転生魔竜~異世界ライフを謳歌してたら世界最強最悪の覇者となってた?~

アズドラ

文字の大きさ
130 / 191

第130話

しおりを挟む
 自分の全てが否定される、考えも、経験も、生きていることさえ……ありとあらゆること全てが……
「ふざけてるにも程があるっ!」
 俺は怒りが溢れ出るのを感じると同時に正面のガキから発せられる嫌な感覚を振りほどいた……いや、破壊した。
「は? なんであいつジュウラに死ねって言われたのに死んでねぇんだよ??」
「今までの敵は皆あの一言で間違いなく死んでいたわ……誰であろうと……なのに」
 後ろの二人は驚いているが関係ない、たぶんこいつの能力は対象者を即死させるみたいなやつだと思う。僕の考えた最強チート能力、誰でも思いつく理不尽で詰まらない能力。そりゃ冷めたガキになるわ……こんな最悪で最もくだらない能力じゃ。
「は? ……なに立ってんの? 死ねよ」
 俺は再び自分の死を破壊する、この能力に抵抗で来てるのは間違いなく理不尽への抵抗をテーマとして作られた神滅剣、ガルザークのお陰だ。でも時間も余裕もない、強制的に死を与えるという理不尽の否定がそう簡単にできるはずもないのだ。
「うるせぇよクソガキッ!」
 俺は左手にテンザンも呼び出し即死小僧に向かって走り出す。死を破壊するたびに俺の魔力がごっそり持っていかれている、こんなの何回も喰らっていたらすぐに力尽きて死が待っている。それにガルザークの負荷は相当なもので既に刃が欠け刀身に亀裂が走り始めている。恐らくテンザンで死という結果を切断して無力化という同じような芸当は出来る、しかしガルザークよりも攻撃特化で脆い。どちらにしろ猶予は一切ない、ならば速攻で仕留めるしかないのだ。
「死ね! 死ね! 死ね!!」
 奴の呪言を受け切ったと同時にガルザークの刀身が砕け俺の中に戻っていく。しかし距離は詰め切った、テンザンをその首目掛けて振り抜く。
「なっ!? くそったれがぁ!!」
 テンザンは確かに何かを切り裂いた。奴の纏っていた何かを……しかしそれを切り裂くと同時にテンザンも刀身が砕けて戻っていく。それを見てジュウラとか呼ばれたガキは勝を確信したように笑みを浮かべる。
「まだだぁ!!」
 剣は砕けた、しかし俺には爪が、牙が、角が、尾がある。魔力はほぼほぼ持っていかれて精神も限界を迎えかけている……けども人一人位どうとでも殺せる、いや、こいつだけはここで殺しておかなければ間違いなくこの世界が悪い方向へ傾く。せっかくの楽しいファンタジー世界、壊させるわけにはいかない!
「ヴリトラ様っ!!」
 声に一瞬振り向くと一振りの剣が飛んで来る。ルシエが大事に抱きしめていた剣の布を解き、俺に投げ渡したのだ。それを受け取りそのままに力いっぱい振り抜き切先は地面にめり込んだ。
「っあっぶねぇ……」
 声に顔をあげる、そこには胸に切り傷を作りながらも間違いなく生きている奴の姿があった、奴の腕には鍵縄が巻き付いている。どうやらあの忍者小僧が斬撃の寸前で助けたらしい。つまり仕留め損ねたのだ……
「ジュウラ、驚かせないでくれよ……」
「いやぁ、まさか即死に耐えられるなんて思わないだろ?」
「確かに、お前に攻撃しても死なないし何だったんだあれ……」
「たぶん最初に持ってた二本の剣のお陰だったんだろ、俺の言葉で砕けてたし。でも、もう終わりだな」
 奴は傷つき血の垂れる胸を手でなぞる。
「惜しかったね、あとちょっと深かったら殺せてたのに。残念でした……」
「……」
「話す気力ももうないかな? じゃあこれでおしましだ」
 勝ちを確信しこれでもかというくらいの決めポーズをしながら俺を指差す。
「ヴリトラ、死ねっ!!」
 ジュウラは勝ち誇り、最高のドヤ顔をしている。完全に冷め切った奴だと思っていたが一応ガキらしいところもあったらしい。
「……ヴリトラ様?」
 ルシエは不安そうに声をかける。
「よし、おわりっと……いってぇ。」
「ジュウラ大丈夫か?」
「斬られるとこんなに痛いんだな……」
「お前いままでそのチート能力のお陰で無傷だったもんな」
「まぁね」
「死ねの一言で敵は死ぬし敵対しり攻撃してきた相手は即死カウンターで殺される。ズルいよなぁ~」
「その分お前達みたいな身体能力強化や魔法みたいな力は貰えてないんだからお互い様だろ?」
 ジュウラとゼンゾウは笑いあった。
「……」
「なんだよホノカ、不満そうじゃん?」
「ヴリトラ、彼は話ができたかもしれない相手だったのに……」
「何言ってんだよ、アレはドラゴン、敵だよ。どれだけ人間の真似をしたところで奴は結局奴だったんだよ」
「まぁ、話は後にしてあのお姫様を捕まえて帰ろうぜ。ジュウラの手当てもしなきゃだしな」
「頼むは、いてぇ……」
 ゼンゾウはお姫様に狙いを定めるなか、ホノカと呼ばれる少女は俺の前まで歩いてきて一言呟いた。
「……ごめんなさい」
 何についてだろうか? 殺してしまったこと? チートすぎる理不尽なこの状況を? まぁどちらにしろ関係ない。そう、関係ないのだ。
「謝る必要なんてない」
「えっ……?」
「ホノカ、どうしっ……ぐえっ!?」
「ゼンゾウ!?」
 ゼンゾウは不意に飛んできた火炎弾に勢いよく吹き飛ばされた。その場に残された三人は状況が理解できず困惑している。
「最後に覚えておくといい。最後の最後まで油断しないことをな……」
 無理もない……死んだと確信していたヴリトラが立ち上がりジュウラへ向かい歩みだしているのだから。
「は? チートも大概にしろよ!! 死ね、死ねよ!!」
 ジュウラは叫ぶ、しかしヴリトラは止まらない。黄金の瞳を煌めかせながらゆっくりと、確実に迫ってくる。いくら叫ぼうが喚こうがもう言葉は通じない……
「まったく、どっちがチートだって言うんだよ……」
「ダメっ……」
 俺と奴の間にホノカと呼ばれた少女が立ちふさがる、手には黒い刀を握りしめて。
「奴は弱ってる。ホノカ、今ならお前でも倒せるっ!」
 ジュウラは小さくガッツポーズをして勝利を確信した。こっちにはまだ戦える仲間が残っている、それに対して生きてるとは言えヴリトラは相当消耗しているのだから。
「邪魔するな……」
「でもっ……」
 彼女の刀を握る手震えている、友人を助けたい、だけどここで俺を殺しちゃいけないと迷っているのだろう。
「すまない、恨んでくれて構わないよ」
「っ!?……」
 俺は左手で彼女の顎目掛けて振り抜いた、顎を揺らして脳震盪を起こし気絶させたのだ。
「くそっ!?」
「……」
 俺は即死のガキを睨みつけ歩み寄る。
「死ね! 死ね、死ね死ね死ね死ね!!!」
 しかし何も起こらない、完全に効果が無くなっていた。
「次に生まれることがあったら。そんなくだらない能力貰わないことを願うんだな」
 俺は剣を振り抜き、奴の首を刎ねた……異世界転生後、間違いなく最強最悪であった敵との対決はこうして幕を閉じたのだった。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク
ファンタジー
※2019年7月下旬に第二巻発売しました。 ※12/11書籍化のため『Sランクパーティーから追放されたおっさん商人、真の仲間を気ままに最強SSランクハーレムパーティーへ育てる。』から『おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる』に改題を実施しました。 ※第十一回アルファポリスファンタジー大賞において優秀賞を頂きました。 俺の名はグレイズ。 鳶色の眼と茶色い髪、ちょっとした無精ひげがワイルドさを醸し出す、四十路の(自称ワイルド系イケオジ)おっさん。 ジョブは商人だ。 そう、戦闘スキルを全く習得しない商人なんだ。おかげで戦えない俺はパーティーの雑用係。 だが、ステータスはMAX。これは呪いのせいだが、仲間には黙っていた。 そんな俺がメンバーと探索から戻ると、リーダーのムエルから『パーティー追放』を言い渡された。 理由は『巷で流行している』かららしい。 そんなこと言いつつ、次のメンバー候補が可愛い魔術士の子だって知ってるんだぜ。 まぁ、言い争っても仕方ないので、装備品全部返して、パーティーを脱退し、次の仲間を探して暇していた。 まぁ、ステータスMAXの力を以ってすれば、Sランク冒険者は余裕だが、あくまで俺は『商人』なんだ。前衛に立って戦うなんて野蛮なことはしたくない。 表向き戦力にならない『商人』の俺を受け入れてくれるメンバーを探していたが、火力重視の冒険者たちからは相手にされない。 そんな、ある日、冒険者ギルドでは流行している、『パーティー追放』の餌食になった問題児二人とひょんなことからパーティーを組むことになった。 一人は『武闘家』ファーマ。もう一人は『精霊術士』カーラ。ともになぜか上級職から始まっていて、成長できず仲間から追放された女冒険者だ。 俺はそんな追放された二人とともに冒険者パーティー『追放者《アウトキャスト》』を結成する。 その後、前のパーティーとのひと悶着があって、『魔術師』アウリースも参加することとなった。 本当は彼女らが成長し、他のパーティーに入れるまでの暫定パーティーのつもりだったが、俺の指導でメキメキと実力を伸ばしていき、いつの間にか『追放者《アウトキャスト》』が最強のハーレムパーティーと言われるSSランクを得るまでの話。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...