それに、自然な方が紅隆にも怪しまれずに済みます」
「なるほどな。加えて、彪林の世話か」
「……困ったものですよ。あの人の扱い方など、未だにわからないのですから」
「突き放してやればいいのに。甘えるな、と」
「あの人は、私がなんでも自分の言うことを聞くと思っているのだと思います。突き放したいのもやまやまですが、生憎と方法がわかりません」
「まあ、放っておいてもそのうち痛い目にあうだろう」
 鄭義殿が笑ったので、私も合わせて少し笑った。しばらくの沈黙のあとに、鄭義殿が咳払いをする。本題に入ろう、という合図なのだろうと思った。
「──どこから話そうか」
 鄭義殿が、唇に指を当てる。その目にどことなく、暗い光が湛えられているのに私は気がついた。

「いや、やめた。やっぱりお前から話せ。どうやってここに来たのか、もっと詳しく」
 待ち構えていたのに、急に話を振られて少し驚いた。もう、どうせ遅いのだ。すべてをこの人に話してしまおう、と私は思いなおした。
「……両親のことは、何も知りませんでした。祖母が病で死んだ時、私は呪い師である祖母から……あるものを受け取りました。父親の怨念、というものらしいです」
「──祖母か。確か、歳をとってもう呪いが使えなくなったはずだが」
「そうなのですか」
「少なくとも、俺が見た時に呪いの気は感じられなかった」
「……」
「父親の怨念。怨念……曖昧だな。まあいい。それで?」
「祖母の遺書に、先生……赫連定という男のもとへ行け、と記されてありました。その男と会って、すべてを知れ、と」
「赫連定?」
「腕のいい、呪い師です。祖母は私の父が死んですぐに、赫連定に助けを求めたそうなのです。息子の怨念を、鎮めてくれと言って」
「赫連定か。聞いたことのない名前だな。紅隆と扈珀が知ったら、放っておかないだろう」
「言わないでください。赫連先生を、巻き込みたくない」
「言うものか。俺がそいつを見つけられなかったのは、悔しいがな」
 料理が、運ばれてきた。野菜の炒め物と、饅頭が四つだった。鄭義殿が、一度周囲を注意深く見回した。怪しい人間は、今のところいないようだ。
「……そこで私は、祖母から託されたものの正体や、父と母のこと、それから紅隆のことを知りました。赫連先生のもとで、呪いの修行をし、紅隆を殺すと決意しました。両親と、祖母の復讐を……」
「お前自身、両親のことはどれほど知っている?」
「……父は元は薬屋で、紅隆の誘いを断った結果、不況になったと。そしてひとりの金貸しからの紹介で美しい女を娶り、妻にした。金貸しから借りた金で、仕立て屋を営んで……私が産まれた時、母は死んだ。狂った父の死体を運んできたのが、紅隆。これだけです」
「その金貸しとは、俺のことだ」
「えっ」
 鄭義殿が、にやりと笑う。頭が一気に、混乱しそうになった。
「そんなことは、まあどうでもいいが。食え。冷めるぞ」
 仕方なく、私は饅頭をひとつ手にとった。いつもなら進んで食べるのに、今日はなんだか食欲がわかなかった。
「案外知らないのだな、お前は。それでよく、紅隆を殺しに来ようと思ったわけだ」
「私の中の黒い影を鎮めるには、そうするしかないのです。それから、紅隆のことについて知るという意味も兼ねて、ここには来ています」
「良かったな。俺という情報源がいて」
「……」
 饅頭の味は、まあまあだった。私は、野菜の炒め物にも手を伸ばした。少し味付けは薄かったが、とてもという程でもなかった。
「怨念。呪い師が強い憎しみを持つと、死んでから怨念として生き人に巣くう。そういうものなのかな」
「わかりません。そんなことは」
「……だとしたら」
 鄭義殿が、言葉を飲み込んだようだった。自分でも、不思議に思っていた。するともし、自分が復讐を果たせなかった時は、またちがう生き人へと乗り移ることになるのか。そんな連鎖が続くくらいなら、私で終わらせた方がいい。そう思った。
「そうか。呪い師に、そんな力があるとはな。死んでからも尚、復讐心は生き続ける。恐ろしいものだ」
「それってとっても、不幸なことだと思いませんか?怨念を抱え込む人間も、それから、本人たちにも」
「そうだな。成仏できないということだものな、確かに面倒だ」
 話していると、いくらか楽になるような心地がした。私が本当にほしかったのは、これを話せる相手だったのかもしれない。
「私の話は、これで終わりです。鄭義殿、どうぞ」
 鄭義殿が、食べかけの饅頭を一度皿の上に置いた。その瞳はやはり、複雑な色をしていた。

「実は俺も、なぜ紅隆と扈珀がここまで呪いに執着しているのかがわからない。二人とも呪い師ではないくせに、なぜ呪いの存在を知っているのかも。何も教えてくれなかったな。俺自身、紅隆と扈珀を恐れている。命令されたことに従わなければ、酷い罰を食らう……そういう意味のこわさもあるが、あの二人の得体の知れない気が、俺にはこわい」
「……あなたは、いつから紅隆のもとにいるのですか?」
「十四の時からだよ。李順とは、ともに育った幼なじみだ。ある日村に紅隆の一座がやってきて、興行をした。俺は、その中のとある女から、とてつもない気が放たれているのに気づいた。紅隆に話しかけたんだ。あそこにいる女の人はなんだ、と。紅隆は俺が特別な目を持っていると気づくと、自分と一緒に来ないかと言ってきた。何も考えていなかった俺は、面白そうだと思って紅隆についていった。親が死んだ李順と、ともに」
「女の人……?」
「紅隆の、妻だ。紅成様の母親でもある。紅成様が四つの時に、呪いの力を使いすぎて死んだ」
 息を、飲んだ。紅隆の近くには、昔から呪い師がいた、ということか。
「その女のことは、俺もよく知らない。ただ、恐ろしい女だったよ。やつれて、まともに喋れも動けもしないくせに、膨大な力を秘めていた」
「……まってください。ということは、紅成様も呪い師なのですか?」
 鄭義殿が、微かに首を横に振った。
「いや。生憎、呪いの血は継いでいないようだ。だから紅隆にも見放されている」
「……」
 少し、沈んだ心持ちになる。なんとなく、紅隆と紅成様が関わりを持たない理由がわかったような気がした。
「紅隆は、妻も、子も愛していないのですね」
「そりゃそうだ。呪いにしか目がない男だからな。……話が逸れた。それで、俺はある日、龍庸という男を開封で見つけた。ここら辺は、もう知っての通りだな。紅隆に龍庸の存在を知らせると、まず紅隆自身が龍庸に近づいた。しかし、結局龍庸を一座に誘い込むことが出来なかった。紅隆は一度拠点に戻って、扈珀から意見を求めた。扈珀は言った。まず龍庸の薬屋の売れ行きを悪くし、弱らせると。紅隆の妻の、呪いの力を使ってな」
 黙って、水を飲む。やはり、呪いの力が絡んでいたのか、と思う。
「それから、扈珀は龍庸に子を産ませたいと考えていた。そこで、俺に金貸しを装わせて、一座の芸人のとある女を妻に娶らせた。裁縫が得意な、美しい芸人だったよ」
「私の、母ですか」
 心臓が、高鳴った。昔から、着物を見る度にずっと焦がれてきた、母だった。強いまなざしで、私は鄭義殿を見つめる。
「鄭義殿。母の話を、もっとしてくれませんか」
 鄭義殿が、少したじろいだ。咳払いをして、鄭義殿は「慌てるな。あとで話す」と言った。
「……まあ、しばらくして、お前が産まれたようだな。だが、そのままにしておくわけにもいかなかった。扈珀の考えだ。妻をやはり、呪いの力で殺し、龍庸を狂わせた。酒と女に溺れ、狂った龍庸のもとに金を貸しに行ったのは俺だが……いや、もはや別人だと思ったな。愛する女を失うとは、ここまでに……。まあ、それはいい。ある日、弱りきった龍庸は自ら拠点に転がりこんできた。そこでしばらく、龍庸の呪いの力を調べていたりしたが、弱りすぎていたせいか龍庸はすぐに死んだ。その時からかな。紅隆が、呪いに対する興味を失ったのは」
「興味を、失った……?」
「おそらく、だ。龍庸が死んでから、次は龍庸の娘を攫ってこようと扈珀は言った。しかし、紅隆は承知しなかった。龍庸の抱えていた借金を、龍庸の母に払わせるためには、娘はそっとしておくべきだとは言っていたが。龍庸が死んだことで、はじめて呪いの力は手に入らないと気づいたのかもしれない」
「……」
「紅隆とは、これほどにわからない人間なんだよ。どっちにしたって、なにをしでかすかは知れたものではない。殺すのが、妥当だと思う」
 結局、紅隆のことをわからずにいるまま、殺してしまうことになるのか。仕方のないこと、だとは思えてくる。
「お前が呪い師であることは、まだ紅隆にも扈珀にも言っていない。安心しろ。しかし、怪しまれないように気をつけろよ」
「……ありがとうございます。これで、だいぶわかりました」
 鄭義殿は、何も言わずに箸を置いた。食べた、という気はしなかった。しばらくの間、私たちは黙って席に座ったままでいた。

「──お前の母親は、李玲玉(りれいぎょく)と言った。美しい、美しい歌うたいの芸人だったよ。何も知らずに嫁に行かされて、何も知らないまま殺されたのだ。龍庸からすれば、たまったものではないだろう。強い怨念となって、娘の体にすくってまで復讐しようとする気持ちも、わかるという気がする」
 頷いた。少し、胸の内が熱くなる。ふと、私は大切なことを思い出した。
「鄭義殿。私、白藍殿を見ると、胸の……黒い影が、疼くような心地がするのです。白藍殿については、何かご存知でしょうか?」
 鄭義殿が、少し固まったようだった。
「……いつか、話すよ」
 やはり、何かあるのだ。また、胸が苦しくなった。鄭義殿は、しばらくしてから、そっと立ち上がった。

「お前、今日はあまり食わなかったな。李玲玉なら、その倍は食っていたと思うぞ」
 鄭義殿が、笑った。一見皮肉にも見えるが、その笑みはかつてないくらいに暖かかった。
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