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「へえ、センセイ、来月から塾お休みなんだ?」
「先々月に言ったよ。九月に教育実習があって、教育実習中は忙しくてアルバイトできないからね。代わりに太田先生が授業してくれるから」
「えー、太田先生の授業、よくわからないことをよくわからない言葉で説明するからよくわからないんだよねー」
優実ちゃんの言い回しについつい笑ってしまう。
この子は本当に頭がいいんだろうな。
俺なんかが勉強を教える必要なんてないのではないだろうか。
俺は今、優実ちゃんとお祭りのある神社までの道のりを歩いている。
優実ちゃんはいつも見ている制服姿と違い、白のタンクトップにジーンズのホットパンツ、足元はサンダルと、若さを十分に活かした格好をしている。
太ももや二の腕などの露出が普段より多く、女性慣れしていない俺にとっては非常に目のやり場に困った。
一方俺は、ベージュのチノパンにデニムの長袖シャツと、露出を最小限まで抑える格好をしていた。
水がかかった時に皮膚まで到達するのを最小限に抑えるためだ。
優実ちゃんには「暑くないの?」と聞かれたが、俺は家以外では半袖は一切着ないよう徹底しているため、暑さには慣れている。
しばらく歩いて、目的の神社にたどり着いた。
午後五時半、まだ早めの時間だったが、神社にはかなりの人がいた。
出店が立ち並び、色とりどりの浴衣や甚兵衛を着た人達が歩いていた。
リンゴあめや綿菓子を持った子どもたちが嬉しそうに歩き回っているのを見ると、お祭りに来たという実感が沸いた。
俺と優実ちゃんは特に目的もなかったため、出店を眺めながらしばらく歩く事にした。
「お祭りに来るなんて久しぶり。この雰囲気、なんかワクワクしちゃうよね」
「去年は来なかったの?」
「だって受験生だったもん。夏休みだって毎日勉強勉強。不健康なことこの上なしってカンジだよね。まあ高校生になった今も変わらないんだけど」
優実ちゃんは舌を少し出して笑った。
俺と優実ちゃんは歩きながら他愛のない会話を続けた。
優実ちゃんは何かしたいという気持ちより、話をしたいという気持ちが強いのか、普段塾ではしないような学校の話、親や病院の話などをした。
そして俺が大学で学んでいることなどを聞いてきた。
数学の話なんて聞いても面白くないだろうに。
しかし優実ちゃんは興味深そうに頷いてくれた。
三十分はそうしていただろうか。
そろそろ何かしようかという話になり、優実ちゃんがおみくじを見つけ、二人で引くことにした。
料金箱に百円玉を二枚入れ、まずは優実ちゃんがみくじ筒を振った。
小さな穴からみくじ棒が出てくる。
みくじ棒に書かれた番号を確認し、俺にみくじ筒を手渡した。
俺も同様にみくじ筒を振って出てきたみくじ棒の番号を確認し、その番号の棚からみくじ籤を取り出した。
優実ちゃんはみくじ籤を見るなり、「大吉だ!」と嬉しそうに叫んだ。
「センセイ見て。『待ち人来たる』だって」
なんだって?
待ち人来たるということは、優実ちゃんの好きな人が優実ちゃんの前に訪れる、ということではないか。
つまり、俺が優実ちゃんを選ぶという予言なのではないか。
「へえ。良かったじゃん」
俺は考えていた事をとりあえず脇に避けて淡々と言った。
「なにそれ、センセイめっちゃ他人事じゃない?ひどくない?」
優実ちゃんは頬を膨らませた。
平静を装ったが、内心穏やかでは無かった。
結局、未来の自分は優実ちゃんを選ぶのか?
いや、それならば「来たる」という表現はおかしい。
俺は優実ちゃんの前にもう現れているではないか。
多少の表現の不都合さは気にするべきなのか?
でも、こうして二人で過ごしていると、それなりに楽しめているし、優実ちゃんと付き合うのも案外うまくいくのかもしれない。
優実ちゃんはいい子だからか、話していても苦ではないし、優実ちゃんも嬉しそうにしている。
もう、決意を固めるべきだと神に告げられているような気がした。
その一方で、やはり藤谷さんとはうまくいくことはないのかと、心の奥底で悲しんでいる自分がいた。
まさか、おみくじに決められるとはな。
「ところで、センセイはどうだったの?」
優実ちゃんのくじの結果に気が向いていたため、自分のくじを見ることを忘れていた。
書かれていた文字は『吉』。
不運を人の形にしたような俺にしてはいい結果だった。
しかし、それよりももっと不吉な字面が俺の目を引いた。
『争事:水難に注意すべし。』
おみくじを持つ手が震えた。
水難、俺が最も恐れていることだ。
それが、この先訪れる可能性が高いとくじに出ている。
旅行でなく争事の項目に出ていることも非常に不気味である。
つまり水が原因で争い事が起きるという事だ。
俺は青ざめた。
「ちょっとセンセイ。大丈夫?」
優実ちゃんが、俺の顔を見ながら不思議そうな顔で首をかしげている。
心配しているのか、おみくじでこんなに動揺するのかと呆れているのか、それとも両方だろうか。
俺は気持ちを切り替えようと「大丈夫だよ」といって何事もなかったように明るくふるまった。
しかし心の中は大嵐である。
まあ、あくまでおみくじはおみくじである。
未来を確実に言い当てているわけではないのだ。
そのうち忘れてしまうだろう、忘れてしまえ。
そう言い聞かせて冷静な様子を装った。
「センセイ、アタシお腹すいた。何か食べようよ」
おみくじを木に結び終えると優実ちゃんが言った。
「いいよ。何がいい?」
「どんどん焼きがいいな」
どんどん焼きというのは、小麦粉の生地に海苔などを入れて焼き、割り箸にくるくると巻きつけ、ソースを塗って味をつけたスティック状のお好み焼きのようなものだ。
我が県のソウルフードでお祭りの定番といったらこれである。
「よし、じゃあ、どんどん焼きの屋台を探すか」
俺たちは屋台の方へ歩き出した。
どんどん焼きの屋台を探していると、後ろから子どもたちがはしゃぐ声が聞こえた。
元気が良くていいことだ。
昔の自分もこうだったんだろうなと自分が歳をとったことに少し感慨深くなる。
しかしこの和やかな状況は長くは続かなかった。
「もらったああああああ」
子どもの大声とともに、俺の背中に急に冷たい感覚が走った。
驚いて振り返ると、どこかの屋台で買ったのだろうか、巨大な水鉄砲を抱えた少年が俺の後ろに立っていた。
大量の水を放出できるタイプの大きな水鉄砲だ。
俺は一瞬で状況を把握し、血の気が一気に引いた。
「一人撃破!」
少年は大きな声でそう言いながら再度、俺に向けて水を放出した。
慌ててよけたが、背中の方はもう手遅れだ。
このクソガキ!と一瞬思ったがそれどころではない。
こんな人混みで透明になったら一大事だ。
俺は慌てて持っていたトートバッグの中から大きめのバスタオルを出して頭からかぶり、優実に「ごめん、気分が悪くなった。先に屋台に行ってて」と一方的に伝え、神社の奥の林の中へ走った。
人気のなくなったあたりで手を見ると、身体はもう完全に見えなくなっていた。まずい。
「水難、いくらなんでも早すぎないか」
「先々月に言ったよ。九月に教育実習があって、教育実習中は忙しくてアルバイトできないからね。代わりに太田先生が授業してくれるから」
「えー、太田先生の授業、よくわからないことをよくわからない言葉で説明するからよくわからないんだよねー」
優実ちゃんの言い回しについつい笑ってしまう。
この子は本当に頭がいいんだろうな。
俺なんかが勉強を教える必要なんてないのではないだろうか。
俺は今、優実ちゃんとお祭りのある神社までの道のりを歩いている。
優実ちゃんはいつも見ている制服姿と違い、白のタンクトップにジーンズのホットパンツ、足元はサンダルと、若さを十分に活かした格好をしている。
太ももや二の腕などの露出が普段より多く、女性慣れしていない俺にとっては非常に目のやり場に困った。
一方俺は、ベージュのチノパンにデニムの長袖シャツと、露出を最小限まで抑える格好をしていた。
水がかかった時に皮膚まで到達するのを最小限に抑えるためだ。
優実ちゃんには「暑くないの?」と聞かれたが、俺は家以外では半袖は一切着ないよう徹底しているため、暑さには慣れている。
しばらく歩いて、目的の神社にたどり着いた。
午後五時半、まだ早めの時間だったが、神社にはかなりの人がいた。
出店が立ち並び、色とりどりの浴衣や甚兵衛を着た人達が歩いていた。
リンゴあめや綿菓子を持った子どもたちが嬉しそうに歩き回っているのを見ると、お祭りに来たという実感が沸いた。
俺と優実ちゃんは特に目的もなかったため、出店を眺めながらしばらく歩く事にした。
「お祭りに来るなんて久しぶり。この雰囲気、なんかワクワクしちゃうよね」
「去年は来なかったの?」
「だって受験生だったもん。夏休みだって毎日勉強勉強。不健康なことこの上なしってカンジだよね。まあ高校生になった今も変わらないんだけど」
優実ちゃんは舌を少し出して笑った。
俺と優実ちゃんは歩きながら他愛のない会話を続けた。
優実ちゃんは何かしたいという気持ちより、話をしたいという気持ちが強いのか、普段塾ではしないような学校の話、親や病院の話などをした。
そして俺が大学で学んでいることなどを聞いてきた。
数学の話なんて聞いても面白くないだろうに。
しかし優実ちゃんは興味深そうに頷いてくれた。
三十分はそうしていただろうか。
そろそろ何かしようかという話になり、優実ちゃんがおみくじを見つけ、二人で引くことにした。
料金箱に百円玉を二枚入れ、まずは優実ちゃんがみくじ筒を振った。
小さな穴からみくじ棒が出てくる。
みくじ棒に書かれた番号を確認し、俺にみくじ筒を手渡した。
俺も同様にみくじ筒を振って出てきたみくじ棒の番号を確認し、その番号の棚からみくじ籤を取り出した。
優実ちゃんはみくじ籤を見るなり、「大吉だ!」と嬉しそうに叫んだ。
「センセイ見て。『待ち人来たる』だって」
なんだって?
待ち人来たるということは、優実ちゃんの好きな人が優実ちゃんの前に訪れる、ということではないか。
つまり、俺が優実ちゃんを選ぶという予言なのではないか。
「へえ。良かったじゃん」
俺は考えていた事をとりあえず脇に避けて淡々と言った。
「なにそれ、センセイめっちゃ他人事じゃない?ひどくない?」
優実ちゃんは頬を膨らませた。
平静を装ったが、内心穏やかでは無かった。
結局、未来の自分は優実ちゃんを選ぶのか?
いや、それならば「来たる」という表現はおかしい。
俺は優実ちゃんの前にもう現れているではないか。
多少の表現の不都合さは気にするべきなのか?
でも、こうして二人で過ごしていると、それなりに楽しめているし、優実ちゃんと付き合うのも案外うまくいくのかもしれない。
優実ちゃんはいい子だからか、話していても苦ではないし、優実ちゃんも嬉しそうにしている。
もう、決意を固めるべきだと神に告げられているような気がした。
その一方で、やはり藤谷さんとはうまくいくことはないのかと、心の奥底で悲しんでいる自分がいた。
まさか、おみくじに決められるとはな。
「ところで、センセイはどうだったの?」
優実ちゃんのくじの結果に気が向いていたため、自分のくじを見ることを忘れていた。
書かれていた文字は『吉』。
不運を人の形にしたような俺にしてはいい結果だった。
しかし、それよりももっと不吉な字面が俺の目を引いた。
『争事:水難に注意すべし。』
おみくじを持つ手が震えた。
水難、俺が最も恐れていることだ。
それが、この先訪れる可能性が高いとくじに出ている。
旅行でなく争事の項目に出ていることも非常に不気味である。
つまり水が原因で争い事が起きるという事だ。
俺は青ざめた。
「ちょっとセンセイ。大丈夫?」
優実ちゃんが、俺の顔を見ながら不思議そうな顔で首をかしげている。
心配しているのか、おみくじでこんなに動揺するのかと呆れているのか、それとも両方だろうか。
俺は気持ちを切り替えようと「大丈夫だよ」といって何事もなかったように明るくふるまった。
しかし心の中は大嵐である。
まあ、あくまでおみくじはおみくじである。
未来を確実に言い当てているわけではないのだ。
そのうち忘れてしまうだろう、忘れてしまえ。
そう言い聞かせて冷静な様子を装った。
「センセイ、アタシお腹すいた。何か食べようよ」
おみくじを木に結び終えると優実ちゃんが言った。
「いいよ。何がいい?」
「どんどん焼きがいいな」
どんどん焼きというのは、小麦粉の生地に海苔などを入れて焼き、割り箸にくるくると巻きつけ、ソースを塗って味をつけたスティック状のお好み焼きのようなものだ。
我が県のソウルフードでお祭りの定番といったらこれである。
「よし、じゃあ、どんどん焼きの屋台を探すか」
俺たちは屋台の方へ歩き出した。
どんどん焼きの屋台を探していると、後ろから子どもたちがはしゃぐ声が聞こえた。
元気が良くていいことだ。
昔の自分もこうだったんだろうなと自分が歳をとったことに少し感慨深くなる。
しかしこの和やかな状況は長くは続かなかった。
「もらったああああああ」
子どもの大声とともに、俺の背中に急に冷たい感覚が走った。
驚いて振り返ると、どこかの屋台で買ったのだろうか、巨大な水鉄砲を抱えた少年が俺の後ろに立っていた。
大量の水を放出できるタイプの大きな水鉄砲だ。
俺は一瞬で状況を把握し、血の気が一気に引いた。
「一人撃破!」
少年は大きな声でそう言いながら再度、俺に向けて水を放出した。
慌ててよけたが、背中の方はもう手遅れだ。
このクソガキ!と一瞬思ったがそれどころではない。
こんな人混みで透明になったら一大事だ。
俺は慌てて持っていたトートバッグの中から大きめのバスタオルを出して頭からかぶり、優実に「ごめん、気分が悪くなった。先に屋台に行ってて」と一方的に伝え、神社の奥の林の中へ走った。
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