4 / 6
4
しおりを挟む
何かに集中したい時、あなたはどんなことをするだろうか。
誰の参考にもならないと思うけれど、私は何かを集中して考えたい時、ダビデ様のおっぱいを描くようにしている。
小六の時から数万回以上は描いたダビデ様のおっぱい。
高校生になった私は、もはや画像すら見ることなく、それをあらゆる角度で描けるようになっていて、ダビデ様のおっぱいを無心で描いていると、不思議と私の心は安らいだ。
ここで話を整理したい。
まず、途中経過はどうにせよ、敷島くんは私のことが好きらしい。
私も敷島くんのことは嫌いじゃない。……いや、むしろクラスの中では、かなり好感が持てる男子だと思っている。裏表のない、さっぱりとした彼の性格は、率直に言ってかなり好きだ。
そして、最も重要なことは、敷島くんが私のことを気になっている以上に、私は敷島くんのおっぱいが気になっているということだ。
しかし、敷島くんのおっぱいは敷島くんの一部であると考えれば、敷島くん本人に対する好意と彼のおっぱいに対する好意を分ける必要があるのだろうか。
……むしろ、敷島くん本人への好意とおっぱいへの好意は、足し算ではなく、掛け算なのではなかろうか。
そんな自分でも理解不能な論理が頭の中でもたげはじめた時――、
突然、スケッチブックに描いたダビデ様の右乳首が、私の頭の中へ直接話しかけてきた。
『大葉菜津。それは巨乳好きの男が、巨乳が好きだからという理由だけで、巨乳の女子と付き合うのと同じなんじゃないのかい?』
右乳首は紳士的な落ち着いた声で言った。
確かにそうだと思い、私はうなずいた。
『君がおっぱいよりも敷島くんのことが好きだというならそれもいいだろう。しかし、本当に君はそうなのか? おっぱいが好きという理由で敷島くんと付き合うことは、敷島くんを傷つけることになるんじゃないのかな?』
整然と正論を述べる右乳首に、私はもう一度うなずいた。
敷島くんを傷つけることだけはしたくない。
断ろう……、そう思った瞬間、今度はダビデ様の左乳首が私に話しかけてきた。
『ちょっと待て。もし敷島くんが彼氏になってくれたら、お前は敷島くんのおっぱいを見放題、描き放題なんじゃないのか? 向こうだってお前の見た目から好きになったんだ。おっぱいを理由に付き合うことの何が悪い』
左乳首は言った。
確かに……と、私は頬に指を当てて考え始める。
『ダメだ、大葉菜津! 左乳首の甘言に惑わされるんじゃない! おっぱいを描かせてもらうために付き合うなんて、そんなの敷島くんに失礼だ!』
『うるさい、右乳首! 本人同士が納得してそうするなら、利用し合ったっていいじゃないか!』
『そんなの健全な恋愛とは言えない!』
『何が健全だ! そんなのくそくら――』
ぱたん、と、
私はスケッチブックを閉じて、不毛な脳内一人芝居を強制終了させた。
(本当にどうしよう……)
結局、いくら考えてみても結論は出なかった。
ふと部屋の時計を見てみると、時間は午前零時を過ぎていた。
一度寝れば、頭がすっきりして何か良い考えが浮かぶかもしれない。
そう考えた私は、部屋の明かりを消し、ベッドの中へもぐりこんだ。
目を閉じると、私の脳裏に敷島くんのおっぱいが浮かんだ。
私のことが好きらしい敷島くん。
敷島くんのおっぱいが好きな私。
生まれた時から一緒にいる敷島くんとおっぱい。
なんだかちょっと三角関係みたい。
(……相当疲れてるな私。さっさと寝よ)
私は不意に気持ちの悪いポエムを思いついてしまった自分に苦笑いをし、ゆっくりと呼吸をして気持ちを落ち着かせてから眠りについた。
誰の参考にもならないと思うけれど、私は何かを集中して考えたい時、ダビデ様のおっぱいを描くようにしている。
小六の時から数万回以上は描いたダビデ様のおっぱい。
高校生になった私は、もはや画像すら見ることなく、それをあらゆる角度で描けるようになっていて、ダビデ様のおっぱいを無心で描いていると、不思議と私の心は安らいだ。
ここで話を整理したい。
まず、途中経過はどうにせよ、敷島くんは私のことが好きらしい。
私も敷島くんのことは嫌いじゃない。……いや、むしろクラスの中では、かなり好感が持てる男子だと思っている。裏表のない、さっぱりとした彼の性格は、率直に言ってかなり好きだ。
そして、最も重要なことは、敷島くんが私のことを気になっている以上に、私は敷島くんのおっぱいが気になっているということだ。
しかし、敷島くんのおっぱいは敷島くんの一部であると考えれば、敷島くん本人に対する好意と彼のおっぱいに対する好意を分ける必要があるのだろうか。
……むしろ、敷島くん本人への好意とおっぱいへの好意は、足し算ではなく、掛け算なのではなかろうか。
そんな自分でも理解不能な論理が頭の中でもたげはじめた時――、
突然、スケッチブックに描いたダビデ様の右乳首が、私の頭の中へ直接話しかけてきた。
『大葉菜津。それは巨乳好きの男が、巨乳が好きだからという理由だけで、巨乳の女子と付き合うのと同じなんじゃないのかい?』
右乳首は紳士的な落ち着いた声で言った。
確かにそうだと思い、私はうなずいた。
『君がおっぱいよりも敷島くんのことが好きだというならそれもいいだろう。しかし、本当に君はそうなのか? おっぱいが好きという理由で敷島くんと付き合うことは、敷島くんを傷つけることになるんじゃないのかな?』
整然と正論を述べる右乳首に、私はもう一度うなずいた。
敷島くんを傷つけることだけはしたくない。
断ろう……、そう思った瞬間、今度はダビデ様の左乳首が私に話しかけてきた。
『ちょっと待て。もし敷島くんが彼氏になってくれたら、お前は敷島くんのおっぱいを見放題、描き放題なんじゃないのか? 向こうだってお前の見た目から好きになったんだ。おっぱいを理由に付き合うことの何が悪い』
左乳首は言った。
確かに……と、私は頬に指を当てて考え始める。
『ダメだ、大葉菜津! 左乳首の甘言に惑わされるんじゃない! おっぱいを描かせてもらうために付き合うなんて、そんなの敷島くんに失礼だ!』
『うるさい、右乳首! 本人同士が納得してそうするなら、利用し合ったっていいじゃないか!』
『そんなの健全な恋愛とは言えない!』
『何が健全だ! そんなのくそくら――』
ぱたん、と、
私はスケッチブックを閉じて、不毛な脳内一人芝居を強制終了させた。
(本当にどうしよう……)
結局、いくら考えてみても結論は出なかった。
ふと部屋の時計を見てみると、時間は午前零時を過ぎていた。
一度寝れば、頭がすっきりして何か良い考えが浮かぶかもしれない。
そう考えた私は、部屋の明かりを消し、ベッドの中へもぐりこんだ。
目を閉じると、私の脳裏に敷島くんのおっぱいが浮かんだ。
私のことが好きらしい敷島くん。
敷島くんのおっぱいが好きな私。
生まれた時から一緒にいる敷島くんとおっぱい。
なんだかちょっと三角関係みたい。
(……相当疲れてるな私。さっさと寝よ)
私は不意に気持ちの悪いポエムを思いついてしまった自分に苦笑いをし、ゆっくりと呼吸をして気持ちを落ち着かせてから眠りについた。
0
あなたにおすすめの小説
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ
海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。
あぁ、大丈夫よ。
だって彼私の部屋にいるもん。
部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる