転生魔竜~異世界ライフを謳歌してたら世界最強最悪の覇者となってた?~

アズドラ

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第124話

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 普段ならブレス一発で終わることだけど、人間サイズに魔法も無しでこれは大変だ。アニメやマンガ、小説のヒーローっていうのはこんなことを毎回してるのね……いや、理由はどうあれ俺は悪役か。ああいう作品の悪役もヒーローもこうやって人を殺す時、いろいろ考えてしまうのだろうか? そもそもヒーロー悪だろうと命までは奪わないか、それのせいで自分の大切な者を失うことになったとしても。
「俺にヒーローは無理だな……」
 冑越しでもはっきりとわかる絶望、恨み、恐怖。これにはいろいろ考えさせられる、さっきみたいなクズや狂った奴も居れば国のため、家族のためという奴らも勿論いるし所詮偉い奴らの駒で個々の意思なんか関係ないと考えているんだろうか? どんなに文明が進んでもそこは変わらないんだろう。贅沢を覚えたお偉いさんが大事なのは国として他国から見た外面と自分達の生活だけであって一般国民なんてただの駒なんだろうか、生きようが死のうが関係ないってか? 糞くらえ……
「だめだ、なんか変な事考えてるな……」
 俺は大量の死体、燃え上がるテントに引火して爆発する装備の数々を前にしながら柄でもないことを悶々と考えている。ドラゴンとして一掃する時とこうやって一人一人この手で殺していくのでは流石に感じ方が違う、姿によって感情、思考が引っ張られているのだろうか? 俺は地球人だったころから馬鹿だと思うそれでも考えさせられる、いろんな作品の主人公が人を殺さないのはそう言うことなのだろうか? まぁそんなこと考えもしないイカレタ奴のお話もたくさんあるんだけどね。
「俺は主人公じゃなくていい。自分の大切なモノを全て守れてその人達が幸せだと言ってくれればそれだけでいいんだ」
 自分にそう言い聞かせるように呟く。こんな感傷的になったのはこの世界に来て初めてかもしれない、それでもこんなに大切なモノ地球じゃ手に入らなかった……平和だけど何もない世界、何が起こるかわからないがいろんなことに出会える世界少なくとも俺にはそう言うふうに感じられる。あくまで個人の感覚だし他人がどう感じるかなんてわからないけどね。
「貴様ぁ!!」
 炎をかいくぐり、一人の少女が俺に向かって突っ込んでくる。武器は黒い刀だろうか? 銃じゃないのはちょっと意外だけど俺はそれを片手で受け流しながら思った。彼女は黒髪ロングにキリッとした雰囲気で何と言うか風紀委員長という感じがした。
「なぜこんなことを!! 人質ごと焼き払うなど正気なのか!!」
 あ……そっか、ここまで暴れると人質ごと俺がここを破壊したようにも見えるのか……てか、この子まだ若い、高校生位だと思うし他の兵士達と雰囲気が明らかに違うし数段階格上だと思う。
「戦争なのはわかっている……だけど私は、種族が違くても話せばわかると思っていたのに……」
「……」
「お前が殺したそっちのお姫様はな……この戦争を止めるため、和平を結ぼうと出向いてくれた人だったんだぞ!! それを……それをっ!」
 あ~なんかお話が見えてきた、ここに来た時魔王軍のトップが必死で最前線に出ていたのはたぶんお姫様を助けるためだったんだろう。
「だが、結局奴隷にするのだろ?」
「そんなこと、私がさせない!! 男性の方々はその場ですぐ殺されてしまってどうすることもできなかったけど……せめて彼女達は助けようとっ」
 間違いない、この娘は地球から召喚された子の一人だ。他種族への差別思想がまったくないし倫理観もしっかりしている、俺よりもね。
「お前一人が何を言おうと結果は変わらない。結局彼女達は性奴隷にされていただろう」
「私は勇者だ! 仲間だっている!!」
「結局地球と同じだよ、自分達の利益しか考えないお偉いさんはいくら下の者が叫ぼうが気にもしない」
「なにを? 言っている?」
「それにお前だってこの世界で敵を倒しただろ? ここに居るということは人を殺しただろ?」
「違うっ! 私はっ!!」
「怪物を倒して人々を救っただけ? 違う、この世界は人だけのモノじゃないんだよ」
「そんな、私は……」
「実際今こうして俺と会話しているだろ? 食べるためでもなくちゃんと話し合える相手をお前は殺してきたんだよ、どんな理由があろうと」
 少女の顔色が変わった。まぁ無理もないか、そもそもいつもならこんなことしないで殺していただろう俺が言うことでもないんだろうけど、今日は良くも悪くも人間くさい。
「ホノカ、惑わされないで!!」
 そう叫びながら眼鏡をかけた三つ編みの少女が飛び込んできた右手で槍を振り、左手で機種はわからないけどサブマシンガンを向けてきた。
「シホ!?」
 俺は攻撃を受け流しながら距離を取った。
「大丈夫?」
「うん、けど……」
「アレは敵よ! この惨状を見て!!」
 シホと呼ばれた眼鏡っ子は明らかな敵意を向けてきている、感覚的だがこっちの子は話が通じない気がした。なんかわからずやというか若いなと思う、いうて俺もそこまで年取ってたわけじゃないんだけどなぁ……
「何を言われたかわからないけど、アレを倒さないと皆殺されちゃう!!」
「わ、わかった!」
 二人の少女は武器を構えて俺を睨みつける。
「残念、子供だましだな」
 場慣れというのはこういうことを言うのだなと実感した。彼女達は四人、正面の二人は囮で本命は左右後方からタイミングを狙っていた。いろいろ考えて作戦を立てて連携して戦う、さながらゲームのようにね……
「嘘!? ばれてっ」
「ばかなっ!?」
 背後から迫っていたのは男子二人、武器は双剣と大鎌。彼らの攻撃を受け止めそのまま少女達の方へ尻尾ビンタで叩き飛ばす、てか男ならお前らが正面からかかって来いよ……情けない。
「そんな、ケイタの隠密スキルレベルはトップなはずなのに!?」
 いやレベルって……この子達はラノベお約束の異世界でステータスオンとかしちゃう系なの?? ゲームじゃないですよここ。
「ケイタだけじゃない、俺のスピードにも余裕で対応してた……あいつたぶんネームドだ!」
「シホ、奴のステータスを」
「わかった、今調べるねっ……」
 え~……マジでゲームみたいなことしてるし……嘘でしょ、なんか今までいろいろ考えてたのが馬鹿らしくなる、てかもしかしてゲーム感覚で人殺ししてた奴らと話してたの? マジかぁ……
「なんで!?」
「シホ、どうした?」
「データが……表示されないの、アレにはステータスが存在してない?」
「は? バグじゃんかよ!?」
「いや、レベルがかけ離れすぎていて調べられないのかも?」
「どちらにしろヤバいじゃん……」
「どうする? 前線のチームと合流するか?」
「ホノカどおする?」
「……」
「ホノカ?」
「あ、えっ……ごめんなさい」
「指示してくれ、あれは俺達で倒せるのか?」
 話しを聞いてる感じホノカっていう娘は話が通じそうだけど、他の三人がなぁ……
「前線の皆さんに連絡は?」
「野営地が襲撃されてもうダメなことは伝えてある。もう指揮官も逃げちまったし撤退戦に移行してるって」
「なら私達も逃げましょう」
「は? 本気か?」
「あの人は追ってこない……」
 俺は彼女の訴えかけるような瞳にため息をついて片手でさっさとどっか行けと振ってみせた。
「撤退します!」
「くそっ、わかったよ!」
 三人は目くらましだろう閃光弾を投げて一目散に走っていった。ちなみに俺には全く影響ないが食らったことにしておこう。
「最後に一言、お姫様達は生きてるよ。全員ね」
「……」
「そう、なんですね……」
 一瞬止まり、そう呟くと彼女は三人を追って走っていった。正直めっちゃ萎えたし引いてくれてよかった……ゲーム感覚で何もわかってないクソガキイジメル趣味はねぇよ。
「勇者なんて自分で言ってもしょうがないだろうに」
 正直今のでどっと疲れた。もう帰って寝たいわ……こちとら全力で生きてるのにゲーム感覚で絡まれてたまるかっつぅの。
「でもまぁ、状況説明くらいはしておかなきゃかなぁ。ややこしくしちゃったし」
 俺は頭を掻きながら遠くからやってくる魔王軍を見つめるのだった。
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