見つけた、いこう

かないみのる

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「公佳さん、ありがとう、藤谷さんの両親を説得してくれて」


「いいよ、わたしにはそれくらいしかできないから。拓也君こそ、着いて来てくれてありがとう。一人だったら心細くて」



俺と公佳さんは、藤谷さんのご両親に再鑑定に出そうとお願いをしてきたところだった。

ご両親は最初難色を示したものの、幼馴染である公佳さんからの説得もあり、再鑑定に出す事を決めた。



「橘君が犯人じゃなかった場合、本当の犯人は橘君に罪を擦りつけてのうのうと生きることになるんです。お願いです。奈菜があの世で幸せになるためにも、再鑑定に出しましょう」



公佳さんの強い願いがこもった言葉には、俺もご両親も心を動かされた。

いかに公佳さんにとって藤谷さんが大事な友達だったかが痛いほどに伝わった。



 帰りの車の中、運転する俺の隣で、公佳さんは重い沈黙を破った。



「ねえ、どうして橘君、出てこないの?」



苛立ちが込められているのか乱暴な口調だった。



「分からない。出てこられない理由がきっとあるんだよ。それを何としてでも調べないと」


「奈菜が一人で寂しがっているのに、何で出てこないのよ!奈菜のこと幸せにするんじゃなかったの!?どうして!?」



公佳さんは拳で自分の太ももを叩いた。

怒りやもどかしさが自分の中で消化できず、身体が勝手に動いているようだ。



「生きていても死んでいても、とにかく出てきてよ……」



公佳さんはハンドルを握る俺の腕に頭をもたれさせた。

運転しづらくなるからやめてほしかったが、受け入れた。

涙が服に染みてくるのがわかる。

オレはどうしてやる事もできず、運転を続けた。

赤信号で車を止めると、公佳さんは昔を懐かしむような目でフロントガラスの向こう側を眺めていた。


「拓也君、あの二人の馴れ初め、聞いたことある?」


公佳さんは俺から離れて言った。



「いや、聞いてない」

「あたしも聞いたことない」



ないのかよ、と心の中でツッコミを入れてしまう。声に出せるような雰囲気ではない。



「でも、橘君と付き合い始めた時、奈菜、すごく幸せそうだったな」



藤谷さんの事を思い出したのか、急に公佳さんの涙はボロボロと勢いを増した。

その涙を受け止めることは今のオレにはできない。



「それがこんな悲しい事件で終わるなんて、わたし、信じたくない」

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