13 / 32
3章
3-1 人生の分岐点(1) アルバートの手紙
しおりを挟む
左の本から右の紙へ、文字を書き写す。
写本という仕事は、たったそれだけの仕事だ。文字の読み書きさえ出来るのなら子どもだって難しい作業ではない。
唯一の問題は、元の本も手書きであるという点で、元の本の文字がかすれてしまっていたり、経年劣化で文字がにじんでいたりすると内容を類推しなければならないということだ。
もっとも、聖典の場合、過去の修道士達の尽力によって無数に複本されている上、ほとんどの修道士は内容を暗記しているので、そういった問題も皆無だ。
そんなわけで、聖典の写本というのは、ひたすら書き写し、書き写し、書き写し、書き写すだけの作業である。
作業時間は朝の朝昼食を終えてから日没まで。その間、大聖堂の写字室にこもり、ずっと文字を書きつづける。修道士のほとんどが色白で痩せ細っているのはこれのせいではないかと、文字を書き続けながら私は考えていた。
「……あー……、腕が……、腕が……」
私はベッドの上に寝転がり、ぷらぷらと右腕を震わせた。
ファリンダはベッドの上にひざをつき、私の腰を揉み始める。
そして、いつものようになぜか私の部屋でワインを飲んでいるシスター・アーニャは、そんな私を面白い生き物でも見るかのように興味ぶかげに眺めていた。
「……で、シスター・レーア。良い男はいた?」
……聞くと思った。
私は頭の中で思い浮かべていた予想が的中し、シスター・アーニャに苦笑いを見せる。
「良い男どころも何も、誰一人として話しかけられなかったです。まるで私がそこにいないみたいな感じで無視されていました」
私が言うと、あはは、とシスター・アーニャは快活に笑った。
「ま、だろうね。修道士なんてのはたいがい自尊心の塊みたいなもんだから」
「それ、偏見じゃないですか?」
私は言った。
「いいや、絶対そうよ。ブラザーになるには、シスターになるより高い持参金が必要だから、なるのは貴族の次男とか三男とかしかいないのよ。爵位と領地を継げないコンプレックスを抱えた連中が、教会権力を手にするために一日四時間も寝れない厳しい修行生活を毎日送っているんだから、そりゃあ自尊心くらい高くないとやっていけないでしょ」
そういえば、写本中にうとうとしているブラザーが多かったな、と私は思い返した。あれはもしかしたら、こっそり居眠りをしていたのかもしれない。
「……ということは、シスター・レーアは浮気はしてなかったってことね」
シスター・アーニャが、突然何の脈絡もなくそんなことを言った。
「何の話です?」
私が尋ねると、シスター・アーニャは口元をゆるませながら、自分の胸元から一枚の白い便箋を取り出した。
そして、手紙の差出人を見た後、わざとらしくかしこまった口調で、それを読む。
「――ニコラウス・ディアック伯爵子息、アルバート・ディアック」
「アルバート!?」
私は一年ぶりに耳にしたその名前を聞いて、背中を揉んでくれていたファリンダを押しのけながら飛び上がった。
私の反応を見て、シスター・アーニャはにんまり笑った。
「ん? あれ~? もしかして、恋人?」
ベッドから下りて、私はシスター・アーニャから手紙を奪い取る。
「違います。元婚約者の弟です」
「にしては、反応がずいぶん良かった気がしたけどー?」
くくく、とシスター・アーニャはいやらしい目つきで微笑んだ。
私はそんな彼女を無視して、ナイフで便箋の封を開け、中に入っていた手紙を読み始める。
アルバートの手紙には、彼自身が、修道院に入ることになった私のことを案じてくれている様子が数枚に渡ってびっしりと書かれていた。
たった一度きりしか会っていないにもかかわらず、そのうえ、とてもひどい出会いだったにもかかわらず、彼が私のことをとても心配してくれていることに、私は強く胸を打たれた。
「……ちょっと、泣いているの? シスター・レーア。まさか……、誰か死んだの?」
「違います! アルバートが私のことを心配してくれていただけです!」
私は涙を流しながらも微笑んで、シスター・アーニャに言葉を返した。
「シスター・アーニャ。お酒飲んでいるだけなら、私の部屋を出ていってくれませんか? これから手紙の返事を書きたいので」
「えー、別に私が居たっていいじゃない。人生の先輩として内容を優しくチェックしてあげるわよ」
「嫌です! 絶対からかうつもりでしょ!」
私はベッドに腰掛けていたファリンダの方へと向く。
「ファリンダも、今日はもう遅いからそろそろ宿舎に帰りなさい」
私は言った。
けれど、ファリンダは私のことをじっと見たまま、何の返事もしなかった。
「ファリンダ……、どうかした?」
私がもう一度言葉を投げかけた時、ファリンダはようやく、はっとしてから返事をする。
「あ……、ごめんなさい。レーア様」
「どうかしたの? 眠くなった?」
「ううん、そうじゃなくて……」
ファリンダは首を振り、もう一度私を見た。
「……私も、手紙、書けるようになってみたいと思って」
そんなファリンダの言葉に、私とシスター・アーニャは驚いた。
ファリンダは他の使用人達と同樣に読み書きが出来ない。
以前、一度だけファリンダに読み書きを教えることを提案してみたけれど、他の使用人達が出来なくても何とかなっていることを、あえて苦労して覚える気にはなれなかったらしく、やんわりと断られた。
そんな彼女が、自分から読み書きを学びたいと言ってくれたのだ。
私は思わず、ファリンダのことを抱きしめた。
「それは素晴らしい考えだと思う! ファリンダが読み書きができるようになれば、私が部屋に居ない時も書き置きで連絡が取れるようになるし、他の使用人達だって読み書きを学びたいと思うようになるはずだわ!」
「……レーア様、教えてくれますか?」
ファリンダは微笑みながら言った。
「もちろん! 私とあなたの仲じゃない! 遠慮なんていらないわ!」
私は笑みを浮かべながら言った。
すると、ファリンダも声をあげて明るく笑った。
そんなファリンダの笑い声を聞くのは、私はその時が初めてだった。
アルバートの手紙、ファリンダの笑い声、その日は二つも良いことが続き、私はすごく幸せだった。
……とはいえ、良いことが起こった後には、たいてい悪いことが起こるものだ。
その翌週、私はとても不快な二つの出来事に遭遇した。
写本という仕事は、たったそれだけの仕事だ。文字の読み書きさえ出来るのなら子どもだって難しい作業ではない。
唯一の問題は、元の本も手書きであるという点で、元の本の文字がかすれてしまっていたり、経年劣化で文字がにじんでいたりすると内容を類推しなければならないということだ。
もっとも、聖典の場合、過去の修道士達の尽力によって無数に複本されている上、ほとんどの修道士は内容を暗記しているので、そういった問題も皆無だ。
そんなわけで、聖典の写本というのは、ひたすら書き写し、書き写し、書き写し、書き写すだけの作業である。
作業時間は朝の朝昼食を終えてから日没まで。その間、大聖堂の写字室にこもり、ずっと文字を書きつづける。修道士のほとんどが色白で痩せ細っているのはこれのせいではないかと、文字を書き続けながら私は考えていた。
「……あー……、腕が……、腕が……」
私はベッドの上に寝転がり、ぷらぷらと右腕を震わせた。
ファリンダはベッドの上にひざをつき、私の腰を揉み始める。
そして、いつものようになぜか私の部屋でワインを飲んでいるシスター・アーニャは、そんな私を面白い生き物でも見るかのように興味ぶかげに眺めていた。
「……で、シスター・レーア。良い男はいた?」
……聞くと思った。
私は頭の中で思い浮かべていた予想が的中し、シスター・アーニャに苦笑いを見せる。
「良い男どころも何も、誰一人として話しかけられなかったです。まるで私がそこにいないみたいな感じで無視されていました」
私が言うと、あはは、とシスター・アーニャは快活に笑った。
「ま、だろうね。修道士なんてのはたいがい自尊心の塊みたいなもんだから」
「それ、偏見じゃないですか?」
私は言った。
「いいや、絶対そうよ。ブラザーになるには、シスターになるより高い持参金が必要だから、なるのは貴族の次男とか三男とかしかいないのよ。爵位と領地を継げないコンプレックスを抱えた連中が、教会権力を手にするために一日四時間も寝れない厳しい修行生活を毎日送っているんだから、そりゃあ自尊心くらい高くないとやっていけないでしょ」
そういえば、写本中にうとうとしているブラザーが多かったな、と私は思い返した。あれはもしかしたら、こっそり居眠りをしていたのかもしれない。
「……ということは、シスター・レーアは浮気はしてなかったってことね」
シスター・アーニャが、突然何の脈絡もなくそんなことを言った。
「何の話です?」
私が尋ねると、シスター・アーニャは口元をゆるませながら、自分の胸元から一枚の白い便箋を取り出した。
そして、手紙の差出人を見た後、わざとらしくかしこまった口調で、それを読む。
「――ニコラウス・ディアック伯爵子息、アルバート・ディアック」
「アルバート!?」
私は一年ぶりに耳にしたその名前を聞いて、背中を揉んでくれていたファリンダを押しのけながら飛び上がった。
私の反応を見て、シスター・アーニャはにんまり笑った。
「ん? あれ~? もしかして、恋人?」
ベッドから下りて、私はシスター・アーニャから手紙を奪い取る。
「違います。元婚約者の弟です」
「にしては、反応がずいぶん良かった気がしたけどー?」
くくく、とシスター・アーニャはいやらしい目つきで微笑んだ。
私はそんな彼女を無視して、ナイフで便箋の封を開け、中に入っていた手紙を読み始める。
アルバートの手紙には、彼自身が、修道院に入ることになった私のことを案じてくれている様子が数枚に渡ってびっしりと書かれていた。
たった一度きりしか会っていないにもかかわらず、そのうえ、とてもひどい出会いだったにもかかわらず、彼が私のことをとても心配してくれていることに、私は強く胸を打たれた。
「……ちょっと、泣いているの? シスター・レーア。まさか……、誰か死んだの?」
「違います! アルバートが私のことを心配してくれていただけです!」
私は涙を流しながらも微笑んで、シスター・アーニャに言葉を返した。
「シスター・アーニャ。お酒飲んでいるだけなら、私の部屋を出ていってくれませんか? これから手紙の返事を書きたいので」
「えー、別に私が居たっていいじゃない。人生の先輩として内容を優しくチェックしてあげるわよ」
「嫌です! 絶対からかうつもりでしょ!」
私はベッドに腰掛けていたファリンダの方へと向く。
「ファリンダも、今日はもう遅いからそろそろ宿舎に帰りなさい」
私は言った。
けれど、ファリンダは私のことをじっと見たまま、何の返事もしなかった。
「ファリンダ……、どうかした?」
私がもう一度言葉を投げかけた時、ファリンダはようやく、はっとしてから返事をする。
「あ……、ごめんなさい。レーア様」
「どうかしたの? 眠くなった?」
「ううん、そうじゃなくて……」
ファリンダは首を振り、もう一度私を見た。
「……私も、手紙、書けるようになってみたいと思って」
そんなファリンダの言葉に、私とシスター・アーニャは驚いた。
ファリンダは他の使用人達と同樣に読み書きが出来ない。
以前、一度だけファリンダに読み書きを教えることを提案してみたけれど、他の使用人達が出来なくても何とかなっていることを、あえて苦労して覚える気にはなれなかったらしく、やんわりと断られた。
そんな彼女が、自分から読み書きを学びたいと言ってくれたのだ。
私は思わず、ファリンダのことを抱きしめた。
「それは素晴らしい考えだと思う! ファリンダが読み書きができるようになれば、私が部屋に居ない時も書き置きで連絡が取れるようになるし、他の使用人達だって読み書きを学びたいと思うようになるはずだわ!」
「……レーア様、教えてくれますか?」
ファリンダは微笑みながら言った。
「もちろん! 私とあなたの仲じゃない! 遠慮なんていらないわ!」
私は笑みを浮かべながら言った。
すると、ファリンダも声をあげて明るく笑った。
そんなファリンダの笑い声を聞くのは、私はその時が初めてだった。
アルバートの手紙、ファリンダの笑い声、その日は二つも良いことが続き、私はすごく幸せだった。
……とはいえ、良いことが起こった後には、たいてい悪いことが起こるものだ。
その翌週、私はとても不快な二つの出来事に遭遇した。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活
しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。
新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。
二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。
ところが。
◆市場に行けばついてくる
◆荷物は全部持ちたがる
◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる
◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる
……どう見ても、干渉しまくり。
「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」
「……君のことを、放っておけない」
距離はゆっくり縮まり、
優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。
そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。
“冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え――
「二度と妻を侮辱するな」
守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、
いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。
追放された令嬢ですが、隣国公爵と白い結婚したら溺愛が止まりませんでした ~元婚約者? 今さら返り咲きは無理ですわ~
ふわふわ
恋愛
婚約破棄――そして追放。
完璧すぎると嘲られ、役立たず呼ばわりされた令嬢エテルナは、
家族にも見放され、王国を追われるように国境へと辿り着く。
そこで彼女を救ったのは、隣国の若き公爵アイオン。
「君を保護する名目が必要だ。干渉しない“白い結婚”をしよう」
契約だけの夫婦のはずだった。
お互いに心を乱さず、ただ穏やかに日々を過ごす――はずだったのに。
静かで優しさを隠した公爵。
無能と決めつけられていたエテルナに眠る、古代聖女の力。
二人の距離は、ゆっくり、けれど確実に近づき始める。
しかしその噂は王国へ戻り、
「エテルナを取り戻せ」という王太子の暴走が始まった。
「彼女はもうこちらの人間だ。二度と渡さない」
契約結婚は終わりを告げ、
守りたい想いはやがて恋に変わる──。
追放令嬢×隣国公爵×白い結婚から溺愛へ。
そして元婚約者ざまぁまで爽快に描く、
“追い出された令嬢が真の幸せを掴む物語”が、いま始まる。
---
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる