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3章
3-7 嵐の予感
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サイード様は大聖堂の一階にある長椅子に腰かけて本を読んでいた。
普段であれば夕方以降でない限り、そこには誰かしら人がいるはずなのだけれど、読書をしているサイード様を気遣ってか、彼のまわりには誰も人が居なかった。
私は彼と同じ長椅子に、少し間隔を置いて腰かけた。
しばらく彼が私が座ったことに気づくのを待っていると、やがて彼は本に目を向けたまま口を開いた。
「……何も言わずに隣に座ったから、どんな趣向かと楽しみにしているのだが」
サイード様は少し不満そうに言った。
「……サイード様、もしかして退屈していたのですか?」
「忙しくもあり、退屈でもあるな。人生と同じように」
問いかけだ、と気付いた私は、首をひねって答えを考えた。
「つまり、解釈次第、ということでしょうか?」
サイード様はうなずく。
「もっとも、こんな問いかけを考えてしまうあたり、相応には退屈だったらしい」
サイード様は微笑んだ。私も微笑んだ
「……それで、シスター・オーレリア。私の元に来たということは、答えは見つかったのかな?」
本を閉じ、私の方を向いて尋ねるサイード様。
「わかりませんでした」
私は答えた。
「……この間、修道院に来てからずっと仲の良かった知り合いが、修道院を去って行きました。けれど、私は彼女に私と同い年の子どもが居たことも、彼女が自分の描いた絵を良い母親を演じるために、ずっとその子どもに贈り続け
ていたことも何も知らなかった」
サイード様が無言で相槌を打った。私は続ける。
「そんなに親しかった人のことですら何も知らなかった私が、嫌いな人のことを理解して、その人のことを許せるだなんて思えません。私に出来ることはたぶん、自分から一歩踏み出すくらいのことだけだと思うのです」
「一歩、踏み出す?」
聞き返したサイード様に、私はうなずく。
「はい。もっと私は、色々なことを知らないといけないと思いました。だからまず、私が許せると思った人から順番に許していこうと思います。そうすれば、いつかは私が一番許せないと思っている人も、許すことができるかもしれません。わからないとは、そういう意味です」
私は言った。
しばらくして、サイード様は小さく呟いた
「……やはり、お前はこちら側の人間のようだな」
「こちら側?」
私は聞き返した。
「聖典の写本なんて腕が疲れるだけだから大嫌い、という人間の側だよ」
サイード様は微笑みながら言った。
そして静かに立ち上がり、私の方へ振り返った。
「ついて来なさい。お前に一つ、頼みたいことがある」
サイード様が私を連れて行ったのは大聖堂の地下だった。
廊下は全体が石造りで、壁のところどころにくぼみがあり、そこに置かれた油皿だけが周囲を照らしていた。
サイード様は地下の奥にある扉まで行くと、扉の鍵を開けて中へと入る。そして、持っていたランタンの火を油皿に分け、部屋を明るく照らした。
すると、私の目の前に現れたのは、無数の本だった。
「……ここは……書庫ですか?」
サイード様は本の詰まった棚に歩み寄ると、その中から本を一冊手にとって、パラパラとページをめくって状態を確認し始めた。
「地下は本にカビが生えやすいから、本当ならば地上に作った方がいいのだがな。しかし、地上につくると、火事が起きた時に建物と一緒に全焼したり、盗まれたりする危険性が高くなる。頭の痛い話だ」
サイード様はそう言いながら、持っていた本を私に手渡した。
それは私が見たこともない、サウスティカ王国の歴史書だった。
ページをめくると、その中には膨大な文字が書き込まれていて、その年の主要な出来事について詳細に記述されている。
「すごい……。これはとても貴重な本なんじゃ……」
「ああ、そうだ。私の知る限り、その本は王国内でたったの五冊しか複本されていない」
サイード様は微笑む。
「教会という場所は戦争が起こっても戦火に巻き込まれる危険が低い。この手の本を保管して残していくには最適の保管場所なのだ」
「……それで、サイード様が私に頼まれたいこととは?」
私が尋ねた。
すると、サイード様は私に書庫の扉の鍵を見せる。
「――私がお前に頼みたいのは、この書庫の管理だ」
サイード様は言った。
私はそんな彼の言葉を聞いて、呆然としてしまった。
「こんな貴重な本がたくさんある書庫を、私のような子どもにですか?」
「お前が子どもかどうかは関係ない。重要なことは、お前が仕事をきっちりこなしてくれる人間かどうかということと、ここの本の貴重さを正しく理解しているかどうかということだ」
「けれど……」
私は本の貴重さが理解できているからこそ、責任の重さに尻込みをした。もし、私が何らかの不手際をして本を紛失した場合、その本の知識が永遠に失われてしまうことになる。
しかし、サイード様はそんな私の様子にかまわず、話を続けた。
「前々から、ここの管理を専任してくれる者が欲しかったのだ。ブラザーで誰か適当な人物が居れば一番良かったのだが、書庫の管理というのは誰にも評価されない極めて地味な仕事だからな。ここの本の中には、世に一冊しかない本もいくつかある。内心やりたくないと思っている修道士に任せて、中途半端に仕事をされると困るのだ。その点、お前なら問題ないと判断した。シスター・アメルにも確認したが、お前なら大丈夫だと彼女も言ってくれた」
シスター・アメル……その名前を聞いて、私は胸の奥が暖かくなるのを感じた。
「仕事の内容はいたって単純。カビや虫食いで破損したページがあれば複製して差し替えるすること。貴族や聖職者の求めがあれば写本をして彼らに送ること。余裕があれば、貴重な本を複本して王室や他の教会に献本し、知識の保全を図ること。たったそれだけだ。もちろん、暇があれば、ここにある本を好きなだけ読んでもかまわない」
サイード様は言った。
その後、再び私に書庫の鍵を見せ、私の前に差し出した。
「やってくれるか? シスター・オーレリア」
私は顔を上げ、サイード様の目を見た。
そして、目の前に差し出された鍵を、私は手にとった。
「ぜひ、私にやらせてください」
その日の夜、私はアルバートに手紙を書いた。
シスター・アーニャが家族のところへ帰ったこと、若いシスター達から話しかけてもらえるようになったこと、神学者のサイード様と出会って書庫の管理を任されたこと、シスター・アメルが私のことをちゃんと認めてくれていたこと……、
あまりに書きたいことが多すぎて、その手紙はすごく分厚い手紙になってしまった。
その三週間後、アルバートから返事の手紙がやってきた。
彼の手紙は私に負けないくらいの分量の厚い手紙だった。私は彼の感想が楽しみで、急いで手紙の封を開けた。
けれど、彼の手紙には、私の期待していたことはほとんど書かれていなかった。
父のディアック伯が亡くなった、……アルバートは手紙で私にそう告げた。
ディアック伯の死によって、彼が持っていた爵位と領地は、長兄のレオノール様に継承された。
しかし、周囲をあまり顧みないレオノール様に対する領内の反発は非常に強く、一部の家臣や領民達の中には次兄のフェルナン様を担ぎあげようとする動きが出ているらしい。
もしかしたら、近いうちにディアック伯領で内戦が起こるかもしれない。
アルバートは手紙の中で、はっきりとそう綴っていた。
普段であれば夕方以降でない限り、そこには誰かしら人がいるはずなのだけれど、読書をしているサイード様を気遣ってか、彼のまわりには誰も人が居なかった。
私は彼と同じ長椅子に、少し間隔を置いて腰かけた。
しばらく彼が私が座ったことに気づくのを待っていると、やがて彼は本に目を向けたまま口を開いた。
「……何も言わずに隣に座ったから、どんな趣向かと楽しみにしているのだが」
サイード様は少し不満そうに言った。
「……サイード様、もしかして退屈していたのですか?」
「忙しくもあり、退屈でもあるな。人生と同じように」
問いかけだ、と気付いた私は、首をひねって答えを考えた。
「つまり、解釈次第、ということでしょうか?」
サイード様はうなずく。
「もっとも、こんな問いかけを考えてしまうあたり、相応には退屈だったらしい」
サイード様は微笑んだ。私も微笑んだ
「……それで、シスター・オーレリア。私の元に来たということは、答えは見つかったのかな?」
本を閉じ、私の方を向いて尋ねるサイード様。
「わかりませんでした」
私は答えた。
「……この間、修道院に来てからずっと仲の良かった知り合いが、修道院を去って行きました。けれど、私は彼女に私と同い年の子どもが居たことも、彼女が自分の描いた絵を良い母親を演じるために、ずっとその子どもに贈り続け
ていたことも何も知らなかった」
サイード様が無言で相槌を打った。私は続ける。
「そんなに親しかった人のことですら何も知らなかった私が、嫌いな人のことを理解して、その人のことを許せるだなんて思えません。私に出来ることはたぶん、自分から一歩踏み出すくらいのことだけだと思うのです」
「一歩、踏み出す?」
聞き返したサイード様に、私はうなずく。
「はい。もっと私は、色々なことを知らないといけないと思いました。だからまず、私が許せると思った人から順番に許していこうと思います。そうすれば、いつかは私が一番許せないと思っている人も、許すことができるかもしれません。わからないとは、そういう意味です」
私は言った。
しばらくして、サイード様は小さく呟いた
「……やはり、お前はこちら側の人間のようだな」
「こちら側?」
私は聞き返した。
「聖典の写本なんて腕が疲れるだけだから大嫌い、という人間の側だよ」
サイード様は微笑みながら言った。
そして静かに立ち上がり、私の方へ振り返った。
「ついて来なさい。お前に一つ、頼みたいことがある」
サイード様が私を連れて行ったのは大聖堂の地下だった。
廊下は全体が石造りで、壁のところどころにくぼみがあり、そこに置かれた油皿だけが周囲を照らしていた。
サイード様は地下の奥にある扉まで行くと、扉の鍵を開けて中へと入る。そして、持っていたランタンの火を油皿に分け、部屋を明るく照らした。
すると、私の目の前に現れたのは、無数の本だった。
「……ここは……書庫ですか?」
サイード様は本の詰まった棚に歩み寄ると、その中から本を一冊手にとって、パラパラとページをめくって状態を確認し始めた。
「地下は本にカビが生えやすいから、本当ならば地上に作った方がいいのだがな。しかし、地上につくると、火事が起きた時に建物と一緒に全焼したり、盗まれたりする危険性が高くなる。頭の痛い話だ」
サイード様はそう言いながら、持っていた本を私に手渡した。
それは私が見たこともない、サウスティカ王国の歴史書だった。
ページをめくると、その中には膨大な文字が書き込まれていて、その年の主要な出来事について詳細に記述されている。
「すごい……。これはとても貴重な本なんじゃ……」
「ああ、そうだ。私の知る限り、その本は王国内でたったの五冊しか複本されていない」
サイード様は微笑む。
「教会という場所は戦争が起こっても戦火に巻き込まれる危険が低い。この手の本を保管して残していくには最適の保管場所なのだ」
「……それで、サイード様が私に頼まれたいこととは?」
私が尋ねた。
すると、サイード様は私に書庫の扉の鍵を見せる。
「――私がお前に頼みたいのは、この書庫の管理だ」
サイード様は言った。
私はそんな彼の言葉を聞いて、呆然としてしまった。
「こんな貴重な本がたくさんある書庫を、私のような子どもにですか?」
「お前が子どもかどうかは関係ない。重要なことは、お前が仕事をきっちりこなしてくれる人間かどうかということと、ここの本の貴重さを正しく理解しているかどうかということだ」
「けれど……」
私は本の貴重さが理解できているからこそ、責任の重さに尻込みをした。もし、私が何らかの不手際をして本を紛失した場合、その本の知識が永遠に失われてしまうことになる。
しかし、サイード様はそんな私の様子にかまわず、話を続けた。
「前々から、ここの管理を専任してくれる者が欲しかったのだ。ブラザーで誰か適当な人物が居れば一番良かったのだが、書庫の管理というのは誰にも評価されない極めて地味な仕事だからな。ここの本の中には、世に一冊しかない本もいくつかある。内心やりたくないと思っている修道士に任せて、中途半端に仕事をされると困るのだ。その点、お前なら問題ないと判断した。シスター・アメルにも確認したが、お前なら大丈夫だと彼女も言ってくれた」
シスター・アメル……その名前を聞いて、私は胸の奥が暖かくなるのを感じた。
「仕事の内容はいたって単純。カビや虫食いで破損したページがあれば複製して差し替えるすること。貴族や聖職者の求めがあれば写本をして彼らに送ること。余裕があれば、貴重な本を複本して王室や他の教会に献本し、知識の保全を図ること。たったそれだけだ。もちろん、暇があれば、ここにある本を好きなだけ読んでもかまわない」
サイード様は言った。
その後、再び私に書庫の鍵を見せ、私の前に差し出した。
「やってくれるか? シスター・オーレリア」
私は顔を上げ、サイード様の目を見た。
そして、目の前に差し出された鍵を、私は手にとった。
「ぜひ、私にやらせてください」
その日の夜、私はアルバートに手紙を書いた。
シスター・アーニャが家族のところへ帰ったこと、若いシスター達から話しかけてもらえるようになったこと、神学者のサイード様と出会って書庫の管理を任されたこと、シスター・アメルが私のことをちゃんと認めてくれていたこと……、
あまりに書きたいことが多すぎて、その手紙はすごく分厚い手紙になってしまった。
その三週間後、アルバートから返事の手紙がやってきた。
彼の手紙は私に負けないくらいの分量の厚い手紙だった。私は彼の感想が楽しみで、急いで手紙の封を開けた。
けれど、彼の手紙には、私の期待していたことはほとんど書かれていなかった。
父のディアック伯が亡くなった、……アルバートは手紙で私にそう告げた。
ディアック伯の死によって、彼が持っていた爵位と領地は、長兄のレオノール様に継承された。
しかし、周囲をあまり顧みないレオノール様に対する領内の反発は非常に強く、一部の家臣や領民達の中には次兄のフェルナン様を担ぎあげようとする動きが出ているらしい。
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